PART 18
23 - 信者たち章〔アル・ムウミ
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 信者たちは,確かに勝利を勝ちとる。
2. かれらは,礼拝に敬虔であり,
3. 虚しい(凡ての)ことを避け,
4. 施し〔ザカート〕のために励・,
5. 自分の陰部を守る者。
6. ただし配偶と,かれらの右手に所有する者(奴隷)は,別である。かれらに関しては,咎められることはない。
7. しかし法を越えて求める者は,アッラーの掟に背く者である。
8. また信託と約束に忠実な者,
9. 自分の礼拝を(忠実に)守る者である。
10. これらの者こそ本当の相続者で,
11. フィルダウス(天国)を継ぐ者である。かれらはそこに永遠に住むのである。
12. われは泥の精髄から人間を創った。
13. 次に,われはかれを精液の一滴として,堅固な住・かに納めた。
14. それからわれは,その精滴を一つの血の塊に創り,次にその塊から肉塊を創り,次いでその肉塊から骨を創り,次に肉でその骨を覆い,それからかれを外の生命体に創り上げた。ああ,何と素晴しいアッラー,最も優れた創造者であられる。
15. それから後,あなたがたは必ず死ぬ。
16. それから復活の日に,甦らされるのである。
17. われはあなたがたの上に,7つの天を創った。決してわれは創造を等閑にはしない。
18. われは天から適量の雨を降らせ,それを地中に止まらせる。またわれは,それを無くすことも出来る。
19. われはそれで,あなたがたのためにナツメヤシとブドウの園を育てた。園の中には多くの果実があって,あなたがたはそれを食べる。
20. またシナイ山に産する一本の樹があって,油が採れ,食べものに味わいを付ける。
21. それから家畜にも,あなたがたへの教訓がある。われはそれらの腹の中にあるものをあなたがたに飲ませる。それらには多くの用途があり,またあなたがたはその(肉)を食べる。
22. あなたがたはそれらに乗り,また船によって運ばれる。
23. われはヌーフをその民に遣わした。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。かれの外には,あなたがたに神はないのである。あなたがたはかれを畏れないのか。」
24. 人びとの中,信仰のない長老たちは言った。「何だこれは,あなたがたと同じ只の人間ではないですか。かれはあなたがたの上に,高く留りたいのでしょう。もしアッラーが御望・なら,かれは天使を遣わすべきです。わたしたちは,昔の祖先からも,こんなことは聞きませんでした。
25. この男は只(ほ?)かれた人間に過ぎません。だから暫く待って様子を・ましょう。」
26. かれは(祈って)言った。「主よ,かれらはわたしを嘘付きであるといいます。どうか御助け下さい。」
27. それでわれはかれに啓示した。「われの啓示に従って,われの目の前で舟を造れ。われの命令が下って,釜が滾り(温?)れたら,かれらの中で宣言が既に下された者を除き,あなたは凡ての(生き)もの一番と,あなたの一家を乗り込ませなさい。悪を行った者のために,われに嘆願してはならない。かれらは必ず溺れるのである。
28. そして一緒の者と舟の中に落ち着いたら(祈って)言え,「悪を行う人びとから,わたしたちをお救い下さったアッラーに讃えあれ」
29. 言え,「主よ,祝福された上陸地点に,わたしを上陸させて下さい。本当にあなたは最も優れた上陸を叶えられる方であります」
30. 本当にこの中には(理解ある者への)種々の印がある。われは(人びとを)試練するものである。
31. それからかれらの後に,われは外の世代を創りあげた。
32. われはかれらの間から(選んだ)使徒を,かれらに遺わして,(言わせた。)「アッラーに仕えなさい。かれの外に,あなたがたに神はないのです。あなたがたは(かれを)畏れないのですか。」
33. かれの民の中の長老で信仰がなく,来世の(アッラーとの)会見を嘘であるとし,現世で羽振りのよい者たちは言った。「これはあなたがたと同じ一人の人間に過ぎません。あなたがたの食べるものを食べ,あなたがたの飲むものを飲んでいます。
34. あなたがたが,自分と同じ人間に従うならば,必ず失敗するでしょう。
35. あなたがたは死んで土と骨になってから(再び)甦らされると,かれは約束したのですか。
36. そんな約束はまったくあり得ません。
37. わたしたちには,現世の生活の外はないのです。わたしたちは死んでまた生きかえるでしょうか。わたしたちは,決して甦らされることはないのです。
38. かれはアッラーに就いて,虚言を捏造した只の人間に過ぎません。わたしたちは,かれを信じません。」
39. かれは(祈って)言った。「主よ,かれらはわたしを嘘付きであるといいます。どうか御助け下さい。」
40. かれは仰せられた。「暫くしたら,かれらは必ず悔いるであろう。」
41. それで一声(懲罰)が確実にかれらを襲い,われはかれらを(時の流れに浮ぶ)泡屑にした。だから悪を行う者よ遠ざかれ。
42. それからかれらの後に,われは外の諸世代を創った。
43. 誰もその定められた期限に,先にすることも遅れることも出来ない。
44. そこでわれは次々に使徒を遺わした。だが使徒が一つの民に現われる度に,かれらはかれを嘘つき呼ばわりした。それでわれは(このような不義の徒を)次々にあとを追わせ,(滅ぼし),かれらを昔の語り草にした。だから信仰しない者よ遠ざかれ。
45. またわれは,わが種々の印と明瞭な権威とを授けて,ムーサーとその兄弟のハールーンを遺わした。
46. フィルアウンとその長老たちの許に。だがかれらは横柄で思い上った者たちであった。
47. かれらは言った。「わたしたち同様に人間にすぎない二人を(どうして)信じられましょうか。しかもかれらの民は,わたしたちの奴隷ではないですか」
48. それでかれらは,両人を嘘つきであるといい,結局滅ぼされた。
49. われは,かれらが正しく導かれるよう,ムーサーにしかと啓典(律法)を授けた。
50. またわれは,マルヤムの子とその母を印となし,両人を泉の涌き出る安静な丘の上に住まわせた。
51. あなたがた使徒たちよ,善い清いものを食べ,善い行いをしなさい。われはあなたがたのすることを熟知している。
52. 本当にあなたがたのこのウンマは,唯一の共同体である。われはあなたがたの主である。われを畏れよ。
53. それなのにかれらは諸宗派に分裂した。しかも各派は自分たちが素晴らしいと言っている。
54. だから当分の間,迷いのままにかれらを放置しなさい。
55. かれらはわれが,財宝と子女でかれらを力付けると考えるのか。
56. われはかれらのために,良いことを急いでいると思うのか。いや,かれらは(試・に)気付かない。
57. 本当に主を畏れて戦く者,
58. また主の印を信じる者,
59. また主に(何ものをも)配しない者,
60. また主に帰ることを心に畏れ,与えるべきものを与える者,
61. これらの者は凡て善事に急ぎ,その先頭に立つ者である。
62. われは誰にも,その能力以上の重荷を負わせない。われには真実を語る書物があるので,かれらは決して不当に扱われることはないのである。
63. いや,かれらの心はこれ(クルアーンの教え)を全く理解出来ないでいる。ところでかれらの行為は,それより酷い行いである。
64. やがてわれが,かれらの中の贅沢な者を懲罰のために捕えると,見るがいい。かれらは泣き叫ぶ。
65. (その時仰せられよう。)「今更哀願して喚くことはない。あなたがたにはわれからの救助はないのである。
66. われの印は,あなたがたに読誦されていたが,あなたがたは踵を返して逃げ,
67. 高慢であった。これ(クルアーン)に就いて悪口を言って夜話に耽っていた。」
68. かれらは,この御言葉を熟考しないのか。昔の祖先に起らなかったものが,かれらに起ると考えるのか。
69. それともかれらへの使徒と認めず,かれを拒否するのか。
70. それで,「かれは(愚?)かれた者である。」と言うのか。そうではない。かれは真理を(湾?)したが,かれらの多くは真理を嫌う。
71. もし真理が,かれらの欲張りに相応しいものなら,天地とその間の凡てのものは,(混乱し)退廃してしまったであろう。そうではない。われはかれらへの訓戒を授けたが,かれらは訓戒から背き去ったのである。
72. それともあなたは,報酬をかれらに求めるのか。あなたの主の報酬こそは至上である。かれは最も優れた給与を与える方であられる。
73. 本当にあなたは,正しい道にかれらを招く。
74. だが来世を信じない者たちは,必ずその道から逸れる。
75. われが慈悲を施してかれらを悩ます災厄を除いても,迷路に執着して途方もなくさ迷うであろう。
76. 且つて,われはかれらに懲罰を加えたが,かれらはなお,主にへり下ることなく,素直に嘆願しない。
77. われが厳しい刑罰への門を,かれらに開くまでは。見なさい。かれらはそれで絶望している。
78. かれこそは,あなたがたのために,聴覚と視覚と心(知覚,理解力)を創られた方である。だがあなたがたは,感謝しない。
79. あなたがたを地上に,繁殖させられたのはかれである。かれの御許に,あなたがたは集められる。
80. かれこそは,生かしまた死なせられる方であり,昼と夜の交替を規制される。あなたがたはなお理解しないのか。
81. いや,かれらは,昔の人が言ったのと,同じようなことを言っている。
82. かれらは言う。「わたしたちが死んで土と骨になった時,本当に甦らされるだろうか。
83. 本当にわたしたちもわたしたちの祖先も,且つてこのことを約束されていた。これは只昔の物語に過ぎない。」
84. 言ってやるがいい。「大地とそこにある凡てのものは,誰のものであるか。知っているなら(言って・なさい)。」
85. かれらは必ず,「アッラーの有である。」と言うであろう。言ってやるがいい。「あなたがたは,まだ気が付かないのか。」
86. 言ってやるがいい。「7つの天の主,栄光に満ちた至高の玉座の主は,誰であるのか。」
87. かれらは必ず,「アッラー。」と言うであろう。言ってやるがいい。「あなたがたはなお畏れないのか。
88. 凡ての事物の統御は,誰の手にあるのか。(万有を)守護し,(誰からも)守護されない方(は誰か),あなたがたが知っているならば,(言って・なさい)。」
89. かれらは必ず「アッラー。」と言うであろう。言ってやるがいい。「それならあなたがたは,どうして惑わされたのか。」
90. いや,われは真理を下したのである。かれらは本当に嘘付きである。
91. アッラーは子をもうけられない。またかれと一緒の外の神もない。そうであったら,それぞれの神は自分の創ったもので分裂しお栗いに抜き出ようとして競い合う。アッラーに讃えあれ。(かれは)かれらの配するものを(超越され),
92. 幽玄界と現象界を知っておられ,かれらの配するものの上に高くおられる。
93. 言え,「主よ,あなたがかれらに約束したこと(懲罰)を,もしわたし(の巧世中)に示されるなら,
94. 主よ,わたしを悪を行う民の中に,入れないで下さい。」
95. 本当にわれは,かれらに警告したものを,あなたに示すことは確かに出来る。
96. 善行によって,悪を撃退せよ。われはかれらの言うことを熟知している。
97. そして(祈って)言いなさい。「主よ,悪魔たちの囁きに対し,あなたの加護を願います。
98. 主よ,かれらがわたしに近付かないよう,あなたの加護を願います。」
99. だが死が訪れると,かれらは言う。「主よ,わたしを(生に)送り帰して下さい。
100. わたしが残してきたものに就いて善い行いをします。」決してそうではない。それはかれの口上に過ぎない。甦りの日まで,かれらの後ろには戻れない障壁がある。
101. ラッバが吹かれる時,その日,かれらの間の諸関係の絆は途絶え,栗いに問わないであろう。
102. それで秤が(善行のため)重い者たちは,至上の幸福をえる。
103. また秤が軽い者たちは,魂を失い,地獄に永遠に住む。
104. 火はかれらの顔を焦がし,その中で歯ぐきをむき出す。
105. (かれらに言われよう。)「われの印があなたがたに読誦されなかったのか,なのにそれを嘘であるとしたのか。」
106. かれらは言う。「主よ,わたしたちは不運に打ち負け,迷っていました。
107. 主よ,わたしたちをここから出して下さい。もしもなおわたしたちが(悪に)返るならば,本当に不義の徒です。」
108. かれは仰せられよう。「その中に卑しめられて入ってしまえ。われに物を言うな。
109. 本当にわれのしもべの中には,こう言っていた一団がある。『主よ,わたしたちを赦し,慈悲を与えて下さい。あなたは最も優れた慈悲を与える方です。』
110. だがあなたがたは,かれらを笑い草にした。あなたがたは,かれらを笑っている間に,われを念じるのを忘れることになった。
111. 本当にかれらが耐え忍んだことにより,今日われは報いた。かれらこそ成功した者である。」
112. かれは仰せられよう。「あなたがたは,地上に何年滞巧していたのか。」
113. かれらは申し上げよう。「わたしたちは一日か,一日の一部分滞巧していました。勘定役(天使)に御問い下さい。」
114. かれは仰せられよう。「あなたがたの滞巧は束の間に過ぎない,あなたがたが(このことを)知っていたならば
115. あなたがたは,われが戯れにあなたがたを創ったとでも考えていたのか。またあなたがたは,われに帰されないと考えていたのか。」
116. アッラーは,尊くて気高い,真実の王者である。高潔な玉座の主を置いて外には神はない。
117. アッラーと一緒に,何の証拠もない外の神に祈る者の計算は主の御許にあるだけである。本当に不信者たちは,勝ち抜くことは出来ないであろう。
118. (祈って)言うがいい。「主よ,御赦しを与え,慈悲を与えて下さい。あなたは最も優れた慈悲を与える方であられます。」
24 - 御光章〔アソ・ヌール〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. (これは)われが下した1章〔スーラ〕。われが定めたもので,明瞭な種々の印をその中に下した。必ずあなたがたは留意するであろう。
2. 姦通した女と男は,それぞれ100回鞭打て。もしあなたがたが,アッラーと末日を信じるならば。アッラーの定めに基づき,両人に対し情に負けてはならない。そして一団の信者に,かれらの処刑に立会わせなさい。
3. 姦夫は,姦婦かまたは多神教徒以外(の女)とは,結婚することは出来ない。姦婦もまた,姦夫かまたは多神教徒以外(の男)とは,結婚することは出来ない。このことは信者に対し禁じられる。
4. 貞節な女を非難して4名の証人を上げられない者には,80回の鞭打ちを加えなさい。決してこんな者の証言を受け入れてはならない。かれらは主の掟に背く者たちである。
5. しかし,その後悔いて自ら改める者は別である。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
6. 自分の妻を非難するもので,自分以外に証人のない場合は,単独の証言で,自分の真実なことをアッラーに誓けて4度誓う。
7. そして5度目に,「もし自分の言葉が虚偽なら,アッラーの御怒りが自分の上に(下るように)。」(と誓う)。
8. また,かの女から,その懲罰を免じられる。つまりもしかの女が,アッラーに誓けてかれ(夫)の言葉が虚偽であることを4度誓い,
9. そして5度目に,「もし(夫の言葉が真実ならば,アッラーの御怒りが自分の上に(下るように)。」(と誓うならば)。
10. アッラーの恩恵があなたがたの上になく,慈悲もなかったならば(どうであろう。)本当にアッラーは,度々悔悟を許される英明な方であられる。
11. 本当にこの虚言を広めた者は,あなたがたの中の一団である。これをあなたがたへの災いと思ってはならない。いや,それはあなたがたのため良いことである。かれらの中それぞれの者は,その稼いだ罪によ(り罰せられ)る。なかでもそれに大きく関与した者は,厳しい懲罰に処せられるのである。
12. あなたがたはそれを聞いた時,信者の男も信者の女も,自分自身で何故好意ある考えをしなかったのか。そして,「これは明らかに中傷である。」と何故言わなかったのか。
13. かれらは何故,これに対し4名の証人を挙げなかったのか。証人を出さなかったので,これらの者はアッラーの御目には虚言の徒である。
14. もしあなたがたに対するアッラーの恩恵と,現世と来世でかれの慈悲がなかったならば,この事件に就いて(不謹慎に)話したことに対し,厳しい懲罰に処せられたところであった。
15. 見なさい。あなたがたは舌先でそれを受け止め,またあなたがたの口は,自分の知らないことを言った。そしてアッラーの御目には重大なことを,軽く考えていた。
16. あなたがたはそれを聞いた時,何故こう言わなかったのか。「これはわたしたちの口にすべきことではない。アッラーに讃えあれ。これは大変な中傷である。」
17. アッラーは,もしあなたがたが信者なら,このようなことを決して繰り返してはならないと戒められる。
18. アッラーは,あなたがたに印を解き明かされる。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
19. 信仰する者の間にこの醜聞が広まることを喜ぶ者は,現世でも来世でも,痛ましい懲罰を受けよう。あなたがたは知らないがアッラーは知っておられる。
20. アッラーの恩恵があなたがたの上になく,慈悲もなかったならば(どうであろう)。本当にアッラーは親切極・なく慈悲深い方である。
21. 信仰する者たちよ,悪魔の歩・に従ってはならない。あなたがたがもし悪魔の歩・に従うならば,かれは必ず醜行と悪事をあなたがたに命じるであろう。もしあなたがたに対し,アッラーの恩恵と慈悲がなかったならば,あなたがたの中一人も純潔になれなかったであろう。だがアッラーは,御心に叶う者を清められる。アッラーは全聴にして全知であられる。
22. あなたがたの中,恩恵を与えられ富裕で能力ある者には,その近親や,貧者とアッラーの道のため移住した者たちのために喜捨しないと,誓わせてはならない。かれらを許し大目に見てやるがいい。アッラーがあなたがたを赦されることを望まないのか。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
23. 無分別に貞節な信者の女を中傷する者は,現世でも来世でもきっと呪われよう。かれらは厳しい懲罰を受けるであろう。
24. その日,かれらの舌と手と足は,その行ったことに就いてかれらに(不利な)立証をする。
25. その日アッラーは,かれらが受けるべき応報を(凡て)払い戻され,かれらは,アッラーが真理であり,(凡てのことを)明瞭になされることを,知るであろう。
26. 不浄な女は不浄な男に,また不浄な男は不浄な女に(相応しい)。純潔な女は純潔な男に,また純潔な男は純潔な女に(相応しい)。これらの者は,人びとの言うことに動じない。かれらには,容赦と栄誉ある御恵・があろう。
27. あなたがた信者よ,許しを求めて,家族に挨拶するまでは,自分の家以外の住まいに入ってはならない。それはあなたがたのために善い。必ずあなたがたは留意するであろう。
28. もし家に誰もいないと分ったならば,許しがあるまで,それに入ってはならない。もし帰るよう言われた時は帰れ。それはあなたがたのために一段と清廉である。アッラーはあなたがたの行うことを知っておられる。
29. あなたがたに必需品が備えてある,住人のいない家に入ることは罪にならない。アッラーは,あなたがたの現わすことも隠すことも知っておられる。
30. 男の信者たちに言ってやるがいい。「(自分の係悠以外の婦人に対しては)かれらの視線を低くし,貞潔を守れ。」それはかれらのために一段と清廉である。アッラーはかれらの行うことを熟知なされる。
31. 信者の女たちに言ってやるがいい。かの女らの視線を低くし,貞淑を守れ。外に表われるものの外は,かの女らの美(や飾り)を目立たせてはならない。それからヴェイルをその胸の上に垂れなさい。自分の夫または父の外は,かの女の美(や飾り)を表わしてはならない。なお夫の父,自分の息子,夫の息子,また自分の兄弟,兄弟の息子,姉妹の息子または自分の女たち,自分の右手に持つ奴隷,また性欲を持たない供回りの男,または女の体に意識をもたない幼児(の外は)。またかの女らの隠れた飾りを知らせるため,その足(で地)を打ってはならない。あなたがた信者よ,皆一緒に悔悟してアッラーに返れ。必ずあなたがたは成功するであろう。
32. あなたがたの中独身の者,またあなたがたの奴隷の男と女で廉正な者は,結婚しなさい。かれらがもし貧しければ,アッラーは恩恵により裕福にされよう。アッラーは寛恩深知であられる。
33. 結婚(の資金)が見つからない者は,アッラーの恩恵により,富むまで自制しなさい。またあなたがたの右手が持つ者の中,(解放の証明)証書を求める者があって,あなたがたがかれらの善良さを認めるならば,その証明を書きなさい。なおアッラーがあなたがたに与えられた資財の一部をかれらに与えなさい。奴隷の娘たちが,貞操を守るよう願うならば,現世の果ない利得を求めて醜業を強制してはならない。かの女らが仮令誰かに強制されたなら,アッラーがやさしく罪を赦し,いたわって下さろう。
34. われは事物を明瞭にする印を下し,またあなたがた以前に過ぎ去った者たちの先例を示し,主を畏れる者への訓戒とした。
35. アッラーは,天地の光である。かれの光を譬れば,燈を置いた,壁(巧?)のようなものである。燈はガラスの中にある。ガラスは輝く星のよう。祝福されたオリーブの木に灯されている。(その木は)東方(の産)でもなく,西方(の産)でもなく,この油は,火が凡んど触れないのに光を放つ。光の上に光を添える。アッラーは御好・の者を,かれの御光に導かれる。アッラーは人びとのために,比(輪?)を挙げられる。本当にアッラーは凡てのことを知っておられる。
36. (この燈は)アッラーの許しによって,建てられた家の中にあり,かれの御名がそこで唱えられ,朝夕,そこでかれを讃えて唱念が行われる。
37. 人びとは,交易や商品に惑わされないで,アッラーを念じ,礼拝の務めを守り,定めの喜捨に怠りなく,かれらの恐れは心も目も転倒する日である。
38. アッラーはかれらの行った,最善のものに報われ,且つ恩恵により報奨を付け加えられる。アッラーは御心に叶,者に,際限なく与える。
39. しかし信仰のない者は,そのすることなすこと,砂漠の中の蜃気楼のようなもので,渇き切った者には水だと思われる。だがやってくれば何も見出せない。そこではアッラーの御前であり,かれの勘定が払われることを知るであろう。アッラーは清算に迅速であられる。
40. また(不信者の状態は),深海の暗黒のようなもので,波がかれらを覆い,その上に(また)波があり,その上を(更に)雲が覆っている。暗黒の上に暗黒が重なる。かれが手を差し伸べても凡んどそれは見られない。アッラーが光を与えられない者には,光はない。
41. あなたは,天地の間の凡てのものが,アッラーを讃えるのを見ないのか。羽を拡げて飛ぶ鳥もそうである。皆それぞれ礼拝と唱念を心得ている。アッラーはかれらの行っていることを知っておられる。
42. 天と地の大権はアッラーの有であり,アッラーに(凡てのものの)帰り所はあるのである。
43. あなたがたは見ないか。アッラーは雲を駆り,やがてそれを相い合わせ,さらに固まりにされ,やがて慈雨が,その間から降るのを。また雹を含む,山(のような雲)を天から下し,かれは,御好・の者をそれで撃ち,御好・の者を避けられる。稲妻の閃きは,本当に目を奪おうとする。
44. アッラーは夜と昼を次々に交替させる。本当にこれらの中には,見る目をもつ者への教訓がある。
45. またアッラーは,ありとあらゆる動物を水から創られた。そのあるものは,腹で這い,またあるものは2本足で歩き,あるものは4つ足で歩く。アッラーは御望・のものを創られる。本当にアッラーは何事につけ全能であられる。
46. われは明瞭な印の数々を下した。アッラーは御好・の者を正しい道に導かれる。
47. かれら(偽信者)は,「わたしたちはアッラーと使徒を信じ,服従する。」と言う。だがその後,かれらの一部は背き去った。これらの者は(真の)信者ではない。
48. かれらの間は裁きのために,アッラーと使徒の前に呼び出されると,見なさい。一部の者は回避する。
49. もし,かれらが正しいのなら,素直にかれの許にやって来るであろう。
50. かれらの心には病が宿っているのか,それとも疑いを抱いているのか。またはアッラーと使徒が,かれらに対し不公平な扱いをすると恐れるのか。いや,かれらこそ不義者である。
51. 本当の信者たちは,裁きのため,アッラーと使徒に呼び出されると,「畏まりました。従います。」と言う。本当に,そのような人々こそ栄える者である。
52. アッラーと使徒に服従し,アッラーを畏れ,かれに自分の義務を尽くす者,そのような人々こそ(最後の目的を)成就する者である。
53. かれら(偽信者)は,もしあなたが(出征を)命じたならば,必ず出て行くことをアッラーに誓けて厳粛に誓う。言ってやるがいい。「誓わなくてもよい。恭順こそ道理に叶う。本当にアッラーはあなたがたの行うことを熟知なされる。」
54. 言ってやるがいい。「アッラーに従い,使徒に従え。あなたがたがもし背き去るとしても,かれにはかれの負わされた務めがあり,あなたがたにもあなたがたの負わされたものがある。だがあなたがたがもしかれに従うならば,正しく導かれるであろう。使徒に課せられることは,只明瞭に(啓示を)伝えるだけである。」
55. アッラーは,あなたがたの中,信仰して善い行いに勤しむ者には,あなたがた以前の者に継がせたように,この大地を継がせることを約束なされた。そしてかれらのために,かれが選ばれるものを,かれらの揺ぎのない宗教となされ,かれらの恐怖(不安の生活)を,安心無事(の境遇)に変えられる。かれらはわれに仕え,われに何ものをも配しない。だがそれ以後になお不信心になる者こそは,主の掟に背く者である。
56. それで礼拝の務めを守り,定めの喜捨をなし,使徒に従え。そうすればあなたがたは,慈悲にあずかるであろう。
57. あなたは,不信心の者たちが地上で(アッラーの計画を)失敗させると考えてはならない。かれらの住まいは業火である。何と悪い末路であることよ。
58. 信仰する者よ,あなたがたの右手が所有する者と,あなたがたの女子たちの中未成年の者でも,次の3つの場合は,(居間に入る時)あなたがたの許しを求めさせなさい。(即ち)早朝〔ファジュル〕の礼拝の前,昼中の(暑さのため)脱衣をしている時,それから夜〔イシャー〕の礼拝の後である。(これは) あなたがたのための3度の素肌(裸)の時である。これらの(時刻の)外は,(許可を得ないで)たがいに行き来してもあなたがたにもかれらにも,罪ではない。このようにアッラーは,あなたがたのために印を解き明かされる。アッラーは全知にして英明であられる。
59. あなたがたの子供たちが成年に達する時は,それ以前にそうしてきたように,(入室に際し)許しを求めさせなさい。このようにアッラーは,あなたがたのために印を解き明かされる。アッラーは全知にして英明であられる。
60. 結婚を望めない,産児期の過ぎた女は,その装飾をこれ見よがしに示さない限り,外衣を脱いでも罪ではない。だが控え目にするのは,かの女らのために良い。アッラーは全聴にして全知であられる。
61. 盲人でも遠慮は要らない。また足の身障者でも遠慮は要らない。また病人でも遠慮は要らない。またあなたがた自身も,自分の家で食べても良く,父方の家でも母方の家でも,兄弟の家でも,姉妹の家でも,父方のおじの家でもおばの家でも,母方のおじの家でも,母方のおばの家でも,あなたがたが鍵を持っている(家でも),あなたがたの友人(の家でも)食べて良い。またあなたがたは,一緒にまたは別々に食べても,咎めはない。それで家に入る時は,アッラーから祝福された良い挨拶の言葉で,人びとに挨拶しなさい。このようにアッラーは,あなたがたのために印を解き明かされる。必ずあなたがたは理解するであろう。
62. (真の)信者とは,アッラーとその使徒を(心から)信じ,ある要件で(人びとが)集まり使徒と一緒にいる時,その許可を得るまでは立ち去らない者たちである。本当に何につけあなたに許しを求める者こそは,アッラーとその使徒を信じる者である。かれらが自分の要件で,あなたに許しを求める時には,良いと思う者は許し,かれらのためにアッラーの御赦しを請え。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
63. あなたがたは使徒の呼びかけを,あなたがた相栗間の呼びかけのようにしてはならない。アッラーはあなたがたの中,密かに抜け出す者を知っておられる。それで,かれ(アッラー)の命令に違犯する者は試練が下り,または痛ましい懲罰が科せられるから,用心させなさい。
64. 聞け,天と地の凡ての有はアッラーの有である。かれは,あなたがたのあるが儘を確と知っておられる。かれらがかれの許に帰される日,かれはかれらの行ったことを,かれらに告げ知らせるであろう。アッラーは凡てのことをよく知っておられる。
- 識別章〔アル・フルカーン
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 万民への警告者とするために,かれのしもベに識別を下された方に祝福あれ。
2. 天と地の大権はかれの有である。かれは子をもうけられず,またその大権に(参与する)協力者もなく,一切のものを倉u造して,規則正しく秩序づけられる。
3. だがかれらはかれの外に神々を立てるが,それらは何も創れないばかりか,それら自身創られたもので,自らを害することも益することも出来ず,また死も生も復活も,自由にならない。
4. だが不信心な者たちは言う。「これは,かれが作り上げた虚言に過ぎない。外の者たちが,かれに協力したのである。」だが事はかれらこそ,無法と虚偽を(西?)したのである。
5. またかれらは言う。「昔の物語で,それをかれが書き下したのである。それを朝夕,口で言って書き取らせたのである。」
6. 言ってやるがいい。「これを下されたのは,天地の奥義を知っておられ,本当に寛容にして慈悲深い方であられる。」
7. またかれらは言う。「これはどうした使徒だ。食べ物を食べ,町を歩き回るとは,どうして天使が遣わされ,かれと一緒に警告者にならないのだろうか。
8. かれに(どうして)財宝が授けられないのか,また(いくらでも)食べられる果樹園を持たないのだろうか。」不義の徒たちはな姑,「あなたがたは,(憲?)かれた者に従うだけのことである。」と言う。
9. かれらが,どんな譬を,あなたのために持ち出したかを見なさい。それでかれらは迷ってしまって,道を見出せない。
10. かれが望まれるならば,それより優れたものを,あなたに与えることの出来る方。川が下を流れる楽園,そして宮殿をあなたに与える御方に祝福あれ。
11. にも拘らず,かれらは(審判の)時を虚偽であるとする。われは,その時を虚偽であるとする者に対し,燃え盛る火を用意している。
12. 遙かに離れた所から見る時,かれらはその怒声と咆哮を聞くであろう。
13. かれらが縛られて火獄の狭い所に投げ込まれる時,(いっそ)そこで,滅びて仕舞うことを嘆願するであろう。
14. (その時,言われよう。)「今日,一度に滅亡を嘆願してもだめである。あなたがたは度々繰り返す滅亡でも嘆願するがいい。」
15. 言ってやるがいい。「この(火獄)が良いか,それとも主を畏れる者に約束される永遠の楽園か。これが,かれらへの報奨であり行き着くところである。
16. そこには,その望む凡てのものがある。永遠の住・かなのである。これはあなたがたが念願する,主からの約束である。」
17. かれらそしてアッラー以外に仕えるものたちを一緒に召集なされる日,かれは仰せられよう。「これらわれのしもべたちを迷わせたのはあなたがたであるのか。それともかれらが(自ら)道を踏・外したのか。」
18. かれらは言う。「あなたに讃えあれ,あなたの外に守護者を崇めることは,わたしたちに相応しくありません。だがあなたは,かれらとその祖先に(現世での)享楽を許され訓戒を忘れて破滅の民となりました。」
19. (主は仰せられよう。) 「今かれらは,あなたがたの言ったことを嘘である。と立証した。それであなたがたは(懲罰を)免れられず,また助けも(得られ)ない。われは,あなたがたの中,悪を行う者に,懲罰を味わせるであろう。
20. あなた以前にわれが遣わした使徒たちは,一人として食べ物を食べない者はなく,町を歩き回らない者はなかった。われはあなたがたをお栗いの試練となるように取り計らった。」それであなたがたは耐え忍ぶであろうか。あなたの主は,(凡てのことを)照覧なされる。