PART 17
21 - 預言者章〔アル・アンビヤ
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 清算(の日)は人間に近付いているが,かれら(不信者)は無関心に背き去る。
2. かれらの主から新しい訓戒が来る度に,かれらはそれを笑い草として聞くに過ぎない。
3. かれらは心の中でふざけている。そして悪事を行う者たちは,密談して(言う)。「これは,あなたがたと同様只の人間ではないですか。あなたがたは目で見ていながら,魔術にでもかかったのですか。」
4. 言ってやるがいい。「わたしの主は,天と地の間で(語られる)言葉(の凡て)を知っておられる。かれは全聴にして全知であられる。」
5. かれらは,「いや,(それは)夢の寄せ集め。いや,かれの偽作です。いや,かれは詩人です。昔(の使徒に)下されたような印を,わたしたちに(有?)して下さい。」と言った。
6. かれら以前にわれが滅ぼした都市でも,信仰する者は1人もいなかった。それでもかれらは信仰しないつもりなのか。
7. あなた以前に,われが啓示を授けて遣わした使徒たちも,人間に過ぎなかった。もしあなたがた,これが分らないなら訓戒を受けた民に聞け。
8. われはかれら(使徒たち)に,食物をとらないような体は授けなかった。またかれらは永久に生きる訳でもなかった。
9. 結局,わが約束をかれらに果し,かれらとわれの欲するものを救い,違犯した法外の者たちを滅ぼした。
10. われは,あなたがたへの訓戒として啓典を啓示したのである。それでもあなたがたは悟らないのか。
11. 如何にわれは,多くの悪を行っていた都市を滅ぼして,その後に別の民を立てたか。
12. それでわれの懲罰(が下るの)を感じると,見なさい。かれらはそこから逃げ(ようとす)る。
13. 逃げてはならない。楽しんだ所,あなたがたの住まいに返れ。あなたがたは尋問されるであろう。
14. かれらは言った。「ああ,情けない,わたしたちは本当に不義の徒でした。」
15. そしてかれらのこの叫び声は,われがかれらを根こそぎ滅ぽし火の消えたように沈黙させるまで止まなかった。
16. われは天と地,またその間にあるものを,戯れに創ったのではない。
17. もしわれが戯れを望・,仮りにそうするならば,わが手近なもの(非物質的な霊的なもの)から選んだであろう。
18. いや,われは真理を虚偽に投げつけると,その頭を砕く。見なさい。虚偽は消滅する。あなたがたが(われに就いて)言うことこそ,あなたがたにとり災いである。
19. 天と地の凡てのものは,かれの有である。またその側近にいる者(天使)は,かれに仕えて高慢でもなく,疲れも知らない。
20. かれらは毎日毎晩にかれを讃え,休むことを知らない。
21. それともかれらは,(死者を)甦らすことの出来る神々を地上からえたのか。
22. もし,その(天地の)間にアッラー以外の神々があったならば,それらはきっと混乱したであろう。それで玉座の主,かれらが唱えるものの上に(高くいます)アッラーを讃えなさい。
23. かれは,その行われたことに就いて,尋問を受けることはない。だがかれらこそ尋問されるのである。
24. それともかれらは,かれを差し置いて外の神々を崇めたのか。言ってやるがいい。「あなたがたの証拠を出して・なさい。これはわたしと共にいる者への訓戒であり,また以前の世代の者への訓戒である。」だがかれらの多くはこの真理を理解出米ずに背き去る。
25. あなた以前にも,われが遺わした使徒には,等しく,「われの外に神はない,だからわれに仕えよ。」と啓示した。
26. かれらは,「慈悲深き御方は子をもうけられます。」と言った。ああもったいない。いや,(かれら天使は)栄誉あるしもべである。
27. かれら(天使たち)は,かれより先に告げることもなく,またかれの命令に基いて行動するだけである。
28. かれは,かれら(天使)以前にあるものも,以後にあるものをも知っておられ,かれが受け入れる者の外は,執り成しをしない。かれら(天使)はかれに畏れ仕える。
29. もしかれらの中に,「本当にわたしは,かれとは別の神である。」と言う者があれば,われはこのような者を,地獄で報いる。不義を行う者にこのように報いる。
30. 信仰しない者たちは分らないのか。天と地は,一緒に合わさっていたが,われはそれを分けた。そして水から一切の生きものを創ったのである。かれらはそれでも信仰しないのか。
31. われはまた,大地に山々を据えてかれら不信心者にとっても大地を揺るぎないものとした。またそこに,往来のための広い道を創った。それでかれらは必ず利するところがあろう。
32. 更にわれは,天を屋根とし守護した。それでもかれらは,これらの印から背き去る。
33. かれこそは昼と夜,また太陽と月を創造された方である。それらは,軌道に浮んでいる。
34. われはあなた以前の誰に対しても,永久に生きる者としたことはない。あなたは死ぬのに,かれらは永久に生きるというのか。
35. 人はすべて死を味わう。われは試練のために,凶事と吉事であなたがたを試・る。そして(最後は)われに帰されるのである。
36. 信仰しない者はあなたを見る時,只嘲笑の的にする。(かれらは言う。)「この者ですか,あなたがたの神々を批判する者は。」かれらは慈悲深き御方の訓戒を,冒(演?)する者である。
37. 人間は気短かに創られている。われは直ぐに印を示すであろう。だから急いであれに催促してはならない。
38. またかれらは,「あなたがたの言葉が真実なら,その約束は何時(来るの)か。」と言う。
39. もし不信者が(その日)その時,顔からも,また背からも業火を防ぐことが出来ず,また助ける者もない日のことを知っていたならば。
40. いや,それは突然かれらを襲って,驚き慌てさせよう。かれらはそれを避ける力もなく,猶予されないであろう。
41. あなた以前の使徒たちも,確かに嘲笑された。だが嘲笑した者は,嘲笑していたことに取り囲まれるのである。
42. 言ってやろがいい。「慈悲深き御方(の怒り)から,昼夜誰が,あなたがたを守れようか。」それでもかれらは,主を念じることから背き去る。
43. それともかれらには,われ以外にかれらを守護出来る神々があるのか。かれら(神々)は,自分自身も助けられず,またわれから防ぎおおせない。
44. それなのに,われはこれらの者やその祖先たちを享楽させ,その期限まで永らえさせた。われがこの(不信心者の)地に来て,その隅々から征服しているのを見ないのか。それでもかれらは勝利者なのか。
45. 言ってやるがいい。「わたしは只啓示によって,あなたがたに警告するだけである。」だが聞かない者は,警告されてもその呼びかけが聞こえない。
46. そしてあなたの主の懲罰の息吹が,もしかれらに(少しでも)触れれば,「ああ,情けない。わたしたちは本当に不義を行いました。」と言う。
47. われは審判の日のために,公正な汗を蝕ける。1人として仮令芥子一粒の重さであっても不当に扱われることはない。われはそれを(計算に)持ち出す。われは清算者として万全である。
48. 且つてわれは,ムーサーとハールーンに,識別と光明と,畏れる者への訓戒を授けた。
49. 目に見えなくても主を畏れる者と,審判の時を畏れる者への訓戒を授けた。
50. この(クルアーン)こそは,われが下した祝福豊かな訓戒である。あなたがたは,それでもなお拒否するのか。
51. われは以前イブラーヒームに,方正な行いを授けた。われはかれをよく知っている。
52. かれが父とかれの人びとに,こう言った時を思いなさい。「あなたがたが崇拝するこれらの偶像は,何ものであるのか。」
53. かれらは言った。「わたしたちは,祖先がそれらを崇拝するのを見ました。」
54. かれは言った。「あなたがたとあなたがたの祖先は,明らかに誤っていたのである。」
55. かれらは言った。「あなたは真理を(西?)したのですか。それとも戯れる者なのですか。」
56. かれは言った。「そうではない。あなたがたの主は,天と地の主。(無から)それら(天地)を創造された方である。そしてわたしはそれに対する証人の一人である。
57. アッラーに誓って,わたしはあなたがたが背を向けて去った後に,あなたがたの偶像に一つの策をめぐらそう。」
58. こうしてかれは,必ずかれらがそこに返って来るであろうと(思って),唯一体の巨像を除きそれらを叩き壊した。
59. かれらは言った。「誰がわたしたちの神々をこうしたのでしょうか。本当にかれは不義な者です。」
60. (或る者が)言った。「わたしたちは,イブラーヒームという若者が,その方々を批判するのを聞いた。」
61. かれらは言った。「それなら,その者を入びとの目の前に引き出せ。必ず皆が証言するでしょう。」
62. 「イブラーヒームよ,あなたなのですか。わたしたちの神々に対しこのようなことをしたのは。」と一同は言った。
63. かれは(答えて),「いや,いや,それらの中のこの大きい(偶像)がそれをしたのです。かれらが口が利けるものなら聞いて・なさい。」と言った。
64. そこでかれらは,自ら(良心に)顧・て(心に)言った。「確かにあなたがた(自身)が悪いのです。」
65. 間をおいて,かれらはまた翻意し(て言っ)た。「あなたはこれら(神々)の,口が利けないのをよく知っていました。」
66. イブラーヒームは言った。「それならあなたがたは,アッラー以外のものを崇拝するのですか。あなたがたを,少しも益せずまた損わないものを。
67. ああ,情けないことです。あなたがたも,あなたがたがアッラーを差し置いて崇拝するものたちも。あなたがたは,なお悟らないのですか。」
68. かれらは言った。「どうせやるなら,かれを焼きなさい。そしてあなたがたの神々を救いなさい。」
69. (その時)われは命令した。「火よ,冷たくなれ。イブラーヒームの上に平安あれ。」
70. かれらはかれに対し策動しようとしたが,われはかれらを酷い失敗者にした。
71. われはかれと(その甥の)ルートを,万有のためにわれが祝福した地に救い出した。
72. そしてかれに(子の)イスハークを授け,またその上の賜物として(孫の)ヤアコーブを授けた。われはそれぞれを,正しい者にした。
73. われはかれらを,わが命令を奉じて(人びとを)導く導師とし,かれらに善行に励・,礼拝の務めを守り,定めの喜捨をするよう啓示した。そしてかれらは一生懸命にわれに仕えた。
74. またわれはルートに判断力と英知とを授け,且つ破廉恥な行いに耽る町から,かれを救い出した。かれらは,主の掟に背く邪悪な民であった。
75. かれ(ルート)をわれの慈悲に浸らせた。本当にかれは正しい者であった。
76. またヌーフだが,以前かれが祈った時を思いなさい。われはそれに答えて,かれとかれの家族を,大きい災難から救った。
77. われは,わが印を拒否する民に対し,かれを助けた。本当にかれらは邪悪な民であった。それでわれは,凡てかれらを溺れさせた。
78. またダーウードとスライマーンだが,ある者の羊が夜間耕地に迷い込・,作物を荒したが,それに就いて裁判した時のことを思いなさい。われはかれらの裁判の立証者であった。
79. われはそれをスライマーンに理解させた。そしてそれぞれに判断力と英知を授け,またわれはダーウードに山々や鳥たちを従わせて(主を)共に讃えさせた。それは(皆)われの仕業であった。
80. またわれは,かれに(鎖)帷子を作る術を教え,暴力からあなたがたの身を守らせた。それでもあなたがたは感謝しないのか。
81. またわれは,猛威を奮う風(を起す術)をスライマーンに(授け),かれ(スライマーン)の命令の下に,われが祝福する地に吹かせた。われは凡てのことを知るものである。
82. また悪魔たちの中にも,かれのために潜水する者あり,またその外の仕事をしている者もあった。われはいつもかれらを見張っていた。
83. またアイユーブ(に英知と判断力を授けた)。かれは主に呼びかけた。「本当に災厄がわたしに降りかかりました。だがあなたは,慈悲深いうえにも慈悲深い方であられます。」
84. それでわれはこれに応えて,かれに取り付いた災厄を除き,かれに家族を授け,その人々を倍加した。(これは)われからの慈悲であり,またわれに仕える者に対する訓戒である。
85. またイスマーイール,イドリースとズ・ル・キフルである。全員がよく耐え忍ぶ者であった。
86. われはかれらをわが慈悲に浴させた。本当にかれらは,正しい者であった。
87. またズン・ヌーンである。かれが激怒して出かけた時を思いなさい。かれは,われが自分を難儀させるようなことはないと思いながらも,暗闇の中で,「あなたの外に神はありません。あなたの栄光を讃えます。本当にわたしは不義な者でした。」と叫んだ。
88. それでわれはかれに応え,かれをその苦難から数った。われはこのように,信仰する者を救助するのである。
89. またザカリーヤーである。かれが主に(祈って),「主よ,最も優れた相続者であられる御方よ。わたしを孤独のまま放って置かないで下さい。」と叫んだ時のことを思いなさい。
90. それでわれはこれに応え,かれにヤヒヤーを授け,また妻をかれに相応しくした。かれらは栗いに競って善行に動し・,また希望と畏れをもって,われに祈っていた。われに対し(常に)謙虚であった。
91. また自分の貞節を守った女(マルヤム)である。われはかの女にわが霊を吹き込・,かの女とその子を万有のための印とした。
92. 本当に,あなたがたのこのウンマこそは,唯一の共同体である。そしてわれはあなたがたの主である。だからわれに仕えなさい。
93. それなのにかれらは,その(宗教上の)事柄を,かれらの間で切り放し(宗派を作っ)た。(間もなく)かれらは皆われに帰るのである。
94. 誰でも善行に励・,信仰している者は,決してその努力を虚しくされることはない。われはかれらのために,必ず(それを)記録している。
95. われが滅ぼした都市には禁令が(強制的に)あって,かれらは帰って来られないであろう。
96. ヤァジュージュとマァジュージュが解放されて,どの丘からも勢いよく下って来る時までは。
97. 其実の約束は近付いているのである。見なさい。信仰しない者の目は坐ってきて(言うであろう)。「ああ,情けない。わたしたちはこのことを疎かにしていました。いや,わたしたちは不義な者でした。」
98. 本当にあなたがた(不信者)も,アッラーの外にあなたがたの崇拝するものも,地獄の燃料である。あなたがたはそこに(必ず)落ちて行くのである。
99. これらがもし神であったならば,そこに落ちるようなことはなかったであろう。だが(かれらは)それぞれ,その中に永遠に住むのである。
100. かれらはその中で呻く,そこでは(外に何も)聞こえないであろう。
101. われから善行(の記録)を以前に与えられている者は,地獄から遠く離され,
102. そこの微な音も聞こえないであろう。そしてかれらの魂が念願していた所に永遠に住む。
103. 大きな恐れがかれらを悩ますことはなく,天使たちは出迎えて(言うであろう)。「これが約束された,あなたがたの日です。」
104. その日われは,書き物を巻くように諸天を巻き上げる。われが最初創造したように,再び繰り返す。これはわれの定めた約束である。われは必ずそれを完遂する。
105. われは(ムーサー)に訓戒を授けた後,詩篤の中に,「本当にこの大地は,われの正しいしもベがこれを継ぐ。」と記した。
106. 本当にこの(クルアーン)の中には,(アッラーを)崇拝する者への消息がある。
107. われは只万有への慈悲として,あなたを遣わしただけである。
108. 言ってやるがいい。「わたしに啓示されたのは,あなたがたの神は唯一の神であると言うことである。ところであなたがたは,帰依しているのか。」
109. もしかれらが,背き去れば言ってやるがいい。「わたしは(あなたがたに)同じように宣教した。だがあなたがたに約束されたことが,近いか遠いかわたしは知らない。
110. 本当にかれは,露な言葉を聞き知っておられる。またあなたがたの(心に)隠すことも知っておられる。
111. だがわたしは,その(猶予)があなたがたへの試・であるのか,または一時期のための享楽であるのかを知らない。」
112. かれは言った。「主よ,真理によって御裁き下さい。わたしたちの主は,あなたがたが口に出す(冒(演?))に対する御助けを御願い出来る慈悲深い方であられる。」
22 - 巡礼章〔アル・ハッジ〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 人びとよ,あなたがたの主を畏れなさい。(審判の)時の震動は,全く一重大事である。
2. その日あなたがたは見るだろう。凡ての哺乳する者は,哺乳することを忘れ,凡ての妊婦はその胎児を流し,また人びとは酔わないのに,酔いしれたように見えよう。思うに,アッラーの懲罰が厳しいからである。
3. だが人びとの中には,知識もなくアッラーに就いて批判する,反抗的な悪魔などに従う者もいる。
4. かれ(悪魔)に就いては,こう定められる。「誰でもかれを友とする者があれば,かれはその者を迷わせて,炎の懲罰に導くのである。」
5. 人びとよ,あなたがたは復活に就いて疑うのか。われがあなたがたを創るさいには先ず土から始め,次いで精液の一滴,次いで血の固まりとし,更に形をなした。また形をなさない肉魂から(あなたがたを創った)。あなたがたに(わが偉力を)明示するためである。われは欲する者を,定めた時期まで胎内に置き,それから赤ん坊としてあなたがたを出生させ,それから成年に到達させる。あなたがたの中或る者は(若くして)死なせる者もあり,また或る者は何がしかを知った後,凡て忘れ去る程に弱まる老齢に返される者もある。またあなたは大地が枯れて荒れ果てるのを見よう。だがわれが一度それに雨を降らせると,(生気が)躍動し膨らんで,凡ての植物が雌雄で美しく萌え出る。
6. これはアッラーこそ真理であり,死者に生を与え,凡てのものの上に全能であられるからである。
7. 本当に,(審判の)時はやって来る。それに就いて疑いの余地はない。本当にアッラーは,墓の中の者を甦らされるのである。
8. だが人びとの中には,アッラーに就いて知識もなく,導きもなく,また光明の啓典もなく,戯に批判し,
9. 倣限な態度をとって,人びとをアッラーの道から迷わせようとする者がある。かれらは現世において,屈辱をなめ,またわれは審判の日に炎の懲罰を味わせる。
10. (その時言われよう)。「これは,あなたの手がやったことの報いである。アッラーはそのしもべたちに対し,決して不正をなされない。」
11. また人びとの中に偏見をもって,アッラーに仕える者がある。かれらは幸運がくれば,それに満足している。だが試練がかれらに降りかかると,顔を背ける。かれらは現世と来世とを失うものである。これは明白な損失である。
12. かれらはアッラーを外にして,自分に害もなくまた益もないものに祈る。これは遠く迷う者である。
13. かれらは自分を益するものよりも,害の方に近いものに向かって祈る。何と悪い保護者であり,悪い仲間であることよ。
14. アッラーは,信仰して善い行いに動しむ者を,川が下を流れる楽園に入らせられる。本当にアッラーは御望・のことを行われる。
15. アッラーは現世でも来世でも,かれ(使徒)を助けられないと考える者があれば,かれに天井に縄を張らせて・るがいい。それから(自らを地面から)切り離して・るがいい。(首を棚ること。)それでかれのその行為が,かれの怒りを取り除くことが出来るものか,よく眺めさせて・るがいい。
16. このように,われは明白な印(クルアーン)を下した。本当にアッラーは御望・の者を導かれる。
17. 本当に(クルアーンを)信じる者,ユダヤ教を奉じる者またサービア教徒,キリスト教徒,拝火教徒そして偶像信者たち,アッラーは審判の日に,かれらを裁決なされる。本当にアッラーは凡てのことの立証者であられる。
18. あなたは見ないのか,天にある凡てのものが,アッラーに,サジダするのを。また地にある凡てのものも,太陽も月も,群星も山々も,木々も獣類も,また人間の多くの者がサジダするのを見ないのか。だが多くは懲罰を受けるのが当然な者たちである。またアッラーが見下げられた者を,誰も尊敬することは出来ない。本当にアッラーは御望・のことを行われる。〔サジダ〕
19. これら両者は,かれらの主に就いて論争する敵手である。それで(主を)拒否する者のために仕立てられるのは,炎の衣装であろう。かれらに頭上から熱湯が注がれて,
20. 腹の中の物も皮膚も,それで溶かされるであろう。
21. その上,かれらには鉄の鞭が加えられる。
22. 苦しさのため,そこから出ようとする度に,その中に押し戻され,「火炙りの刑を味わえ。」(と言われよう)。
23. 本当にアッラーは,信仰して善行に励む(外の一団の)者を,川が下を流れる楽園に入らせられる。かれらはそこで,黄金の腕輪と真珠に飾られ,衣装はそこでは絹(ずくめ)であろう。
24. かれらは純正な言葉に導かれ,讃美すべき方の道に導かれる。
25. 本当に信仰を拒否した者,(人びとを)アッラーの道から妨げる者,そこ(マッカ)の居住者であろうと,外来者であろうと凡て,われが人びとのために建立した聖なるマスジド(に入ること)を拒否する者,そしてその中で神聖を汚し不義を企む者には,われは痛ましい懲罰を味わせるであろう。
26. われがイブラーヒームのために,(聖なる)家の位置を定め(こう言った)時のことを思いなさい。「誰も,われと一緒に配してはならない。そしてタフーフ(回巡)する者のため,また(礼拝に)立ち〔キヤーム〕,立礼〔ルクーウ〕しサジダする者のために,われの家を清めよ。
27. 人びとに,巡礼〔ハッジ〕するよう呼びかけよ。かれらは歩いてあなたの許に来る。あるいは,どれも痩せこけているラクダに乗って,遠い谷間の道をはるばる来る。
28. それは自らの(現世と来世の)御利益に参加し,また定められた日の間,かれがかれらに与えられた(犠牲の)家畜の上にアッラーの御名を唱え,それから『あなたがたはそれを食べ,また困窮している者にも食べさせなさい。』
29. それからかれらの必要な儀式を終え,誓いを果し,そして古来の家(カアバ)を,タワーフしなさい。」
30. 以上(が巡礼の定め)である。アッラーの神聖(な儀式)を順守する者は,主の御許では最も善い者である。それから家畜は,あなたがたに読・聞かされたものを除き,(巡礼中の食料として)合法である。それで偶像の汚れから離れ,虚偽の言葉を避けなさい。
31. アッラーに純正に服従,帰依し,神々をかれに配してはならない。アッラーに神々を配する者は,丁度天から落ちて鳥に攫われた者のようである。または風が,かれを遠い所に吹き攫った者のようである。
32. 以上(が定め)である。アッラーの儀式を尊重する態度は,本当に心の敬虔さから出てくるもの。
33. それら(の家畜)は,定めの期限まで,あなたがたに役立てたうえ古来の家(カアバ)の近くで犠牲として捧げられるのだから。
34. われは凡てウンマの(供儀の)儀式を定めた。かれが授けられる4つ足の家畜の上に,アッラーの御名を唱えなさい。本当にあなたがたの神は,唯一の神であられる。だからかれに服従,帰依しなさい。あなたは,謙虚な者たちに吉報を伝えなさい。
35. これらの者は,アッラーの御名が唱えられる時,心は畏怖に満ち,遭遇することによく耐え忍び,礼拝の務めを守り,またわれが授けたものを施す者たちである。
36. また(犠牲の)ラクダ(や牛)を,われはあなたがたのためアッラーの儀式用とした。それらにはあなたがたへの(多くの)利益がある。(犠牲に供えるに当り)並べて,それらの上にアッラーの御名を唱えなさい。そしてそれらが横ざまに倒れ(動かなくなっ)たならば,あなたがたはそれを食べ,また口に出して請わない者,物請いする者たちに食べさせなさい。このようにそれらをあなたがた(の用)に供させるのもあなたがたに感謝の念を起させるためである。
37. それらの肉も血も,決してアッラーに達する訳ではない。かれに届くのはあなたがたの篤信〔タクフー〕である。このようにかれは,それらをあなたがた(の用)に供させるが,これはあなたがたへのかれの導きに対し,アッラーを讃えさせるためである。善い行いの者たちに吉報を伝えなさい。
38. 本当にアッラーは,信仰する者を守護なされる。アッラーは,裏切り者,恩を忘れる者を御好・になられない。
39. 戦いをし向ける者に対し(戦闘を)許される。それはかれらが悪を行うためである。アッラーは,かれら(信者)を力強く援助なされる。
40. (かれらは)只「わたしたちの主はアッラーです。」と言っただけで正当な理由もなく,その家から追われた者たちである。アッラーがもし,或る人びとを外の者により抑制されることがなかったならば,修道院も,キリスト教会も,ユダヤ教堂も,またアッラーの御名が常に唱念されているマスジド(イスラームの礼拝堂)も,きっと打ち壊されたであろう。アッラーは,かれに協力する者を助けられる。本当にアッラーは,強大で偉力ならびなき方であられる。
41. (かれに協力する者とは)もしわれの取り計いで地上に(支配権を)確立すると礼拝の務めを守り,定めの喜捨をなし,(人びとに)正義を命じ,邪悪を禁ずる者である。本当に凡ての事の結末は,アッラーに属する。
42. 仮令かれらが,あなたを虚言の徒であるとしても,かれら以前にも,ヌーフの民も,アードもサムードも(その預言者を)信じなかった。
43. またイブラーヒームの民も,ルートの民も,
44. マドヤンの住民も(信じなかった)。またムーサーも拒否された。それでもわれは不信者に猶予を与え,結局かれらに懲罰を与えた。われの拒否はどんなものであったのか。
45. われはをかれらが悪を行っている間に,如何に多くの町を滅ぼしたことであろうか。それらは,屋根を下にして倒れ潰れた。また(如何に多くの)井戸や堅固な城が見捨てられたことであろうか。
46. かれらは心に梧りが開けるよう,またその耳が聞くように,地上を旅しなかった。本当に盲人となったのは,かれらの視覚ではなく,寧ろ胸の中の心なのである。
47. かれらはあなたに,すばやい懲罰を求める。だがアッラーは約束に背かれない。本当に主の御許における一日は,あなたがたの計算する千年に当る。
48. われは,如何に多くの悪を行う都市を猶予し,それからこれらを処罰したことであろうか。帰り所はわれの許にあるのである。
49. 言ってやるがいい。「人びとよわたしは,あなたがたにはっきり警告する(ため遣わされた)者である。」
50. 信仰して善行に勤しむ者は,御赦しと栄誉ある糧を与えられる。
51. だがわが印を虚しくするように努める者は業火の仲間である。
52. あなた以前にわれが遣わした使徒や預言者でも,何か望・をもつと,悪魔がその欲望を唆したものであった。だがアッラーは,悪魔の誘惑を無にされ,御自分の印を堅固になされた。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
53. かれは,悪魔の誘惑で,心に病のある者,心の頑固な者を試・なされる。本当に悪を行う者たちは,(真理から)遠くかけ離れる。
54. また知識を与えられている者たちは,この(クルアーン)があなたの主からの真理であることを知り,心を謙虚にしてそれを信じる。本当にアッラーは,信仰する者たちを正しい道に導かれる方である。
55. 信仰のない者はそれに就いて疑いを抱き続けよう。(審判の)時が,突然かれらに襲いかかるか,災厄の日の懲罰が来るまでは。
56. その日,大権はアッラーの有である。かれは,かれらの間を裁かれる。それで,信仰して善い行いをした者は,歓喜の楽園に入る。
57. 背信して,われの印を虚偽であるとした者には恥ずべき懲罰がある。
58. アッラーの道のために移住し,その後(戦いで)殺され,または死んだ者には,アッラーは必ず善美な糧を与えるであろう。本当にアッラーこそは,最も優れた給養を与える方であられる。
59. かれは,必ずかれらが喜ぶ所に入らせられる。本当にアッラーは全知にして聡明な御方である。
60. それは(こうである)。誰でも自分が被ったものと同じ報復をしたのに,また不当な仕打ちをされるならば,アッラーは必ずこの者を助けなされる。本当にアッラーは寛容にしてよく赦される御方である。
61. それは,アッラーが夜を昼の中に割り込ませ,また昼を夜の中に割り込ませるためである。本当にアッラーは全聴にして全視であられる。
62. これも,アッラーこそ真実であり,かれらがかれ以外に祈るものが偽りの(神の)ためである。本当にアッラーは至高にして至大であられる。
63. アッラーが天から水(雨)を降らせられれば,大地が緑になるのをあなたは見ないのか。本当にアッラーは親切にして知悉される御方である。
64. 天にあり地にある凡てのものは,かれの有である。アッラー,本当にかれは,満ち足られる御方,讃美されなべき御方である。
65. あなたは見ないのか。アッラーは地上の凡てのものをあなたがたに従わせ,かれの命令によって,船を海上に走らせられる。また天をかれの御許しなく地上に落ちないよう支えられる。本当にアッラーは人間に,優しく慈悲を垂れられる御方である。
66. かれこそはあなたがたに生を授け,間もなく死を与え,それからまた甦らせられる方である。本当に人間は恩を忘れる。
67. われは凡てのウンマに守られるべき儀式を定めた。それでこれに関し,かれらにあなたと論争させてはならない。あなたの主に(かれらを)招きなさい。本当にあなたは,正しい導きの上にいる。
68. かれらがもしあなたがたと論争するならば,言ってやるがいい。「アッラーは,あなたがたの行うことを最もよく知っておられる。
69. アッラーは審判の日に,あなたがたがそれに就いて相違したことに関し,あなたがたを裁かれる。」
70. あなたはアッラーが,天にあり地にある一切を知っておられることを知らないのか。それは凡て記録に載せてある。それは,アッラーにおいては容易なことである。
71. かれらはアッラーを外にして,何の権威も授かっていないもの,またそれに就いて何の知識もないものを崇拝している。悪を行う者には援助者もない。
72. われの明瞭な印が読誦される時,あなたは信仰しない者たちの顔に,拒絶の色が浮かぶのを認めるであろう。かれらにわが印を読誦する者に向かって,攻撃を加えようとさえする。言ってやるがいい。「わたしはそれよりも更に悪いものを,あなたがたに告げようか。それは火獄である。アッラーは信仰しない者たちに,それを約束なされる。何と悪い住居であることよ。」
73. 人びとよ,一つの比(輪?)を説くから,それを謹んで聞きなさい。本当にあなたがたがアッラーの外に祈るものは,仮令かれらが束になっても,一匹の蝿(さえ)も創れない。また蝿がかれらから何か奪い去っても,それを取り戻すことも出来ない。祈る者も,祈られる者も,全く力がないのである。
74. かれらは,アッラーの真価の程を評価していない。本当にアッラーは強大にして偉力ならびなき御方である。
75. アッラーは,天使と人間の中から,使徒を選ばれる。本当にアッラーは全聴にして全視であられる。
76. かれは,かれらの前にあるものも,かれらの後ろに有るものをも知っておられる。アッラーの御許に(凡ての)事物は帰されるのである。
77. あなたがた信仰する者よ。立礼〔ルクーウ〕しサジダして,あなたがたの主に仕えなさい。そして善行に動しめ。必ずあなたがたは成功するであろう。〔サジダ〕
78. アッラーの(道の)ために,限りを尽くして奮闘努力しなさい。かれは,あなたがたを選ばれる。この教えは,あなたがたに苦業を押しつけない。これはあなたがたの祖先,イブラーヒームの教義である。かれは以前も,またこの(クルアーン)においても,あなたがたをムスリムと名付けられた。使徒はあなたがたのための立証者であり,またあなたがたは人びとのための立証者である。だから礼拝の務めを守り,定めの喜捨を行い,確りとアッラーに縋りなさい。かれはあなたがたの守護者である。何と優れた守護者,何と優れた援助者であることよ。