PART 21
46. また啓典の民と議論するさいには,立派な (態度で)臨め。かれらの中不義を行う者にたいしては別である。それで言ってやるがいい。「わたしたちは,自分たちに下されたものを信じ,あなたがたに下されたものを信じる。わたしたちの神(アッラー)とあなたがたの神(アッラー) は同じである。わたしたちはかれに服従,帰依するのである。」
47. われはこのように,あなたに啓典を下したのである。それで,啓典を与えられている者は,この(クルアーン)を信じる。またこれら(マッカの人びと)の中にも,それを信じる者がある。わが印を否定するのは不信心者だけである。
48. あなたはそれ(が下る)以前は,どんな啓典も読まなかった。またあなたの右手でそれを書き写しもしなかった。そうであったから,虚偽に従う者は疑いを抱いたであろう。
49. いやこれこそは,知識を与えられた者の胸の中にある明瞭な印である。不義の徒の外は,わが印を否定しない。
50. だがかれらは,「何故主から印が,かれに下されないのか。」と言う。言ってやるがいい。「本当に凡ての印は,アッラーの御許にある。わたしは公明な警告者に過ぎないのである。」
51. われがあなたに啓典を下し,あなたはかれらに読誦する。かれらにはそれで十分ではないか。本当にその中には,信仰する者への慈悲と訓戒がある。
52. 言ってやるがいい。「アッラーは,わたしとあなたがたとの間の,立証者として万全であられる。かれは天と地にあるものを知っておられる。だから虚偽を信じてアッラーに背く者は失敗する者であろう。」
53. かれらは懲罰を急ぐよう,あなたに求める。もし定められた期限がなかったならば,懲罰は必ずかれらに来るであろう。かれらが気付かない中に,突然必ず襲うであろう。
54. かれらは懲罰を急ぐよう,あなたに求める。だが地獄は不信心者たちを取り囲んでいる。
55. 懲罰は,かれらの上からまた足元からかれらを襲う。その日(声があって)言われよう。「あなたの行ったことを味わえ。」
56. 信仰するわれのしもべよ,本当にわが大地は,広いのである。だからわれだけに仕えなさい。
57. 各人は死を味わわなければならない。それからあなたがたはわれの許に帰されるのである。
58. だが信仰して,正しい行いに勤しむ者は,われは必ず下に川が流れている楽園の高殿に,落ち着かせよう。(永遠に)そこに住まわせる。(善)行を行う者への報奨は,何と有り難いことよ。
59. これはよく耐え忍び,自分の主を信頼している者(への報奨である)。
60. 自分の糧を確保出来ないものが如何に多いことであろうか。アッラー(こそ)はそれらとあなたがたを養われる。かれは全聴にして全知であられる。
61. もしあなたがかれらに,「誰が天と地を創造し,太陽と月を服従させるか。」と問うならば,かれらは必ず「アッラー。」と言うであろう。それならどうしてかれらは迷い去るのか。
62. アッラーは,御自分のしもべの中,御好・の者には糧を豊かに与え,また(そう望まれる)者には切り詰められる。本当にアッラーは,凡てのことを熟知なされる。
63. もしあなたが,かれらに「誰が天から雨を降らせ,それで,死んでいる大地を甦らせるのか。」と,問うならば,かれらはきっと「アッラー。」と言うであろう。言え,「アッラーを讃えます」。だがかれらの多くは理解しない。
64. 現世の生活は,遊びや戯れに過ぎない。だが来世こそは,真実の生活である。もしかれらに分っていたならば。
65. かれらは船に乗っていると,アッラーに信心の誠を尽くして祈る。だがかれが,陸に無事に送って下さると,たちまちかれらは偶像を拝・だし,
66. われがかれらに授けたものを,有り難く思わず,享楽に耽る。だがかれらは,今に分るであろう。
67. かれらは,われが安全な聖域を定めたのに気付かないのか。まわりでは人びとが略奪に晒されているというのに。それでもかれらは虚構を信じ,アッラーの恩恵に背を向けるのか。
68. アッラーに対し虚偽を捏造し,真理が(お?)されたのに,それを虚偽であるとする者よりも,酷い不義者があろうか。地獄の中には,不信心者たちの住・かがないとでも思うのか。
69. だがわれ(の道)のために奮闘努力〔ジハード〕する者は,必ずわが道に導くであろう。本当にアッラーは善い行いの者と共におられる。
30 - ビザンチン章〔アッ・ロー
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. アリフ・ラーム・ミーム。
2. ビザンチンの民は打ち負かされた。
3. 近接する地において(打ち負かされた)。だがかれらは,(この)敗北の後直ぐに勝つであろう。
4. 数年の中に(勝利を得よう)。前の場合も後の場合も,凡てはアッラーに属する。その日,ムスリムたちは喜ぶであろう。
5. アッラーの勝利を(喜ぶであろう)。かれは御望・の者を助けられる。かれは偉力ならびなく慈悲深き御方であられる。
6. (これは)アッラーの約束である。アッラーはその約束を違えられない。だが人びとの多くは理解しない。
7. かれらの知るのは,現世の生活の表面だけである。かれらは(事物の)結末に就いては注意しない。
8. かれらは反省しないのか。アッラーが天と地,そしてその間にある凡てのものを創造なされたのは,唯真理のため,また定めの時のためであることを。だが人びとの多くは,主との会見を否認する。
9. かれら(マッカの多神教徒)は,地上を旅してかれら以前の者の最後が如何であったかを,観察しないのか。かれら(昔の人)は,かれらよりも力において優れ,地を掘り起こし(て耕作し),またかれらよりも栄えていた。そして使徒たちは明証を持ってかれらのところに来た。アッラーがかれらを損ったのではない。かれらが自ら自分を損ったのである。
10. 所詮悪行の徒の最後は悪い。それはかれらがアッラーの印を虚偽であるとし,それを愚弄していたためである。
11. アッラーはまず創造を始め,それからそれを繰り返し,それからあなたがたをかれに帰される。
12. (審判の) 時が到来する日,罪のある者は絶望するであろう。
13. そしてかれらが(われに)配した(神々の)中には,かれらのために執り成す者もなく,またかれらも,これらの配したものたちを否認する。
14. (審判の)時が到来するその日には,(凡ての人は)ちりぢりにされるであろう。
15. その時,善行に勤しんだ者は,緑の野辺で,幸せにされよう。
16. 信仰を拒否しわが印と来世での(主との)会見を虚偽であるとした者は,懲罰に付せられよう。
17. それで,夕暮にまた暁に,アッラーを讃えなさい。
18. 天においても地にあっても,栄光はかれに属する。午后遅くに,また日の傾き初めに(アッラーを讃えなさい)。
19. かれは,死から生を(打?)し,また生から死を(打?)され,また枯れ果てた大地を甦らせる。これと同じようにあなたがたも引き出される。
20. かれが,泥からあなたを創られたのは,かれの印の一つである。見るがいい。やがてあなたがた人間は(繁殖して地上に)散らばった。
21. またかれがあなたがた自身から,あなたがたのために配偶を創られたのは,かれの印の一つである。あなたがたはかの女らによって安らぎを得るよう(取り計らわれ),あなたがたの間に愛と情けの念を植え付けられる。本当にその中には,考え深い者への印がある。
22. またかれが,諸天と大地を創造なされ,あなたがたの言語と,肌色を様々異なったものとされているのは,かれの印の一つである。本当にその中には,知識ある者への印がある。
23. またかれが,あなたがたを夜も昼も眠れるようにし,またかれに恩恵を求めることが出来るのも,かれの印の一つである。本当にその中には,聞く者への印がある。
24. またかれが,恐れと希望の稲光をあなたがたに示しなされ,天から雨を降らせて,死んだ後の大地を甦らせられるのは,かれの印の一つである。本当にその中には,思慮ある者への印がある。
25. またかれが,御意志によって,天と地を打ち建てられたのは,かれの印の一つである。そこで,(一声)あなたがたに呼び掛けられると,見るがいい。たちまち大地からあなたがたは(引き)出される。
26. 天と地にある凡てのものは,かれに属する。万有は,真心込めてかれに服従する。
27. かれこそは先ず創造を始め,それからそれを繰り返される御方。それは,かれにおいてはとてもた易いことである。天と地における,(考え得られる)最高の姿は,かれに属する。かれは偉力ならびなく英明であられる。
28. かれは,あなたがた自身(の経験)から,一つの譬えを提示なされる。あなたがたは,自分の右手の所有する者たち(奴隷)を,われがあなたがたに与えたものを同等に分配する仲間にするだろうか。あなたがたが栗いに気付かうように,かれら(奴隷たち)に気兼ねするだろうか。(そうではあるまい)。このようにわれは,思慮ある者に印を説き明かす。
29. いや,不義を行う者は知識もなく私利私欲に従う。アッラーが迷うに任せられた者を,誰が導けようか。かれらには救助者はないであろう。
30. それであなたはあなたの顔を純正な教えに,確り向けなさい。アッラーが人間に定められた天性に基いて。アッラーの創造に,変更がある筈はない。それは正しい教えである。だが人びとの多くは分らない。
31. 悔悟してかれに返り,かれを畏れなさい。礼拝の務めを守り,偶像信者の仲間になってはならない。
32. それは宗教を分裂させて,分派を作り,それぞれ自分の持っているものに喜び,満足している者。
33. 災厄が人びとを悩ます時かれらは悔悟して主に祈る。だがかれが,慈悲をかれらに味わせると,たちまち一部のをは主に(外の神々を)配し,
34. われが与えたものを有り難く思わないようになる。(僅かの年月を)享楽するがいい。 だがやがて分るであろう。
35. われに配しているものを支持する権威を,われがかれらに下したとでもいうのか。
36. われが人間に慈悲を味わせると,かれらはそれに狂喜する。だが自分の行いのために災厄が下ると,たちまち,かれらは絶望する。
37. かれらは見ないのか,アッラーが御望・の者に,糧を増し,また減らしなされるのを。本当にその中には,信仰する者への印がある。
38. それで近親の者に,しかるべきものを与えよ。また貧者と旅人にも。それは,アッラーの慈顔を求める者たちにとり,最も善いことである。これらは,栄える者たちである。
39. あなたがたが利殖のために,高利で人に選し与えても,アッラーの許では,何も増えない。だがアッラーの慈顔を求めて喜捨する者には報償が増加される。
40. アッラーこそは,あなたがたを創り,扶養され,次いで死なせ,更に甦らせられる方である。あなたがたが(捏造しかれに)配したものの中,これらのことの一つでも出来るものがあるか。かれに讃えあれ。かれはかれらが配するものの上に高くおられる。
41. 人間の手が稼いだことのために,陸に海に荒廃がもう現われている。これは(アッラーが),かれらの行ったことの一部を味わわせかれらを(悪から)戻らせるためである。
42. 言ってやるがいい。「地上を旅して,(あなたがた)以前の者たちの最後が,どうであったかを観察しなさい。かれらの多くは多神教徒であった。」
43. それでアッラーから避け得ない日が来る前に,あなたの顔を正しい教えにしっかり向けなさい。その日かれらは(2群に)分けられよう。
44. 不信心の者は,その不信心のために責めを負う。また正しい行いの者は,自分自身のため(天国に)褥を用意するようなもの。
45. 信仰して善行に動しむ者には,かれは恩恵により報われる。本当にかれは,不信心者を御好・になられない。
46. 吉報の前触れとして風を送るのは,かれの印の一つである。あなたがたにかれの慈悲(降雨と肥次)を味わわせるためであり,またかれの御意志により舟を滑るように進ませ,またあなたがたは,かれの恩恵(海上貿易による利益)を求めるためである。あなたがたは必ず感謝するであろう。
47. 本当にわれはあなた以前にも,使徒たちを(それぞれの)民族に遣わし,かれら(使徒)は,かれらに明証を(西?)した。そしてわれは,罪を犯した者に報復した。だが信仰する者を助けるのは,われの務めである。
48. アッラーこそは,風を送りそれで雲を起こされる御方であられる。それから御心のままに天にそれを広げ,粉微塵にそれを打ち砕かれる。するとあなたは,その間から出て来る雨滴を見る。かれは,そのしもベの中,御心に適う者にそれを降らせられる。見るがいい。かれらの喜ぶ様子を。
49. かれらに(雨を)降らせる前,失望にうちひしがれていたのだが。
50. さあアッラーの慈悲の跡をよく・るがいい。かれが如何に,死んだあとの大地を甦らされるかを。このようにかれは,死んだ者を甦らせる。かれは凡てのことに全能であられる。
51. だが,われが風を送っても,(作物が)黄ばむのを見ると,その後かれらは,必ず不信心になる。
52. あなたは,死者にものを聞かせることは出来ない。また,背を向けて逃げ去る聞こえない者に,呼び掛けても聞かせることは出来ない。
53.またあなたは,(ものごとの)分らない盲目を,迷いから導くことも出来ない。あなたは,只われの印を信じて服従,帰依する者だけに,聞かせることが出来るのである。
54.アッラーは,あなたがたを弱い者に創られ,それから弱い者を後で,強壮にされ,強壮な者を弱い白髪になされる。かれは御自分の望・のままに創られる。かれは全知にして全能であられる。
55. (精算の)時が,到来するその日,罪深い者たちは,わたしたちは一時しか(墓に)留まらなかったと誓うであろう。このように,かれらは欺かれていた。
56.だが知識と信仰を授かった者たちは,言うであろう。「あなたがたはアッラーの定めに基いて,復活の日まで確かに滞巧しました。これが復活の日です。だがあなたがたは気付かなかったのです。」
57.だがその日になってからでは,悪を行った者の弁解も益がなく,またかれらは(悔悟して御恵・を請う)ことも出来ないであろう。
58.本当にわれは人びとのため,このクルアーンの中に種々の譬えを提示した。だがあなたが,仮令どの一節を持ち出しても,信じない者は必ず,「あなたがたは虚偽に従う者に過ぎません。」と言うであろう。
59. このようにアッラーは,理解しない者の心を封じられる。
60.だから耐え忍ベ。本当にアッラーの約束は真実である。確りした信心のない者たちのせいで,あなたまでが動揺してはならない。
31 - ルクマーン章
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. アリフ・ラーム・ミーム。
2. これは英知の啓典の微節(印)であり,
3. 善行に勤しむ者への導きであり,また慈悲である。
4. 礼拝の務めを守り,定めの喜捨をなし,また,来世を堅く信じる者たちへの(導きであり慈悲)である。
5. これらの者は主の御導きの許にあり,かれらこそは成功する者である。
6. だが人びとの中には,無益の話を買い込んで,知識もないくせに(人びとを)アッラーの道から背かせ,(正しい道に)嘲笑を浴びせる者がある。これらの者には,恥ずべき懲罰が下るであろう。
7. われの印がこのような者に向かって読誦されると,かれらはそれを聞こえないかのように,まるで聾唖者であるかのように,高慢に背を向けて去る。そのような者には,痛ましい懲罰(に就いての消息)を告げなさい。
8. 信仰して善行に動しむ者には喜びの楽園があり,
9. 永遠にその中に住むであろう。アッラーの御約束は真実である。かれは偉力ならびなく英明であられる。
10. かれは,あなたがたに見える柱もなしに諸天を創り,また地上には確りと山々を据えてあなたがたと共にぐらつかないようになされる。種々雑多な動物をそれに(捲?)き散らされる。またわれは,天から雨を降らせ,いろいろな見事なものをそこに雌雄で生育させた。
11. これがアッラーの創造である。アッラー以外のものが,創造したものがあればわれに示せ。いや,性悪者たちは,明らかに迷いの中にいる。
12. われは(以前に)ルクマーンに,アッラーに感謝するよう英知を授けた。誰でも感謝する者は,自分の魂のために感謝するのである。だが恩を忘れる者がいたところで,本当にアッラーには,何の問題もない。かれは讃美される方である。
13. さてルクマーンが,自分の息子を戒めてこう言った時を思い起しなさい。「息子よ,アッラーに(外の神を)同等に配してはならない。それを配するのは,大変な不義である。」
14. われは,両親への態度を人間に指示した。人間の母親は,苦労に(空?)れてその(子)を胎内で養い,更に離乳まで2年かかる。「われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである。
15. だがもし,あなたの知らないものを,われに(同等に)配することを,かれら(両親)があなたに強いても,かれらに従ってはならない。だが現世では懇切にかれらに仕え,悔悟してわれの許に帰る者に従え。やがてあなたがたはわれに帰り,われはあなたがたの行ったことを告げ知らせるのである。」
16. (ルクマーンは言った。)「息子よ,仮令芥子粒程の重さでも,それが岩の中,または天の上,または地の下に(潜んで)いても,アッラーはそれを探し出される。本当にアッラーは深奥の神秘を知っておられ,(それらに)通暁なされる方であられる。」
17. 「息子よ,礼拝の務めを守り,善を(人に)勧め悪を禁じ,あなたに降りかかることを耐え忍ベ。本当にそれはアッラーが人に定められたこと。
18. 他人に対して(高慢に)あなたの頬を背けてはならない。また横柄に地上を歩いてはならない。本当にアッラーは,自惚れの強い威張り屋を御好・になられない。
19. 歩き振を穏やかにし,声を低くしなさい。本当に声の最も厭わしいのは,ロバの声である。」
20. あなたがたは思い起さないのか。アッラーは天にあり地にある凡てのものを,あなたがたの用のために供させ,また外面と内面の恩恵を果されたではないか。だが人びとの中には,知識も導きもなく,また光明の啓典もなく,アッラーに就いて論議する者がある。
21. かれらに対し,「アッラーが下される啓示に従え。」と言うと,かれらは,「いや,わたしたちは,祖先たちの奉じたものに従う。」と言う。仮令悪魔が,かれらを炎の懲罰に招いてもよいのか。
22. 誰でも善行に励・,真心を尽くしてアッラーに傾倒する者は,堅固な取っ手を確り握った者である。凡ての事の終末はアッラーに(帰着するので)ある。
23. 誰が信仰しなくても,その不信心に悩まされてはならない。かれらはわれの許に帰る。その時われは,その行ったことをかれらに告げ知らせるであろう。本当にアッラーは(人間が)胸に抱くことを熟知なされる。
24. われはしばらくかれらに楽しませ,それから手荒い懲罰に駆り立てるであろう。
25. あなたがもしかれらに,「天地を創造されたのは誰か。」と問えば,かれらはきっと「アッラー。」と言うであろう。言ってやるがいい。「アッラーを讃えます。」だがかれらの多くは理解しないのである。
26. 天と地の凡てのものは,アッラーに属する。本当にアッラーは満ち足られる方,讃美されるべき方であられる。
27. 仮令え地上の凡ての木がペンであって,また海(が墨で),その外に7つの海をそれに差し添えても,アッラーの御言葉は(書き)尽くすことは出来ない。本当にアッラーは,偉力ならびなく英明であられる。
28. あなたがた(無数)の創造もまた復活も,まるで一個の魂を扱うようなものに過ぎない。本当にアッラーは全聴にして全視であられる。
29. あなたは見ないのか,アッラーが夜を昼に入り込ませ,また昼を夜の中に入り込ませ,更に太陽と月を従わせてそれぞれ定められた期間にその(軌道)を運行なされるのを。本当にアッラーはあなたがたの行うことを熟知なされる。
30. それはアッラーこそが真理であられるためである。かれを差し置いて,あなたがたの祈るのは虚偽のものである。本当にアッラーこそは,至高にして至大であられる。
31. あなたは船が,アッラーの恵・で,大洋を航行するのを見ないのか。(それは)かれの印をあなたがたに示されたためではないか。本当にその中には,不断に耐え忍ぶ者と感謝する凡ての者のために,様々な印がある。
32. 大波が天蓋のようにかれらを覆う時は,アッラーに祈り,誠を尽くしてかれに傾倒しなさい。だが,かれらを無事陸地に着かせると,かれらの中の或る者は,(善と悪の中間の)あやふやな状態になる。だが二心ある者,不信心な者の外は,誰もわれの印を否定しない。
33. 人びとよ,あなたがたの主を畏れなさい。また父がその子のために役立たず,子も自分の父のために少しも役立たない日を恐れなさい。本当にアッラーの約束は真実である。あなたがたは現世の生活に欺かれてはならない。アッラーのことに就いて欺く者に,あなたがたは欺かれてはならない。
34. アッラー,本当にかれ(だけ)が,(審判の)時を知っておられる。かれは雨を降らせられる。また胎内にあるものをも知っておられる。だが(人間は)誰も明日自分が何を稼ぐかを知らず,誰も何処で死ぬかを知らない。本当にアッラーは全知にして凡てに通暁される御方であられる。
32 - アッ・サジダ章
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. アリフ・ラーム・ミーム。
2. この啓典の啓示は,万有の主から(下ったもの)で,疑いの余地はない。
3. けれどもかれらは,「かれ(ムハンマド)がこれを捏造した。」と言うのか。いや,これはあなたの主からの真理で,あなた以前に,一人の警告者も来なかった民に,警告するためのものである。必ずかれらは導かれるであろう。
4. アッラーこそは,6日の間に天と地,そしてその間の凡てのものを創造して,御自らその玉座に鎮座なされる方である。あなたがたはかれの外に守護者はなく,執り成す者もないのである。あなたがたはそれでも気が付かないのか。
5. かれは,天から地までの(凡ての)事物を統御なされる。それからそれ(万有)は一日にして,かれの許に登って行く。その(一日の)長さは,あなたがたの計算する千年である。
6. この方こそは,幽玄界と現象界を(凡て)知っておられる方,偉力ならびなく慈悲深い御方であり,
7. 創造された一切を,最も善美なものになされ,泥から人間の創造を始められる。
8. かれは,いやしい水(精液)の精からその後継者を創られ,
9. それからかれ(人間)を均整にし,かれの聖霊を吹き込まれ,またあなたがたのために聴覚と視覚と心を授けられた御方。あなたがたはほとんど感謝もしない。
10. かれらは,「地中に消えてから,わたしたちはまた新しく創造されるであろうか。」と言う。いや,かれらは主との会見を信じない。
11. 言ってやるがいい。「あなたがたを受け持つ死の天使があなたがたを死なせ,それから主に帰らせる。」
12. 罪を犯した者たちが主の御前に項垂れて,「主よ,わたしたちは見ました。聞きました。わたしたちを御返し下さい。わたしたちは善い行いをいたします。わたしたちは本当に悟りました。」(と言う姿を)あなたに見せてやりたいものである。
13. もしわれが欲するならば,それぞれの魂に導きを与えることも出来た。だが「ジン(幽精)と人間たちで,必ず地獄を満たすであろう。」とのわれの言葉は,真実となろう。
14. それであなたがたは味わうがよい。この日の会見を忘れていたことを。本当にわれもあなたがたを忘れよう。あなたがたは自分たちが行ったことに対する永遠の懲罰を味わえ。
15. われの印を信じる者とは,それが述べられた時に敬慕し身を投げだしてサジダし,主の栄光を讃えて唱念する,高慢ではない者たちである。〔サジダ〕
16. かれらの体が臥床を離れると,畏れと希望とを抱いて主に祈り,われが授けたものを施しにさし出す。
17. かれらはその行ったことの報奨として,喜ばしいものが自分のためにひそかに(用意)されているのを知らない。
18. 信仰している者が,主の掟に背く者と同じであろうか。かれらは決して同じではない。
19. 信仰して善行に勤しむ者は,楽園が住まいで,それは善行をしたことへの報奨である。
20. だが掟に背く者の住まいは地獄の業火である。そこから出ようとする度にかれらはその中に引き戻され,「あなたがたが虚偽であるとしていた業火の懲罰を味わえ。」と言われよう。
21. われは大きい懲罰の前に,必ず手近な懲罰をかれらに味わせる。そうすればかれらも(悔悟してわれに)帰るであろう。
22. 主の印に気付いていながらその後背き去る者より酷い罪作りがあろうか。われは必ず罪深い者に報復するであろう。
23. われは,ムーサーにしかと啓典を授けた。だからあなた(ムハンマド)がこれを授かることを疑ってはならない。われはそれを,イスラエルの子孫たちの導きとした。
24. われは,かれらの間から,わが命令を下して(人びとを)導く導師をあげた。かれらはよく耐え忍びまたわれの印を堅く信じていた。
25. 本当にあなたの主は,かれらが意見を異にしていたことに関して,審判の日にかれらの間を裁決なされる。
26. かれらに教えなかったか。それ以前にわれが幾世代を滅ぼしたかを。その住まいの中を,(今)かれらは往来している。本当にその中には,種々の印がある。それでもかれらは聞く耳を持たないのか。
27. またわれが水を不毛の地に送り,それで作物を育成させ,かれら自身や家畜に食べさせるのを見ないのか。かれらは見る目を持たないのか。
28. かれらは,「もしあなたがたが言うことが真実ならば勝利はいつ来るのですか。」と言う。
29. 言ってやるがいい。「勝利の日には,不信心であった者の信仰はかれらに役立たず,かれらは猶予もされないであろう。」
30. だからあなたは,かれらを避けて待て。かれらも待っているのである。
33 - 部族連合章〔アル・アハザ
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 預言者よ,アッラーを畏れ,不信者や偽信者に従ってはならない。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
2. 主からあなたに啓示されたところに従え。本当にアッラーは,あなたの行うことを知り尽くされる。
3. アッラーに凡てを托しなさい。本当にアッラーは,管理者として万全であられる。
4. アッラーはどんな男の体の中にも2つの心臓を創られない。あなたがたが,「わが母の背中のようだ。」と言って(離縁宣言する)妻をあなたがたの産・の親と同一に御創りにはなられない。またかれはあなたがたの養子を,あなたがたの実子ともなされない。これらは,あなたがたが口先だけで言ったことである。だがアッラーは真実を語り,且つ(正しい)道に導かれる。
5. かれら(養子)の父(の姓)をもってかれらを呼ぺ。それがアッラーの御目に最も正しいのである。もしかれらの父(の姓)を知らないなら,信仰におけるあなたがたの兄弟,友ということにするがよい。あなたがたがそれに就いて誤ることがあっても,罪ではない。だがあなたがたの心に悪い意図のある場合は別である。アッラーは覚容にして慈悲深き御方であられる。
6. 預言者は,信者にとりかれら自身よりも近く,またかれ(聖預言者)の妻たちはかれら(信者たち)の母である。またアッラーの定めでは実の血縁関係者は栗いに,信仰上の兄弟(アンサール)や(マッカよりの)移住者よりも親近である。だがあなたがたの味方のためには,親切にしてやれ。これは啓典に記されていることである。
7. またわれが,預言者たちから誓約をとった時を思い起こしなさい。あなたからも,またヌーフ,イブラーヒーム,ムーサー,マルヤムの子イーサーからもとった時のことを。われは,厳かにかれらから誓約をとったのである。
8. (これは主が)忠誠な者に,かれらの忠誠さを問われるためである。かれは不信心者たちのために,痛ましい懲罰を備えられる。
9. 信仰する者よ,あなたがたに与えられたアッラーの恩恵を念え。大軍があなたがたに攻め寄せて来た時,われはかれらに対し大風と,目に見えぬ軍勢を遣わした。アッラーは,あなたがたの行うことを(明確に)御存知であられる。
10. 見るがいい。かれらは,あなたがたの上からまた下から襲って来た。その時目は霞・,心臓は喉もとまで届いて,あなたがたはアッラーに就いて,色々と(悪い)想像をした。
11. こうして信者たちは試・られ,かれらは猛烈な動揺に播さぶられた。
12. その時,偽信者や心に病の宿っている者たちは,「アッラーとその使徒は,只欺いてわたしたちに約束したのです。」と言った。
13. またかれらの一団は言った。「ヤスリブ(アル・マディーナ)の民よ。あなたがたにはとても頑張れるものではない。引き返しなさい。」またかれらのある者は,預言者に(帰還の)許しを願って,「本当にわたしたちの家は(無防備で危険に)晒されています。」と言った。かれらは,晒されているのではない,只逃亡を望んだだけである。
14. もしかれら(敵軍)が四方からそこに侵入して来て,反乱を呼びかけたなら,かれらは必ずこれを受け入れ,少しも(それに)遅れることはなかったであろう。
15. しかもかれらは先に,決して背き去らないと,アッラーに誓っていた。アッラーとの約束は,(必ず)尋問されるのである。
16. 言ってやるがいい。「逃亡は,仮令死や戦死から免れても,あなたがたを益さない。あなたがたは隙の間を楽しむ丈である。」
17. 言ってやるがいい。「アッラーが,あなたがたに災いを望まれ,また慈悲を施そうと望まれた時誰が,それを差し止められようか。アッラーをおいては,かれらの保護者も援助者もいないのである。」
18. アッラーは,あなたがたの中(人びとを)引きとめた者,またその同胞に向かって,「わたしたちの方ヘ来い。」と言った者を知っておられる。またかれらは僅かの間の外,戦場には臨まなかった。
19. かれらはあなたに対して,貪欲である。まあ見るがいい。かれらに危険が訪れると,臨終の人のように目玉をぐるっと廻して,あなたを熟視する。そして危険が去ると良いものばかり貪り,唇を尖らせてあなたがたを痛烈に非難する。これらの者は信者ではない。アッラーは,かれらの行いを無益になされる。それはアッラーには容易なことである。
20. かれらは,部族連合軍は敗退したのではないと考えている。もし部族連合軍が(再び)来ることがあれば,かれらはベドウィン族の間に身を置いて,あなたがたの消息を尋ねる(立場になる)ことを願っている。またもしかれらがあなたがたの中にいても,僅かの者の外は戦わないであろう。
21. 本当にアッラーの使徒は,アッラーと終末の日を熱望する宕,アッラーを多く唱念する者にとって,立派な模範であった。
22. 信者たちは,部族連合の軍勢を見た時言った。「これはアッラーとかれの使徒が,わたしたちに約束されたものである。アッラーとかれの使徒は,真実を話された。」それは,かれらの信心と服従,帰依の念を,嫌が上にも深めた。
23. 信者の中には,アッラーと結んだ約束に忠実であった人びとが(多く)いたのである。或る者はその誓いを果し,また或る者は(なお)待っている。かれらは少しも(その信念を)変えなかった。
24. (これは結局)アッラーが,忠誠な人々に対しその忠誠さに報われ,またかれが御望・ならば,偽信者を罰し,あるいはかれらを赦されるということである。本当にアッラーは,寛容にして慈悲深き御方であられる。
25. アッラーは不信心な者たちを,怒りのうちに(アル・マディーナから)何ら益するところなく撤退なされた。戦いには,アッラーは,信者たちの戦闘を(強風や天使によって)凡てにわたって,守って下さる。アッラーは強大にして偉力ならびなき方であられる。
26. またかれは,かれら(連合軍)を後援した啓典の民を,それらの砦から追い,その心中に恐怖を投じられた。あなたがたは或る者を殺し,また或る者を捕虜とした。
27. またかれは,かれら(啓典の民)の土地,住宅,財産またあなたがたの未踏の地を,あなたがたに継がせられた。アッラーは凡てのことに全能であられる。
28. 預言者よ,あなたの妻たちに言ってやるがいい。「もしあなたがたが,現世の生活とその煌びやかさを望むなら来るがいい。わたしは贈り物を与えて,立派に別れよう。
29. だがあなたがたたがもしアッラーとその預言者,そして来世の住まいを求めるならば,あなたがたの中で善行に動しむ者には,アッラーは偉大な報奨を準備して下さっている。」
30. 預言者の妻たちよ,あなたがたの中で明白な醜行を犯した者は,それに対する懲罰は倍加されよう。アッラーにはそれは容易なことである