PART 10
41. 戦争で得たどんな物も,5分の1は,アッラーと使徒そして近親,孤児,貧者,そして旅人に属することを知れ。もしあなたがたがアッラーを信じ,また識別の日,両軍が会戦した日に,わがしもベに啓示したものを信じるならば。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。
42. あなたがたは川の谷間に近い方におり,かれらはその遠い方にいて,隊商があなたがたよりも低い(平原)にいた時を思え。この時あなたがたが仮令栗いに(会戦を)約束していても,必ずやその約束に反したてあろう。しかし(予期に反して開戦した)それは,アッラーがなさるべきことを,完遂なされたため。死ぬ者に明証(を見せた)後に死なせ,生き長らえる者も明証によって生き長らえさせるためである。本当にアッラーは全聴にして全知であられる。
43. アッラーがあなた(ムハンマド)に,夢でかれら(敵軍)が少数のように見せられた時を思え。もしかれがあなたに対し,かれら(敵軍)を多勢に見せられたならば,あなたがた(信徒)はきっと臆して(あなたの)決定に対し,きっと栗いに論争したてあろう。だがアッラーは(あなたがたを)救われた。本当にかれは(人びとの)胸の中で考えていることを熟知される。
44. あなたがたがかれらと遭遇した時,かれはあなたがたの目に(かれらを)小さい集団に見えるようにする。またかれらの目には,あなたがたを劣弱に(映じ)させられた。それはアッラーが,なさろべきことを完遂されたためであった。本当に凡てのことは,アッラーに帰着するのである。
45. あなたがた信仰する者よ,(敵の)軍勢と遭遇する時は堅固に持して,専らアッラーを唱念せよ。恐らくあなたがたは勝利を得るであろう。
46. あなたがたはアッラーと使徒に従いなさい。そして論争して意気をくじかれ,力を失なってはならない。耐えなさい。アッラーは耐え忍ぶ者と共におられる。
47. 誇らしげに,人びとに見られるために家を出で,アッラーの道から(人びとを)阻む者のようであってはならない。アッラーはかれらの行うことを凡て知っておられる。
48. また悪魔が,かれらの行いを立派であると思わせてこう言った時を思え。「今日は誰も,あなたがたに打勝つことは出来ない。本当にわたしはあなたがたの保護者である。」だが両軍が栗いに会った時,かれは踵を返して言った。「わたしは,本当にあなたがたと関係はない。わたしにはあなたがたに見えないものが見える。わたしは本当にアッラーが恐ろしいのだ。アッラーは処罰に厳重であられる。」
49. 背信者と心に病のある者たちが,「かれらの教えは,かれらを惑わせた。」と言った時を思い起せ。だがアッラーを信頼する者ならば,本当にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
50. あなた(ムハンマド)はもし天使たちが不信心な者たちの(死にさいし)魂を取る時,その顔や背中を(如何に)打つかを見るならば(どうであろう)。(その時天使たちは言うであろう。)「火炙りの懲罰を味わえ。
51. これはあなたがたの手が先に為したことのためである。本当にアッラーはしもべたちに対し,決して不公正ではない。」
52. (かれらの行いは)フィルアウンの一族や,それ以前の者たちの仕方と同じである。かれらはアッラーの印を信じなかった。それでアッラーはその罪のため,かれらを懲罰された。本当にアッラーは強力で処罰に厳重であられる。
53. それは,アッラーがある民に与えられた恩恵は,かれらが自分を(悪く)変えない限り,決してこれを変えないからである。本当にアッラーは全聴にして全知である。
54. (かれらの行いが)フィルアウンの一族や,その以前の者たちの仕方と同じためである。かれらは主の印を偽りであるとしたので,われはかれらの罪のためにこれを滅ぼし,フィルアウンの一族を溺れさせた。かれらは凡て不義を行う者であった。
55. アッラーの御許で最悪の罪人は,不信心の者であろ。かれらは信じなかったからである。
56. これらはあなたが約束を結んだ者で,その後かれらは毎度約束を破り,主を畏れない。
57. それでもしあなたがたが,戦いでかれらを打ち破ったならば,かれらとその背後に従う者を追い散らせ。恐らくかれらは反省するであろう。
58. また人びとの中あなたに対し裏切る恐れがあるならば,対等の条件で(盟約を)かれらに返せ。本当にアッラーは裏切る者を愛されない。
59. 信じない者に(アッラーを)出し抜けると思わせてはならない。かれらは決して(アッラーを)挫けない。
60. かれらに対して,あなたの出来る限りの(武)力と,多くの繋いだ馬を備えなさい。それによってアッラーの敵,あなたがたの敵に恐怖を与えなさい。かれら以外の者にも,またあなたがたは知らないがアッラーが知っておられる者にも。あなたがたが,アッラーの道のために費やす凡てのものは,十分に返済され,あなたがたは不当に扱われることはないのである。
61. だがかれらがもし和平に傾いたならば,あなたもそれに傾き,アッラーを信頼しなさい。本当にかれは全聴にして全知であられる。
62. 仮令かれらがあなたを欺こうとしても,あなたにはアッラーがいれば十分である。かれこそは,その助けにより,また(多くの)信者たちによりあなたを力付けられる方であり,
63. またかれは,かれら(信者)の心を一つに結ばれる。あなたが仮令地上の一切のものを費やしても,あなたはかれらの心を一つに結ぶことは出来ない。だがアッラーはかれらを結合させる。本当にアッラーは偉力ならびなき英明な御方であられる。
64. 使徒よ,あなたにはアッラーがいる。また信者の中であなたに従うとがいれば十分である。
65. 使徒よ,戦いの時は信者を激励しなさい。あなたがたの中20人の信仰の堅い者がいれば,よく2百人を征服するであろう。あなたがたの中もし百人いるならば,よく千人の不信者を征服するであろう。というのはかれらが,事理を解しない人びとであるため。
66. 今アッラーはあなた(の負担)を軽減された。それはかれが,あなたがたに弱点のあることを知っていたからである。それであなたがたに,もし百人の信仰の堅い者がいれば2百人を征服するであろう。もし千人ならば,アッラーの御許しの下に,2千人を征服するであろう。本当にアッラーは耐え忍ぶものと共においでになられる。
67. その地で完全に勝利を収めるまでは,捕虜を捕えることは,使徒にとって相応しくない。あなたがたは現世のはかない幸福を望むが,アッラーは(あなたがたのため)来世を望まれる。アッラーは偉力ならびなく英明であられる。
68. もし前以ってアッラーから下された,規則がなかったならば,あなたがたはその受け取ったもののために,必ず厳しい懲罰が下ったことであろう。
69. だが(今は),あなたがたが得た戦利品を,合法でまた清い(もの)として受け,アッラーを畏れよ。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
70. 使徒よ,あなたがたの手中にある捕虜たちに言ってやるがいい。「もしアッラーが,あなたがたの心の中に何か良いものがあることを認められれば,あなたがたが没収されたものよりも優れたものを与え,またあなたがたを赦される。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。」
71. だがかれらがもしあなたを裏切ろうとするならば,いや,かれらは以前からアッラーを裏切っていたので,かれは(あなたに)かれらを制圧させる。アッラーは全知にして英明であられる。
72. 本当に信仰して移住した者たち,財産と生命を捧げて,アッラーの道のため奮闘努力〔ジハード〕した者たち,またかれらに避難所を提供して援助した者たち,これらの者は栗いに友である。また信仰した者でも,移住しなかった者については,かれらが移住するまであなたがたは保護する義務はない。只し,かれらがもし宗教(上のこと)であなたがたに救援を求めるならば,あなたがたと盟約のある間柄の民に逆らわない限り,これを助けるのはあなたがたの義務である。アッラーはあなたがたの行うことを御存知であられる。
73. 信じない者たちも栗いに守護しあっている。あなたがたがそうしないならば,地上の治安は乱れて大変な退廃が起ころう。
74. 信仰して移住した者たち,アッラーの道のために奪闘努力した者たち,またかれらに避難所を提供して援助した者たち,これらの者は等しく真の信者である。かれらに対しては,寛容と栄誉ある御恵・があろう。
75. 遅れて信仰に入り,移住してあなたがたと共に奮闘努力した者たちは,あなたがたの仲間である。また血縁関係による近親者は,アッラーの定めにより,栗いに一段と近いのである。本当にアッラーは凡てのことを知り尽くされる。
9 - 梅悟章〔アッ・タウバ〕
1. アッラーとその使徒から,あなたがたが盟約を結んだ多神教徒に対し解約が,(宣言)された。
2. それにしても(多神教徒は),4ヶ月の間は(任意に)国中を往来させなさい。あなたがたはアッラー(の計画)を,頓挫させられない,またアッラーは,不信者に屈辱を与えられることを知れ。
3. (これは)アッラーとその使徒から,偉大な巡礼の日にあたり,人びとへの(布告された)宣言。「本当にアッラーは,多神教徒と(の盟約)を解約された,その使徒にしても同じこと。それであなたがたがもし悔悟するならば,あなたがたのため最もよい。もし背き去るならば,アッラー(の計画)をあなたがたは頓挫させられないことを知れ。」信仰を拒否する者たちには,痛苦の懲罰を告げてやれ。
4. (しかし)あなたがたの盟約した多神教徒で,破約したことなく,またその後,あなたがたに敵対する者を助けなかった者は別である。(これらの者に対しては)期間が満了するまで,かれらとの盟約を果しなさい。本当にアッラーは,主を畏れる者を愛でられる。
5. 聖月が過ぎたならば,多神教徒を見付け次第殺し,またはこれを捕虜にし,拘禁し,また凡ての計略(を準備して)これを待ち伏せよ。だがかれらが梅悟して,礼拝の務めを守り,定めの喜捨をするならば,かれらのために道を開け。本当にアッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。
6. もし多神教徒の中に,あなたに保護を求める者があれば保護し,アッラーの御言葉を聞かせ,その後かれを安全な所に送れ。これはかれらが,知識のない民のためである。
7. 多神教徒が,どうしてアッラーや使徒の許で盟約が出来ようか。只あなたがたが,聖なるマスジドで盟約した者たちは別である。それでかれらがあなたがたに誠実である間は,あなたがたもかれらに誠実であれ。本当にアッラーは主を畏れる者を愛でられる。
8. どうして(盟約)出来よう。かれらはあなたがたに対し優位であると見れば,血縁であろうと盟約があろうとあなたがたを顧・ない。かれらはロ先ではあなたがたを喜ばせているが,心では拒否する。かれらの多くは主の掟に背く者たちである。
9. かれらは僅かな代償でアッラーの印を売り,(人びとを)かれの道から妨げた。本当にかれらの行ったことは,大悪である。
10. かれらは信者に対する場合,血縁も誓約も顧・ない。かれらこそ法を越えた者である。
11. だがもしかれらが悔悟して礼拝の務めを守り,定めの喜捨をするならば,かれらは教えの上の同胞である。われは印を理解する人びとのために詳述する。
12. だがかれらがもし誓約した後にそれを破り,あなたがたの教えを罵るならば,不信者の首長たちと戦え。本当にかれらには誓いはないのである。恐らくかれらは止めるであろう。
13. あなたがたは自分の誓いを破り,使徒を追放しようと企てた者たちと戦わないのか。かれらは最初にあなたがたを攻撃したのである。あなたがたはかれらを恐れるのか。いや,信者ならばアッラーをこそ,もっとも畏れるべきである。
14. かれらと戦え。アッラーはあなたがたの手によって,かれらを罰して屈辱を与える。かれらに対し(うち勝つよう)あなたがたを助け,信者の人びとの胸を癒される。
15. またアッラーはかれらの心中の激怒を除き,御心に適う者の悔悟を赦されるであろう。アッラーは全知にして英明であられる。
16. それともアッラーは,あなたがたの中(教えのために)奮闘努力する者たち,またアッラーと使徒,と信者たち以外に親しい友を持たない者たちを,まだ知らずに,放って置かれると思うのか。本当にアッラーはあなたがたの行うことを熟知される。
17. 多神教徒たちにアッラーのマスジドを,自ら不信心を立証しているのに管理させるべきではない。これらの者の行いは虚しく,かれらは業火の中に永遠に住むであろう。
18. アッラーのマスジドは,ひたすらこれらの者(信者)によって管理されるべきである。(すなわち)アッラーと終末の日を信じ,礼拝の務めを守り,定めの喜捨をなし,アッラー以外の何ものをも恐れない者だけである。これらの者は,正しく導かれる者となるであろう。
19. (だが)あなたがたは巡礼者に(水を)飲ませたり,または聖なるマスジドを管理する者と,アッラーと終末の日を信じ,アッラーの道のために奮闘努力する者とを同等にするのか。アッラーの御許では,両者は同等ではない。アッラーは不義の民を導かれない。
20. 信仰する者,移住した者,またアッラーの道のために財産と生命を捧げて奮闘努力した者は,アッラーの御許においては最高の位階にあり,至上の幸福を成就する。
21. 主は,親しく慈悲と満悦を与えられ,かれらのために永遠の至福の楽園の吉報を与えられる。
22. かれらは永遠にその中に住むであろう。アッラーの御許には最大の報奨がある。
23. 信仰する者よ,もしあなたがたの父または兄弟が,信仰より不信心を好むならば,かれらを親しい友としてはならない。もしあなたがたの中,かれらを親しい友とする者があれば,それらは不義の徒である。
24. 言ってやるがいい。「あなたがたの父,子,兄弟,あなたがたの妻,近規,あなたがたの手に入れた財産,あなたがたが不景気になることを恐れる商売,意にかなった住まいが,アッラーと使徒とかれの道のために奮闘努力するよりもあなたがたにとり好ましいならば,アッラーが命令を下されるまで待て。アッラーは掟に背いた民を導かれない。」
25. アッラーは幾多の戦役,またフナインの(合戦の)日においても,確かにあなたがたを助けられた。その時あなたがたは多勢を頼・にしたが,それは何も役立たず,大地はあのように広いのにあなたがたのためには狭くなって,あなたがたは遂に背を向けて退却した。
26. その後アッラーは,使徒と信者たちの上にかれの安らぎを下し,またあなたがたには見えなかったが,軍勢を遣わして不信心な者たちを懲罰された。このようにかれは,不信者に報いられる。
27. 更にアッラーは,それらの後,御心に適う者の梅悟を赦された。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
28. あなたがた信仰する者よ,多神教徒は本当に不浄である。だからかれらのこの年以後,かれらを聖なるマスジドに近付かせてはならない。あなたがたがもし貧困を恐れても,アッラーが御好・になれば,その恩恵によって(主は)やがてあなたがたを富ませるであろう。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
29. アッラーも,終末の日をも信じない者たちと戦え。またアッラーと使徒から,禁じられたことを守らず,啓典を受けていながら真理の教えを認めない者たちには,かれらが進んで税〔ジズヤ〕を納め,屈服するまで戦え。
30. ユダヤ人はウザイルを,アッラーの子であるといい,キリスト教徒はマスィーフを,アッラーの子であるという。これはかれらが口先で言うところで,昔の不信心な者の言葉を真似たものである。かれらにアッラーの崇りあれ。かれらは(真理から)何と迷い去ったことよ。
31. かれらは,アッラーをおいて律法学者や修道士を自分の主となし,またマルヤムの子マスィーフを(主としている)。しかしかれらは,唯一なる神に仕える以外の命令を受けてはいない。かれの外に神はないのである。かれらが配するものから離れて(高くいます)かれを讃える。
32. かれらは口先で,アッラーの御光(イスラーム)を消そうと望んでいるが,仮令不信者たちが嫌おうとも,アッラーはかれの御光を全うされる。
33. かれこそは,導きと真理の教えをもって使徒を遣し,仮令多神教徒たちが忌・嫌おうとも,凡ての宗教の上にそれを表わされる方である。
34. あなたがた信仰する者たちよ,律法学者や修道士の多くは偽って人びとの財産を貪り,(かれらを)アッラーの道から妨げている。また金や銀を蓄えて,それをアッラーの道のために施さない者もいる。かれらに痛ましい懲罰を告げてやれ。
35. その日,それら(の金銀)は地獄の火で熱せられて,かれらの額やわき腹や背に,焼印が押されるであろう。「これはあなたがたが自分の魂のために,蓄積したものである。だからあなたがたが蓄積したものを味わえ。」
36. 本当にアッラーの御許て,(1年の)月数は,12ヶ月である。アッラーが天と地を創造された日(以来の),かれの書巻のなか(の定め)である.その中4(ヶ月)が聖(月)である。それが正しい教えである。だからその聖月中にあなたがたは栗いに不義をしてはならない。そして多神教徒が皆であなたがたと戦うように,(あなたがたも)皆て戦え。アッラーは,主を畏れる者と共におられることを知れ。
37. 本当に(聖月を)延ばすことは,不信心を増長させ,それで不信者は誤って導かれている。ある年は(聖月を)普通の月とし,(他の年は)聖月とする。かれらはアッラーが禁じられた(聖月の)数と合せるために,アッラーが禁じられたもの(聖月)を(戦いが)合法であるとする。かれらの間違った行いは,かれらには立派に見える。アッラーは信仰を拒否する民を導かれない。
38. 信仰する者たちよ,あなたがたはどうしたのが。「アッラーの道のために出征せよ。」と言われた時,地に低頭するとは。あなたがたは来世よりも,現世の生活に満足するのか。現世の生活の楽し・は,来世に比べれば微少なものに過ぎない。
39. あなたがたが奮起して出動しないならば,かれは痛ましい懲罰をもって懲しめ,他の民をあなたがたと替えられる。あなたがたは少しもかれを損うことは出来ない。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。
40. 仮令あなたがたがかれ(使徒)を助けず,不信心の者たちが,かれを追放しても,アッラーは必ずかれを助けられる。かれは,只1人(の同僚)と,2人で洞窟にいた時,その同僚に向かって「心配してはならない。アッラーはわたしたちと共におられる。」と言ったその時アッラーはかれの安らぎを,かれ(アブー・バクル)に与え,あなたがたには見えないが,(天使の)軍勢でかれを強められた。また不信者たちの言葉を最も低いものになされ,アッラーの御言葉を最も高められた。本当にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
41. あなたがたは奮起して,軽くあるいは重く(備えて)出動しなさい。そしてあなたがたの財産と生命を棒げて,アッラーの道のために奮闘努力しなさい。もしあなたがたが理解するならば,それがあなたがたのために最も良い。
42. もし間近かに利得があり,また征途も短いならば,かれらは必ずあなたに従ったであろう。だがかれらには,道のりが(余りに)遠いと思われた。間もなく,かれらは,アッラーにかけて誓う。「出来ることなら,あなたがたと一緒に出征したのだが。」かれらは自分の魂を滅ぼす者である。アッラーはかれらが,偽っていることを知っておられる。
43. アッラーはあなた(ムハンマド)を許した。何故あなたは,真実を述べる者が,あなたにはっきりして,嘘付きたちが分かる前に,かれら(がその家に留まること)を許したのか。
44. アッラーと終末の日とを信じる者は,自分の財産と生命を捧げて奮闘することを(免れようなどと),あなたに求めたりはしない。アッラーは主を畏れる者を熟知される。
45. アッラーと終末の日とを信じない者だけ,あなたに(免れようと)求める。かれらは心に疑っており,それでかれらは疑いの中にさ迷っている。
46. もしかれらに出征する意志があるならば,それに対し必ず(何らかの)準備をなすべきである。だがアッラーは,かれらを出征させるのを嫌って,遅れさせられ,かれらに,「あなたがたは(戦闘力なく家に)留まる者と共に留まれ。」と仰せられた。
47. かれらは仮令あなたに従って出征しても,只足手まといになるだけである。あなたがたの間に騒動(の因)を捜し求めてあちこち走り回り,そのためあなたがたの中にはかれらに耳を傾ける者もでてこよう。だがアッラーは不義の者を熟知される。
48. かれらは,以前も不穏の行為を考えて,あなたにたいして事態を転覆させた。だがかれらの意に反して,真理が実現し,アッラーの教えが明示された。
49. かれらの中,「わたしを許して(家に留め),試・に会わせないで下さい。」と言う者もある。聞け,かれらは既に試・の中にいるではないか。本当に地獄は,(凡ての方向から)不信者たちを取り囲んでいる。
50. もしあなたに良いことが下れば,かれらを悲しませる。また災厄があなたを襲えば,かれらは,「わたしたちはもう,以前から用心していたのだ。」と言い,喜んで背き去る。
51. 言ってやるがいい。「アッラーが,わたしたちに定められる(運命の)外には,何もわたしたちにふりかからない。かれは,わたしたちの守護者であられる。信者たちはアッラーを信頼しなければならない。」
52. 言ってやるがいい。「あなたがたには,光栄ある2つのことの1つの外に,(どんな運命が)期待出来ようか。だがわたしたちには,あなたがた(不信者)のために,アッラーが御自身で懲罰なされるか,またはわたしたち(ムスリム)の手による,(処罰)を期待することが出来る。それであなたがたは待ちなさい。わたしたちもあなたがたと共に待つものである。」
53. 言ってやるがいい。「仮令あなたがたが,快よく施し,貢献をしても,不承不承であろうとも,決して受け入れられないであろう。本当にあなたがたは,アッラーの掟に背く者たちである。」
54. かれらの施し(貢献)が,受け入れられてもらえないのは,只かれらが,アッラーとその使徒を信じないためであり,のらくら者のように礼拝に赴くだけで,しぶしぶと施すからに外ならない。
55. だからあなたがたは,かれらの財産や子女に心を奪われてはならない。アッラーは,これらによって現世の生活の中に,かれらを懲罰しようとおぼしめし,またかれらの魂が不信心の中に離れ去ることを望まれるためである。
56. かれらは,アッラーに誓って,「本当にあなたがたの同士です。」と言う。かれらはあなたがたの同士ではない。かれらは今も(自分の真意が現われるのを)恐れる人びとである。
57. もしかれらが,避難所か洞窟,または潜り込む所を見い出せれば,必ずそれに向こう見ずに急いで行ったであろう。
58. かれらの中には,施し(の配分)のことに就いてあなたを謗る者がいる。それを与えられた者は,喜ぶが,それを与えられないならば,見なさい。直ぐに怒り出す。
59. もしかれらがアッラーと使徒から自分たちに与えられたものに満足するならば,こう言うべきであった。「アッラーは,わたしたちにとって万全であられます。アッラーと使徒は,その恵・により(更に多くを)わたしたちに与えられるでしょう。わたしたちは(正しい道を踏むよう)アッラーに嘆願します。」
60. 施し〔サダカ〕は,貧者,困窮者,これ(施しの事務)を管理する者,および心が(真理に)傾いてきた者のため,また身代金や負債の救済のため,またアッラーの道のため(に率先して努力する者),また旅人のためのものである。これはアッラーの決定である。アッラーは全知にして英現であられる。
61. またかれらの中には,預言者を困らせて,「かれは(只の)耳です。」と言う者がある。言ってやるがいい。「かれはあなたがたのため,善いことの聞き手である,かれはアッラーを信仰し,信者たちを信頼する。またあなたがたの中の信仰する者のためには(アッラーからの)慈悲である。アッラーの使徒を悩ます者には,痛ましい懲罰がある。」
62. かれらはあなたがたを喜ばせるため,アッラーにかけて誓う。だがかれらが(真の)信者ならば,アッラーとその使徒の喜びを得るのが最も正しい。
63. かれらは知らないのか,アッラーとその使徒に反抗する者には,実に火獄が用意されており,その中に永遠に住むことを。それは大きな屈辱である。
64. 背信者は,自分の心の中に抱くことを暴露する1章〔スーラ〕が下されることを警戒している。言ってやるがいい。「朝笑しておれ。本当にアッラーは,あなたがたが恐れるものを暴き出される。」
65. もしあなたがかれらに問えば,かれらは必ずわたしたちは,無駄話をしてたわむれているだけです」と言う。言ってやるがいい。「あなたがたは,アッラーとかれの印と使徒を,明笑していたではないか。」
66. 「弁解するには及ばない。あなたがたは確かに一度信仰に入って後,不信心になった。われは,仮令あなたがたの一部を許しても,外は罪を犯していたので懲罰するであろう。」
67. 男の背信者も女の背信者も,凡て同類である。かれらは邪悪を命じ,正しいことを禁し,(アッラーの道のために費すことに)その手を閉じる。かれらはアッラーを忘れるが,かれもかれらを忘れられる。本当に背信者たちは,アッラーの掟に背く者たちである。
68. アッラーは,男の背信者と女の背信者,また不信者に,地獄の火を約束され,その中に永遠に住ませられる。それはかれらにとっては十分である。アッラーはかれらを見限り,かれらには永遠の懲罰があろう。
69. あなた以前の民と同じように(あなたがたもそうである)。かれらは,その力はあなたがたよりも強く,財産と子女でも進かに多かった。かれらはその福分を事楽した。それであなたがた以前の者がその福分を事楽したように,あなたがたの福分を享楽する。またかれらが耽ったように,あなたがたも(無駄話に)耽っている。これらの者の行いは,現世でもまた来世でも,実を結ばない。これらの者こそ失敗者である。
70. かれらには,先人のこれらの消息が達しなかったのか。ヌーフ,アード,サムードの民,またイブラーヒームの民,マドヤンの住民,また転覆した諸都市(の民の消息が)。使徒たちはかれらに証をするためにやって来た。アッラーはかれらを損われない。だがかれらは自分自身を害した。
71. 男の信者も女の信者も,栗いに仲間である。かれらは正しいことをすすめ,邪悪を禁じる。また礼拝の務めを守り,定めの喜捨をなし,アッラーとその使徒に従う。これらの者に,アッラーは慈悲を与える。本当にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
72. アッラーは,男の信者にも女の信者にも,川が永遠に下を流れる楽園に住むことを約束された。また永遠〔アドン〕の園の中の,立派な館をも。だが最も偉大なものは,アッラーの御満悦である。それを得ることは,至上の幸福の成就である。
73. 預言者よ,不信者と背信者に対し奮闘努力し,かれらに厳しく対処せよ。かれらの住まいは地獄である。何と悪い帰り所であることよ。
74. かれらはアッラーに,「(悪い事は)何も言わない。」と誓う。だがかれらは確かに不信心な話をし,1度イスラームを受け入れた後不信心になり,成就し得ないことを企む。アッラーと使徒が,その恩恵によってかれらを(戦利品で)富裕になされていることに対して復讐をしたに過ぎない。もし梅悟するならばかれらのために最も良い。もし背き去るならば,アッラーは現世でも来世でも痛ましい懲罰でかれらを罰される。かれらは地上に,保護者も援助者もないであろう。
75. かれらの中アッラーと約束を結んだ者は(言った)。「もしかれが,わたしたちに恩恵を与えれば,わたしたちは必ず施しをなし,必ず正しい者の仲間になるでしょう。」
76. だがかれが,恩恵を与えれば,かれらはそれに貪欲になって,(約束に)背き(宗教への貢献を)嫌う。
77. それでかれらがかれに会う日まで,その心の中に偽善を抱かせて懲らしめられる。それはかれらがアッラーとの約束を破り,(度々)偽りを言っていたためである。
78. かれらはアッラーが,かれらの隠し(た考え)も秘密の相談も,知っておられることを知らないのか。またアッラーが,見得ないこと凡てを熟知されている(ことを)。
79. 信者たちで進んで慈善のために施しをする者を篤り,または自分の労力の外に,施すもののない者を罵って,かれらに嘲笑を加える者がある。アッラーはその嘲笑をかれらに返される。かれらに対しては痛ましい懲罰があろう。
80. あなたがかれらのために御赦しを請おうとも,また請わなくても(かれらの罪は免れられない)。あなたが仮令70回,かれらのために御赦しを請うても,アッラーはかれらを赦されないであろう。これはかれらがアッラーとその使徒を信しないためである。アッラーは掟に背く者を御導きになられない。
81. (タブーク遠征にさいし)後方に留まった者は,アッラーの使徒の(出征した)後,残留していることを喜び,生命と財産を捧げて,アッラーの道のために奮闘努力することを嫌って,言った。「この炎暑の最中に出征するな。」言ってやるがいい。「地獄の火は,もっとも厳しい熱さなのだ。」かれらがもし悟るならば。
82. それでかれらを少し笑わせ,多く泣かせてやりなさい。これは,かれらが行ったことに対する応報である。
83. アッラーがあなたをもしかれらの一味に返されれば,かれらは(一緒に)出征する許可を,あなたに求めるであろう。その時かれらに言ってやるがいい。「あなたがたは決して,わたしと一緒に出征しないであろう。またわたしと一緒に敵と戦わないであろう。本当にあなたがたは,最初の時,(家に)残留していることに満足していた。だから残留する者と,一緒に座っていなさい。」
84. かれらの中の誰かが死んでも,あなたは決してかれのために,(葬儀の)礼拝を捧げてはならない。またその墓の側に立ってはならない。本当にかれらは,アッラーとその使徒を信じないまま主の掟に背く者として死んだのである。
85. またあなたは,かれらの財産や子女に,心を奪われてはならない。本当にアッラーは,これらのものによって,現世においてかれらを罰しようという思召であり,またかれらの魂が,不信心の中に離れ去ることを望まれる。
86. 「アッラーを信じ,かれの使徒と共に奮闘せよ。」と1章〔スーラ〕が下された時,かれらの中能力ある者が,あなたに免除を求めて言う。「わたしたちを(家に)留まる者と一緒に,いさせて下さい。」
87. かれらは背後で(家に)留まる者と一緒にいることを好む。かれらの心は封じられた。だからかれらは悟らない。
88. しかし使徒とかれと共に信仰する者たちは,財産と生命とを捧げて奮闘努力する。かれらには(凡ての)善いことがあり,これらこそ成功する者である。
89. アッラーはかれらのために,川が下を永遠に流れる楽園を備えられ,かれらはその中に永遠に住むであろう。それは至上の幸福の成就である。
90. また(遊牧の)アラビア人の中からも,許しを求め(出征免除の)弁解に来た者があった。これらアッラーとその使徒を偽わる者は皆,(只家に)居残っていた。これら不信心の者は,やがて痛ましい懲罰を受けるであろう。
91. 虚弱な者,病んでいる者,と(道のために)供出するもののない者は,アッラーとその使徒に対して忠誠である限り罪はない。善い行いをする者に対しては(非難される)筋はない。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
92. またあなたに(戦のための)乗り物を求めて来たとき,あなたが「わたしにはあなたがたに提供する乗り物がない。」と告げると,両目に涙をたたえて(馬などを購入する)資金のないことを悲しんで帰っていく人びと(も非難される筋はない)。
93. 責められるべき筋は,富裕にも拘らずあなたに(出征の)免除を願い出る者たちだけである。かれらは背後に留まる者と,一緒にいるのを喜ぶ。アッラーはかれらの心を封じられた。従って(失うものを)知らないのである。
94. あなたがたが(居所)に帰るとかれらは許しを請うであろう。言ってやるがいい。「許しを請うてはならない。わたしたちは決してあなたがたを信じない。アッラーは,既にあなたがたの出来事を告げ知らせられた。またアッラーと使徒は,あなたがたの行いを見守るであろう。それからあなたがたは,幽玄界と現象界を知っておられる御方に帰される。その時かれは,あなたがたが行った(凡ての)ことを告げ知らせられる。」
95. あなたがた(信者)が(戦いから)帰ってきた時,あなたがたが(責めないで)放置するようアッラーにかけてかれらは誓うであろう。それでは放っておけ。かれらは本当に不浄であり,地獄がかれらの住まいである。かれらの(悪い)行いに対する報いである。
96. かれらはあなたがたに気に入られるようにあなたがたに誓うかもしれない。だがもしあなたがたがかれらを気に入っても,本当にアッラーは,アッラーの掟に背く者を御喜びになられない。
97. (遊牧の)アラビア人の不信心と偽善はもっと甚だしく,かれらはアッラーが使徒に下された掟に就いては,まったく無知である。だがアッラーは全知にして英明であられる。
98. (遊牧の)アラビア人の中には,(アッラーの道のため)かれらの施したものを,上納金のように思い,いっそあなたがた(ムスリム)に凶運が下るよう待ち望んでいる者がある。かれらの上にこそ凶運が見舞うであろう。アッラーは全聴にして全知であられる。
99. しかし(遊牧の)アラビア人の中のある者は,アッラーと最後の日を信じ,かれらの支出をアッラーに近付き,また使徒の祝福に預るための,捧げ物と考えている。聞け。本当にそれはかれらをアッラーに近付け,かれはやがてかれらを慈悲に浴させられる。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
100. (イスラームの)先達は,第1は(マッカからの)遷移者と,(遷移者を迎え助けたマディーナの)援助者と,善い行いをなし,かれらに従った者たちである。アッラーはかれらを愛でられ,かれらもまたかれに満悦する。かれは川が下を永遠に流れる楽園を,かれらのために備え,そこに永遠に住まわせられる。それは至上の幸福の成就である。
101. あなたがたの周囲の(遊牧の)アラビア人の中にも,またマディーナの市民の中にも,背信者がいる。かれらは偽善に執着している。あなたはかれらを知らない。だがわれは知っている。かれは2回にわたりかれらを懲罰し,その後かれらは,重い懲罰にかけられるであろう。
102. 外のある者は,自分の誤ちを認めるが,善行と,外の不行跡が混っている。アッラーは,かれらの悔悟を許される。本当にアッラーは覚容にして慈悲深くあられる。
103. かれらの財産から施しを受け取らせるのは,あなたが,かれらをそれで清めて罪滅しをさせ,またかれらのために祈るためである。本当にあなたの祈りは,かれらへの安らぎである。アッラーは全聴にして全知であられる。
104. アッラーが,しもべたちの悔悟を赦し,また施しを受け入れられることをかれらは知らないのか。またアッラーこそは,度々悔悟を赦される御方,情け深い方であられることを(知らないのか)。
105. (かれらに)言ってやるがいい。「(善い事を)行え。アッラーはあなたがたの行いを御存知であられる。かれの使徒と信者たちもまた(見ている)。やがてあなたがたは,幽玄界と現象界を知っておられる方に帰される。その時かれは,あなたがたにその行ったことを告げ知らせる。」
106. その外に,アッラーが懲罰なされるのか,または悔悟を赦されるのか,かれの裁決を待たされる者がいる。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
107. また(イスラームの)妨害と不信心(の助長)のために,一座のマスジドを建立した者があり,それで信者の間を分裂させ,また先にアッラーとその使徒に対して戦った者のための,隠れ家とする者がある。しかも(口先では),「わたしたちは,只善いことを行うだけです。」と誓う。だがアッラーは,かれらが確かに偽っていることを立証される。
108. あなたがたは決してその中で(礼拝に)立ってはならない。最初の日から敬虚に礎えを定めて建立されたマスジドこそは,あなたがたがそこに立つに相応しい。その中には,自ら清浄であることを好む人びとがいる。アッラーは,その身を清める者を愛でられる。
109. アッラーを畏れ,かれの御喜びを求めてその家の礎えを定め建てる者と,砕け崩れそうな崖のふちにその家の礎えを定めて建て,地獄の火の中に共に砕け落ちる者と,どちらが優れているか。アッラーは不義を行う民を導かれない。
110. かれらの建てた建物は,かれらの心が細かく砕かれない限り,かれらの心中の疑惑不安の種となろう。アッラーは全知にして英明であられる。
111. 本当にアッラーは,信者たちからその生命と財産を贖われた。かれらのため(の代償)は,楽園である。かれらはアッラーの道のために戦い,殺し,また殺される。それは律法と福音とクルアーンとを通じて,かれが結ばれる真実な約束である。誰がアッラー以上に,約束に忠実であろうか。だからあなたがたが結んだ契約を喜べ。それこそは至上の幸福の成就である。
112. 悔悟して(アッラーに)返る者,仕える者,讃える者,斎戒する者,立礼する者,サジダする者,善を勧める者,悪を禁ずる者,そしてアッラーが定められた限界を守る者。これらの信者たちに,この吉報を伝えなさい。
113. 多神教徒のために,御赦しを求めて祈ることは,仮令近親であっても,かれらが業火の住人であることが明らかになった後は,預言者にとり,また信仰する者にとり妥当ではない。
114. イブラーヒームが自分の父のために,御赦しを求めて祈ったのは,只かれ(父)と約束があったためである。それでかれ(父)がアッラーの敵であることが明白になった時,かれ(父)との関係を断った。本当にイブラーヒームは,柔和で辛抱強い人物であった。
115. アッラーは,人びとを導かれた後,かれらの守るべきことを解明されるまでは決して迷わせたりしない。本当にアッラーは凡てのことを知っておられる。
116. 天と地の大権はアッラーに属する。かれは生を与え,また死を与える。アッラーの外に,あなたがたには守護者も援助者もないのである。
117. アッラーは,預言者と苦難の時にかれに従った遷移者たち〔ムハージルーン〕と援助者たち〔アンサール〕に哀れ・をかけられた。その後かれらの一部の者の心は,(その義務の履行から)殆んど逸れてしまった。その時かれはかれらに,哀れ・をかけられた。本当にかれは,かれら(ムスリム)に規切であり慈悲深くあられる。
118. 後に残った3人に対しても(またかれは哀れ・をかけられた)。大地はこのように広いのだがかれらには狭く感じられ,またその魂も自分を(内面から)狭めるようになった。そしてかれらは,アッラーに縋る外にはかれ(の懲罰)から免れるすべがないことを悟った。すると(主は)哀れ・をかけられ,かれらは梅悟して(かれに)返った。本当にアッラーは度々赦される方,慈悲深い方であられる。
119. あなたがた信仰する者たちよ,アッラーを畏れ,(言行の)誠実な者と一緒にいなさい。
120. マディーナの人びとも周辺の(遊牧の)アラビア人たちも,アッラーの使徒のあとに居残って,自分の身命をかれのものより大切にするなど間違っている。かれらがアッラーの道のために,渇き,疲れ,餓えに会う度に,また不信者を怒らせる行(攻賂)に出向く度に,敵に何らかの打撃を与える度に,かれらに対してもそのことが善行として記録されるのである。本当にアッラーは,正しい行いの者への報奨を無益にされない。
121. 大なり小なり(道のため)費やしたもの,また一つの谷を越えたことが,必ずかれらのために記録されている。アッラーはかれらの行ったことに対して,最上(の報奨)をもって報われる。
122. 信者は,全員が一斉に出動すべきではない。各団のうち一部が,出動し,そして残留者は宗教に就いて理解を深め,皆が帰った時かれらに警告を与える。恐らく出動した者は注意するであろう。
123. 信仰する者よ,あなたがたに近い不信者と戦え。そして,あなたがたが意志堅固で力強いことを,かれらに知らせなさい。アッラーは主を畏れる者と共におられることを知れ。
124. (新たに)1章〔スーラ〕が下る度にかれらのある者は言う。 「これによってあなたがたの中,誰が信心を深めるであろうか。」本当に信仰する者は,これによって信心を深め,喜ぶ。
125. しかし心に病の宿る者は,これによって汚れの上に汚れを加えて,不信者として死ぬ。
126. かれらは毎牢,1度や2度試・られるのに気付かないのか。それでもかれらは悔悟せず,また改心しないのである。
127. かれらは1章〔スーラ〕が下る度に,栗いに顧・て(目で言う)。「誰かが,あなたがたを見ているのか。」,やがてかれらは背き去る。かれらは悟らない民であるために,アッラーはその心を(真理から)背かせられたのである。
128. 今,使徒があなたがたにあなたがたの間から,やって来た。かれは,あなたがたの悩・ごとに心を痛め,あなたがたのため,とても心配している。信者に対し優しく,また情深い。
129. だからかれらが背き去っても言ってやるがいい。「わたしには,アッラーがいれば十分である。かれの外に神はない。わたしはかれを信頼する。かれこそは,(栄光に満ちた)至高の玉座の主であられる。」
10 - ユーヌス章
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. アリフ・ラーム・ラー。これらは英知に満ちた,啓典の御印である。
2. われがかれら(マッカ人)の中の1人(預言者ムハンマド)に啓示して,「あなたは人びとに(不信心の結末を)警告しなさい。また信仰する者には,主の御許で優れた足場を与えられるとの,吉報を伝えなさい。」と命じたことが(マッ力の)人びとに(それ程)驚きであるのか。(だが)不信心者たちは,「これは明らかに魔術師です。」と言う。
3. 本当にあなたがたの主はアッラーである。6日の間に天と地を創造され,それから(大権の)玉位に鎮座して,凡ての事物を規制統御なされる。かれの許しを得た後でなければ,執り成す者はない。これがあなたがたの主,アッラーである。かれに仕えなさい。あなたがたは,訓戒を受け入れないのか。
4. あなたがたは皆一緒にアッラーの御許に帰る。アッラーの約束は真実である。本当にかれは創造を始め,そしてそれを繰り返される。これは信仰して善行をした者に,公正に報われるためである。だがかれを信仰しない者には,煮えたった飲物と,痛ましい懲罰がある。これはかれらが不信心であったためである。
5. かれこそは太陽を輝やかせ,月を灯明とされ,その軌道を定め,年数(と時日)の計算をあなたがたに教えられた方である。アッラーがこれらを創造されたのは,只真理(を現わすため)に外ならない。かれは知識ある人びとに印を詳しく述べられる。
6. 本当に夜と昼との交替,またアッラーが天と地の間に創られる凡てのものの中には,主を畏れる者への印がある。
7. 本当にわれとの会見を期待しない者,また現世の生活に満足してこれに安心している者,そしてわれの印を疎かにする者,
8. これらの者の住まいは,その(悪い)行いのために地獄である。
9. 本当に信仰して善行に励む者には,かれらの主は,その信仰によってかれらを導かれる。至福の楽園の中に,川はかれらの足元を流れるのである。
10. その中でかれらの祈りは,「アッラーよ,あなたの栄光を讃えます。」であり,またそこでのかれらの挨拶は「平安あれ。」であり,そして祈りの結びは,「万有の主アッラーを讃えます。」である。
11. かれらが幸福へと急ぐよう,もしアッラーが人びとに対して悪を急がれるならば,(猶予の)期間はきっと終らされたであろう。われとの会見を望まない者には,法外の混乱の中で当てもなくさ迷わせることであろう。
12. 人びと(不信心者たち)が苦難に会った時は,横たわり,あるいは座り,あるいは立っていても(どんな状態のもとでも)われを呼ぶ。だがわれがかれらから苦難を除くと,(まるで)かれらを苦しめた(以前の)不幸のためわれを呼ばなかったかのように過ごしてしまう。このように愚かな者は,その行いを(悪魔によって)立派だと思わせられる。
13. 本当にわれはあなたがた以前にも,かれらが不義を行ったために,幾多の民族を滅ぼした。使徒たちが明証をかれらに与えたのだが,かれらは信じようとはしなかった。このようにわれは,罪を犯した民に報いる。
14. それからわれはかれらの後に,この地をあなたがたに継がせた。これはあなたがたが,如何に行うかを見るためである。
15. ところがわれの明瞭な印が,かれらに読・聞かされた時,われと会うことを望まない者たちは言った。「これとは別のクルアーンを持って来なさい。それともこれを改(鼠?)しなさい。」言ってやるがいい。「わたしは自分の裁量でこれを改(鼠?)することは出来ない。只,わたしに啓示されたものに従うだけである。わたしがもし主に背いたならば,偉大な日の懲罰を本当に恐れる。」
16. 言ってやるがいい。「アッラーの御心なら,わたしはあなたがたにそれを読誦せず,またかれは,あなたがたに教えられなかったであろう。その(啓示)前に,わたしは確かにあなたがたの間で,一生ほどの(40年の)歳月を過ごした。あなたがたは未だ悟らないのか。」
17. アッラーに就いて偽りを捏造し,その啓示を拒否するほど,甚だしい不義の者があろうか。罪を犯す者は,決して成功しないのである。
18. かれらはアッラーの外に,かれらを害せず,また益のないものに仕えて,「これら(の神々)は,アッラーの御前でわたしたちを執り成すものです。」と言う。言ってやるがいい。「あなたがたは,天地においてアッラーの知らないことを,かれに告げようとするのか。」かれを讃えなさい。かれはかれらが配するものの上に高くおられる。
19. 人間は(元来)唯一族(1つのウンマ)であった。だが(後に)かれらは敵対した。もし以前にあなたの主から下された御言葉がなかったならば,その相違点に就いては,かれらの間で必ず解決されていたであろう。
20. かれらは言うであろう。「何故主から一つの印もかれ(ムハンマド)に下されないのだろう。」言ってやるがいい。「幽玄界のことは,只アッラーが御支配しておられる。だから待て。わたしもまた,あなたがたと共に待つ者である。」
21. われが人間に災厄を味わせた後,慈悲を与えると,見よ,かれらはわが印に対して策謀をする。言ってやるがいい。「アッラーは,策謀に対して迅速に処置される。」本当にわが使徒たち(天使)は,あなたがたの策謀することを凡て記録するのである。
22. かれこそはあなたがたを陸に,また海に旅をさせられる御方である。それであなたがたが船に乗る時,それが順風に乗って航行すれば,かれらはそれで喜ぶ。暴風が襲うと,大波が四方から押し寄せ,かれらはもうこれまでだと観念して,アッラーに向かって,信心を尽くして祈る。「あなたが,もしわたしたちをこれから救い下されば,必ず感謝を捧げる者になります。」
23. だがかれが救助して・ると,見よ,かれらは地上において正義を侮って不義を行う。人びとよ,あなたがたの反逆は只自分自身の魂を害し,現世の生活で享楽を得るだけであるが,あなたがたはすぐにわれに帰るのである。その時われは,あなたがたの行ったことを告げ知らせるであろう。
24. 本当に,現世の生活を例えれば,天からわれが降らせる水(雨)のようなものである。それで上を潤し,人間や家畜の食べ物を茂らせる。大地が美麗な装いで覆われて飾られると,そこの(住)民は,その全権を持ったと思い込む。だがわが命令が,夜も昼も一度下れば,昨日は緊茂していたはずのものが刈き取られた株のように変り果てる。われはこのように,熟慮する人びとのために(われの)印を解明する。
25. 本当にアッラーは,人を平安の家に招き,また御好・になられた者を正しい道に導かれる。
26. 善行をした者には(天国へ入るという)素晴しい報奨があり,また追加もある。かれらの顔には,暗さや屈辱の影もないであろう。これらは楽園の住人である。永遠にその中に住むであろう。
27. だが悪を行っていた者には,同様の悪の報いがある。また屈辱に覆われ,アッラー(の怒り)からかれらを守るものはないであろう。その顔は丁度夜の暗闇に覆われたようである。これらは火獄の住人である。永遠にその中に住むであろう。
28. その日,われは一斉にかれらを招集する。その時われは,多神を崇めた者たちに言うであろう。「あなたがたそしてあなたがたの仲間は,そこに控えていなさい。」それからわれは一人一人を引き離す。その際,かれらの立てていた神々は言う。「あなたがたが拝したのは,わたしたちではなかった。
29. アッラーは,わたしたちとあなたがたとの間の,立証者として万全である。わたしたちは,あなたがたが拝しているのを実際知らなかった。」
30. そこで各人は先に送った行いを確認して,かれらの真の主,アッラーの許に連れ戻され,かれらが捏造していたものはかれらから消え去るであろう。
31. (人びとに)言ってやるがいい。「天と地から,あなたがたに用度を供給するのは誰か。聴覚や視覚を司るのは誰か。また死んだ物から,生命を(お?)し,生から死を(西?)せられるのは誰か。また凡ての事物を規制統御するのは誰であるのか。」かれらは必ず「アッラー」と言おう。言ってやるがいい。「何故あなたがたは,主を畏れないのか。
32. これが,あなたがたの真の主,アッラーであられる。真理から離れては,虚偽の外に何があろう。あなたがたは,どうして背き去るのか。」
33. このように主の掟に背く者に対し,あなたの主の御言葉は真実であることが立証された。本当にかれらは信仰しないであろう。
34. 言ってやるがいい。「あなたがたの神々の中,誰が万有の創造をし,それを繰り返すのか。」言ってやるがいい。「万有を創造され,それからそれを繰り返される御方は,アッラーである。それなのにあなたがたは,どうして(真理から)迷い去るのか。」
35. 言ってやろがいい。「あなたがたの神々の中,誰が真理に導くのか。」言ってやるがいい。「アッラーは真理に導いて下される。それで真理に導く方と,自分が導かれなければ道を見い出せない者と,どちらが従うのに値するのか。あなたがたはどうしたのか。あなたがたはどう判断するのか。」
36. かれらの多くは臆測に従うだけである。本当に臆測は,少しも真理にとって替あることは出来ない。本当にアッラーは,かれらの行うことを熟知なされる。
37. このクルアーンは,アッラー以外のものによって作られるようなものではない。それどころかこれは,それ以前にあったものの確証(の啓示)であり,万有の主からの,疑いの余地を残さない,啓典の解明である。
38. またかれらは言うのである。「かれ(ムハンマド)がそれを作ったのですか。」言ってやるがいい。「それなら,それに似た1章〔スーラ〕を持ってきなさい。またあなたがたの言葉が真実ならば,アッラー以外にあなたがたを助けることの出来る援助者に願って・なさい。」
39. いや,かれらはその知識で理解出来ないもの,またその解説がかれらに未だ下されないものを,偽りであるとする。このようにかれら以前の者も偽りであるとした。だが見よ,不義の徒の最後がどんなものであったかを。
40. かれらの中,ある者はそれ(クルアーン)を信じ,またある者はそれを信じない。あなたの主は,犯罪者を最もよく知っておられる。
41. かれらがもしあなたを虚偽の徒とするならば言ってやるがいい。「わたしの所業はわたしのためであり,あなたがたの所業はあなたがたのためである。あなたがたはわたしの行うことに関係なく,わたしはあなたがたの行うことに関係ない。」
42. かれらの中には,あなたに耳を傾ける者がある。だがあなたは,聞けない者に聞かせることができようか,かれらは,やはり理解しないのである。
43. またかれらの中には,あなたに目を注ぐ者がある。だがあなたは見えない者を導くことが出来ようか,かれらは,やはり見てはいないのである。
44. 本当にアッラーは決して人間を害されない。だが人間は自らを害する。
45. かれが,かれらを召集なされる日,かれらは昼間の一刻も滞留しなかったかのように(感じて),栗いによく覚えているであろう。アッラーとの会見を否認して,導かれなかった者たちは確かに失敗者である。
46. われがかれらと約束した(悪い結果の)一部を,(生存中に現わして)あなたに示しても,または(それを示す前に)あなたをわれに召しても,やはりかれらはわれに帰るのである。その時アッラーは,かれらの行った凡てに就いて立証される方であられる。
47. それぞれの民に対して,使徒が(遺わされたので)ある。かれらの使徒がやって来た時,事はかれらの間で公正に裁決されて,不当に扱われることはない。
48. かれらは言う。「あなたがたの言葉が真実なら,この約束が果たされるのは何時なのですか。」
49. 言ってやるがいい。「わたしは,アッラーが御好・にならない限り,自分で害しまたは益する力はない。各々の民には定められた期限がある。かれらの期限が到来すれば,一刻も猶予することは出来ない。また(それに)先んずることも出来ない。」
50. 言ってやるがいい。「あなたがたは考えないのか,かれの懲罰は夜でも昼でも,あなたがたに下るのであろ。罪深い者たちが急ぐのは,そのどの(懲罰)であるのか。」
51. 「あなたがたはそれがやって来た時,やっと信じるのか。(その時言われよう)今があなたがたが,急いでいたその時である。」
52. その時不義の徒に向かって言われるであろう。「永遠の懲罰を味わえ。あなたがたが行ったことに対してだけ,報いられるのではないか。」
53. かれらはあなたに問うだろう。「それは真実なのですか。」言ってやるがいい。「そぅだ,わたしの主にかけて,本当にそれは真実です。あなたがたは免がれられないのです。」
54. 不義を行った各人は,地上の一切のものを所有しているとすれば,必ずそれを挙げて罪を贖おうとするであろう。また懲罰を目の前に見る時,かれらは後悔を表す。だがかれらの間は公正に裁定され,不当に扱われることはないのである。
55. 天地の凡てのものは,アッラーの有ではないか。本当に,アッラーの約束は真実ではないか。しかし,かれらの多くは分らない。
56. かれは生を与え,また死を与える。そしてかれにあなたがたは帰されるのである。
57. 人びとよ,あなたがたの主から確かに勧告が下された,これは胸の中にある(病い)を(癒?)し,また信者に対する導きであり慈悲である。
58. 言ってやるがいい。「アッラーの恩恵により,またその慈悲により,かれらを喜ばせなさい。それはかれらが蓄積したものに勝る。」
59. 言ってやるがいい。「アッラーが,御恵・としてあなたがたに下されたものを考えて・なさい。何故あなたがたはその(一部を)非合法とし,また(一部を)合法としたのか。」言ってやるがいい。「アッラーがあなたがたに許されたのか,それともあなたがたがアッラーに就いて捏造したのか。」
60. 復活の日に,アッラーに就いて嘘を捏造した者たちの思うことは何であろうか。本当にアッラーは,人間に対し恩恵の限りを尽くされる。それでも,かれらの多くは感謝しない。
61. あなたが何事に従事していても,またクルアーンのどの部分を読誦していても,またあなたがたがどんな行いをしていようとも,あなたがたがそれにうち込んでいる限り,われは必ずあなたがたのための立証者である。天地の微塵の重さも,あなたの主から免れられない。またそれよりも小さいものでも,大きいものでも(凡て)はっきりと書物の中に(記されて)ないものはないのである。
62. 見なさい。アッラーの友には本当に恐れもなく,憂いもないであろう。
63. かれらは信仰し,(アッラーを)畏れていた者たち。
64. かれらに対しては現世でも,来世においても吉報がある。アッラーの御言葉には変更はない。それこそは偉大な,幸福の成就である。
65. かれらの言葉に,あなたの心を痛ませてはならない。本当に権能栄誉は,凡てアッラーの有である。かれは全聴にして全知であられる。
66. 見なさい。天地の凡てのものは,本当にアッラーの有である。アッラーを差し置いて,神々に祈っている者たちは何に従うのか。かれらは妄想に従っているだけ。自分勝手に過ぎない。
67. かれこそは,あなたがたのため夜を定め,それであなたがたを憩わせ,また昼間を明々白々にされる方である。本当にその中には聞く耳をもつ人びとに対し,印がある。
68. かれらは,「アッラーは一人の子をもうけられた。」と言う。かれに讃えあれ。かれは自足なされる御方。天地の凡てのものは,かれの有である。あなたがたはこれに対して,権威はないのである。アッラーに就いて,自分の知らないことを語るのか。
69. 言ってやるがいい。「アッラーに就いて嘘を捏造する者は,決して栄えないであろう。」
70. かれらはこの世で束の間の享楽をなし,それからわれの許に帰るのである。その時われは,不信心であったことに対して厳しい懲罰を味わせるであろう。
71. かれらにヌーフの物語を読誦しなさい。かれがその民にこう言った時を思え。「わたしの人びとよ,わたしが(あなたがたと一緒に)留り,またアッラーの印を思い出させることがあなたがたにとって迷惑であっても,わたしはアッラーを信頼する。それであなたがたは,自分で立てた神々と(相談して)あなたがたの事を決定しなさい。それであなたがたの決断に,半信半疑であってはならない。その時わたしに対する態度を決め,猶予するな。
72. 仮令あなたがたが背き去っても,わたしはあなたがたから報酬をもらうわけではなかった。わたしは只アッラーから報酬をいただくだけ。わたしは,ムスリムであるよう命じられている。」
73. だがかれらはかれ(ヌーフ)を拒否したので,われはかれとかれの味方の者たちを方舟に救い,かれらに(地を)継がせ,わが印を拒否した者を溺れさせた。見なさい。警告された者たちの最後がどんなものであったかを。
74. それからかれの後,われは使徒たちをその民に遺わし,明白な(印)を授けた。だがかれら(人びと)は以前に拒否したものを,信じようとはしなかった。このようにわれは反逆者の心を封じる。
75. それからかれらの後,わが印を持ってムーサーとハ―ルーンを,フィルアウンとその首長たちに遺わしたが,かれらは高慢で罪深い民であった。
76. 真理がわが許からかれらに(西?)された時,かれらは言った。「これは明らかに魔術である。」
77. ムーサーは言った。「あなたがたは(この現実に)(湾?)されている真理を(指して)言うのか,これが魔術であろうか。魔術師は成功しないであろう。」
78. かれらは言った。「あなたが来たのは,わたしたちの祖先が守っていた信仰から背かせるためである。あなたがた両人は,この国で高い地位を得ようとするのか。わたしたちはあなたがた両人を信じない。」
79. フィルアウンは言った。「凡ての老練な魔術師を,ここに呼んで来なさい。」
80. 魔術師が来た時,ムーサーはかれらに言った。「あなたがたの投げたいものを投げなさい。」
81. かれらが投げた時,ムーサーは言った。「あなたがたが現出したのは,魔術である。アッラーは直ぐそれを無力にされる。本当にアッラーは不義の徒の仕業を成功させない。」
82. 罪深い者たちが仮令好まなくても,アッラーは御言葉で真理を立証される。
83. かれの民の中末輩を除いては,ムーサーを信じようとしなかった。かれらはフィルアウンや首長の迫害を恐れていたのである。フィルアウンは国内で権勢を恋にし,本当に暴君であった。
84. ムーサーは言った。「わたしの人びとよ,あなたがたはアッラーを信仰するのなら,かれを信頼しなさい。もしあなたがたが服従,帰依する者であるならば。」
85. かれらは(祈って)言った。「わたしたちはアッラーを信頼します。主よ,わたしたちを,不義の民のための一試練となされず,
86. あなたの御慈悲をもってわたしたちを不信心の民から救い出して下さい。」
87. われはムーサーとその兄弟に啓示して言った。「あなたがたの民のためエジプトに住まいを定め,あなたがたの家を礼拝の場となし,礼拝の務めを守れ。また信者たちに吉報を伝えなさい。」
88. ムーサーは申し上げた。「主よ,本当にあなたはフィルアウンとその首長たちに,現世の生活の栄華裕福を御授けになりました。主よ,かれらがあなたの道から迷い出てしまいますように。主よ,かれらの富を滅ぼされ,かれらの心を頑固にして下さい。それ故痛ましい懲罰が下るまで,かれらは信じないでしょう。」
89. かれは仰せられた。「あなたがた両人の祈りは受け入れられた。だから姿勢を正し,無知な者の道に従ってはならない。
90. われは,イスラエルの子孫に海を波らせ,フィルアウンとその軍勢は,暴虐と敵意に満ちてかれらを追跡した。溺れ死にそうになった時,かれ(フィルアウン)は言った。「わたしは信仰いたします。イスラエルの子孫が信仰するかれの外に,神はありません。わたしは服従,帰依する者です。」
91. (するとかれに仰せられよう。)「何と,今(信仰するのか)。ちょっと前まであなたは反抗していた。結局あなたは犯罪者の仲間であった。
92. だが今日は,われは後の者への印とするため,あなたの体を救うであろう。だが人びとの多くはわが印を疎かにする。」