PART 23

 

     28. かれの後,われはその民に対し天から軍勢を遣わしはしなかった。またそうするまでもなかった。 

 

     29. 只一声叫ぶだけで,かれらは消え失せてしまった。 

 

     30. ああ,哀れなしもべたちよ。かれらは使徒が来る度,嘲笑してかかった。 

 

     31. かれらは気付かないのか,自分たち以前に幾世代の者をわれが滅ぼし,かれらは2度と帰らないということを。 

 

     32. それぞれ皆は,(審判の日)一斉にわれの前に召されよう。 

 

     33. かれらへの印の1つとしては,われが死んだ大地を甦らせ,穀物をそれから生産し,それをかれらが食べることがあげられる。 

 

     34. またわれは,そこにナツメヤシやブドウの園を蝕け,その間に泉を涌き出させる。 

 

     35. かれらはその果実を食べるが,それはかれらの手が作り出したものではない。それでも感謝しないのか。 

 

     36. かれの栄光を讃える。かれは大地に生えるもの,かれら自身も,またかれらの知らないものも,凡て雌雄に創られた方である。 

 

     37. またかれらへの印には,夜がある。われがそれから昼を退かせると,見よ,真っ暗になる。 

 

     38. また太陽は,規則正しく運行する。これも全能全知な御方の摂理である。 

 

     39. また月には,天宮を振り分けた。(それを通って)ナツメヤシの老いた葉柄のように(細くなって)戻ってくる。 

 

     40. 太陽が月に追い付くことはならず,夜は昼と先を争うことは出来ない。それらは,それぞれの軌道を泳ぐ。 

 

     41. また満載した舟に,われがかれらの子孫を運んだことも印の1つである。 

 

     42. またわれはかれらが乗る,(外の便利な)乗物を創った。 

 

     43. われが欲するならば,かれらを溺れさせることが出来る。そうなれば,かれらを助ける者はなく,救われはしない。 

 

     44. 只われの慈悲によって束の間を享楽するだけである。 

 

     45. かれらに向かって,「あなたがたの前にあるもの,また後ろにあるものを畏れなさい。そうすればあなたがたは,必ず慈悲にあずかれるであろう。」と言われても(耳を選すどころか), 

 

     46. 主からの種々の印が示されても,すっかり,背を向けてしまう。 

 

     47. また,「アッラーがあなたがたに授けられたものを,施せ。」と言われると,不信心な者は信仰する者に言う。「アッラーが御望・なら,(御自分で)養われるという者を,どうしてわたしたちが養うことがありましょうか。あなたがたは,明らかに思い違いをしているだけです。」 

 

     48. また,かれらは言う。「あなたがたの言うことが真実ならば,何時この(審判)の約束(が果たされるの)ですか。」 

 

     49. だがかれらが論争している間に,一声の叫びが(突然)かれらを襲うだけではないか。 

 

     50. その時かれらは,遺言することも,また家族のところに帰ることも出来ない。 

 

     51. そしてラッパが吹かれると,かれらは墓場から(出て),主の御許に急いで行く。 

 

     52. かれらは言う。「ああ,情けない。わたしたちを臥所から呼び起こしたのは誰でしょうか。これは,慈悲深き御方が約束なされた通りではありませんか。使徒たちの言葉は真実であったのですか。」 

 

     53. 只一声鳴り響けば,一斉にかれらはわれの前に召し集められる。 

 

     54. その日には誰も,少しも不当な扱いを受けず,あなたがたは,只自分の行ったことに対し報いられる。 

 

     55. 本当に楽園の仲間たちは,この日,喜びに忙がしい。 

 

     56. かれらはその配偶者たちと,木陰の寝床によりかかる。 

 

     57. そこでかれらは,果実や望・のものを何でも得られる。 

 

     58. 慈悲深き主から「平安あれ。」との御言葉もある。 

 

     59. あなたがた罪人たちよ,今日は離れて控えなさい。 

 

     60. アーダムの子孫よ,悪魔に仕えてはならないと,われはあなたがたに命令しなかったか。かれはあなたがたの公然の敵である。 

 

     61. あなたがたはわれに仕えなさい。それこそ正しい道である。 

 

     62. 確かにかれ(悪魔)はあなたがたの大部分を迷わせた。どうしてあなたがたは悟らなかったのか。 

 

     63. これはあなたがたに約束されていた,地獄である。 

 

     64. あなたがたは不信心であったために,今日そこに入るのである。 

 

     65. その日われは,かれらの口を封じる。するとその手がわれに語り,かれらの足は,その行ったことを立証する。 

 

     66. われが望めば,かれらの両目を盲目にすることが出来る。かれらは(天国への)道を先んじようとするが,どうして見通すことが出来ようか。 

 

     67. われが望めば,かれらをその場所で形を変えることも出来る。そうなればかれらは,行くことも帰ることも出来ない。 

 

     68. 誰でも長寿させるさいには,われは創造を逆に戻らせよう。かれらは,それでも悟らないのか。 

 

     69. われはかれ(ムハンマド)に詩を教えなかった。それはかれに相応しくない。これは(アッラーの)訓戒まごうかたないクルアーンであり, 

 

     70. 生ける者に警告を与え,また不信心な者に対してはは御言葉が下される。 

 

     71. われが手ずからかれらのために創った家畜をかれらに所有させているのを見ないのか。 

 

     72. われは,それをかれら(の用)に服させた。それで,かれらはこれに乗り,そして食べる。 

 

     73. またかれらは(その外にも)いろいろそれを利用し,また飲・ものを得る。それでもかれらは感謝しないのか。 

 

     74. かれらは,アッラーの外に邪神を選び何とか助けられようとする。 

 

     75. それら(邪神たち)は,かれらを助ける力はなく,寧ろかれらの方が邪神を守るため軍備を整えている始末。 

 

     76. あなたはかれらの言うことで,悲しんではならない。本当にわれは,かれらの隠すことも現わすことも知っている。 

 

     77. 人間は考えないのか。われは一精滴からかれを創ったではないか。それなのに見よ,かれは公然と歯向っている。 

 

     78. またかれは,われに準えるものを引合いに出して,自分の創造を忘れ,言う。「誰が,朽ち果てた骨を生き返らせましょうか。」 

 

     79. 言ってやるがいい。「最初に御創りになった方が,かれらを生き返らせる。かれは凡ての被造物を知り尽くしておられる。 

 

     80. 緑の木から,あなたがたのために火を造られたのもかれであり,だからこそあなたがたはそれによって燃やす。」 

 

     81. 天と地を創造なされたかれが,これに類するものを創り得ないであろうか。いや,かれは最高の創造者であり,全知であられる。 

 

     82. 何かを望まれると,かれが「有れ。」と御命じになれば,即ち有る。 

 

     83. かれにこそ凡ての称讃あれ。その御手で万有を統御なされる御方,あなたがたはかれの御許に帰されるのである。

 

37 - 整列者章〔アッ・サーッフ

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. 整然と列をなす者たちにおいて。 

 

     2. 駆り立て追う者において。 

 

     3. また訓戒(のグルアーン)を読・聞かせる者において,誓う。 

 

     4. 本当にあなたがたの神は,唯一の主である。 

 

     5. 天と地,そしてその間にある凡てのものの主,また日の出を司どる主である。 

 

     6. 本当にわれは,星々で下層の天を飾り, 

 

     7. (アッラーの命令に)逆らう悪魔にたいする守りとした。 

 

     8. かれらは八方から撃たれ,最高の会議を盗・聞くことは出来ない。 

 

     9. 撃退されて,かれらは永久の懲罰を受ける。 

 

     10. 盗聴し得た者があっても,白熱の炎が追跡する。 

 

     11. かれら(マッカの多神教徒)に問え。「かれらとわれの創った者(天使)のどちらが強く創られているか。」われはもともと,粘りのある泥でかれらを創ったのである。 

 

     12. あなたは感嘆しているというのに,かれらは嘲笑する。 

 

     13. 警告されても,かれらは警告を受け入れない。 

 

     14. またかれらは,印を見ても嘲笑するばかり。 

 

     15. そしてかれらは言う。「これは明らかに魔術にちがいありません。 

 

     16. わたしたちが死んで土と骨になってから,(また)呼び起こされましようか。 

 

     17. 遠い祖先たちも(一緒にですか)と言う。 

 

     18. 言ってやるがいい。「その通り。あなたがたは卑しめられるのである。」 

 

     19. それは只一声の叫びである。その時かれらは(恐ろしい光景を)目の当たりに見て, 

 

     20. 「ああ情けない,これが審判の日ですか。」と言う。 

 

     21. 「これはあなたがたが信じなかった区分の日である。 

 

     22. 不義を行っていた者たち,その妻たち,またかれらがアッラーを差し置いて拝していたものたちを集めなさい。 

 

     23. かれらを火獄への道に連れて行け。 

 

     24. いや,かれらを待たせておけ。かれらに尋ねることがある。 

 

     25. あなたがたが助け合わないのはどうしたことか。」 

 

     26. いや,今日ばかりは,かれらも(審判に)服する。 

 

     27. かれらは栗いに近づき尋ね合う。 

 

     28. 一方は言う。「本当にあなたがたは,右から来ました。」 

 

     29. すると他方は言う。「いや,あなたがたは,(もともと)信者ではありませんでした。 

 

     30. また,わたしたちはあなたがたに押し付ける権威もありませんでした。それにあなたがたは反逆の徒でした。 

 

     31. それで主の御言葉が,わたしたちに実証された今,わたしたちは,(懲罰を)味わわねばならない。 

 

     32. わたしたちはあなたがたを迷わせたが,わたしたち自身も迷っていたのです。」 

 

     33. こうしてその日,かれらは,(凡て)共に懲罰を受ける。 

 

     34. 本当にわれはこのように罪を犯した者を処分する。 

 

     35. かれらは,「アッラーの外に神はありません。」と告げられると,いつも高慢になった。 

 

     36. そして,「気狂い詩人のために,わたしたちの神々を捨ててなるものですか。」と言っていた。 

 

     37. いや,かれは真理を(?)して,(かれ以前の)預言者たち(の啓典)を確証する者である。 

 

     38. あなたがたは,必ず痛ましい懲罰を味わうであろう。 

 

     39. どうせ皆あなたがたが行ったことの報いである。 

 

     40. だがアッラーの忠誠なしもべたちは,別である。 

 

     41. それらの者には,定めの恩恵があり, 

 

     42. (喜ばしい)果実,そして栄誉が(授けられ), 

 

     43. 至福の楽園の中で, 

 

     44. 寝床の上で向かい合う。 

 

     45. 清い泉からくんだ杯は,かれらにゆきわたり, 

 

     46. 真白(な美酒は),飲む者に心地よい甘さ。 

 

     47. これは,頭痛を催さず,酔わせもしない。 

 

     48. またかれらの側には,伏し目がちな大きい目(の乙女)がいる。 

 

     49. かの女らは,注意深く守られている卵のよう。 

 

     50. やがてかれらは,栗いに近づき尋ね合う。 

 

     51. かれらの一人が,口を切って言う。「わたしに一人の親しい友がいました。 

 

     52. かれは言っていた。『あなたまで(復活の日を)信じているのですか。 

 

     53. わたしたちが死んで土と骨になってから,本当に審判されるのでしょうか。』」 

 

     54. また言った。「まあ皆さん見下ろして・なさい。」 

 

     55. そこでかれが見下ろすと,火獄の只中にかれの姿が見えた。 

 

     56. かれは言った。「アッラーにかけて,あなたはもう少しでわたしを破滅させるところでした。 

 

     57. もし主の御恵・がなかったならば,わたしは必ず引き立てられる者の中にいたでしょう。」 

 

     58. 「わたしたち(楽園の仲間)は,最初の死だけでまた, 

 

     59. 死ぬことはないのですか。また,わたしたちが,懲罰を受けることはないのでしょうか。」 

 

     60. 「そうであるならこれは,至上の幸福の成就です。 

 

     61. このようなことのために,行動し努力すべきです。」 

 

     62. それは結構な歓待ではないか。それともザックームの木(をとるの)か。 

 

     63. われはこの木を不義を行う者への試・として,用意したのである。 

 

     64. それは地獄の底に生える木で, 

 

     65. その実は,悪魔の頭のようである。 

 

     66. かれらはこれを食べて,腹はそれでいっばい。 

 

     67. それから上に沸騰する湯を注ぎ足され, 

 

     68. それから火獄に帰り着くのである。 

 

     69. かれらは祖先の迷っていたのを認めながらも, 

 

     70. その足跡を急いで(歩いて)いたのである。 

 

     71. 昔の多くの祖先たちも,確かに迷っていた。 

 

     72. だがわれはかれらに,必ず警告者を遺わした。 

 

     73. 見るがいい。警告されても無視した者の最後が,どうであったかを。 

 

     74. (だが)アッラーの忠誠なしもべたちは,別である。 

 

     75. 且つてヌーフはわれに哀願した。われは最も優れた応答者である。 

 

     76. われは,かれとその家族を大難から救った。 

 

     77. そしてかれの子孫を生き残らせた。 

 

     78. また後の幾世代に渡り,かれのために(祝福の言葉を)留めた。 

 

     79. 「万物(人間,天使,ジン)の中で特にヌーフの上に平安あれ。」と(われからの有難い御言葉を)。 

 

     80. われはこのように,正しい行いの者に報いる。 

 

     81. 本当にかれは,信心深いわがしもべであった。 

 

     82. それからわれはその外の者を,溺れさせた。 

 

     83. またかれの後継者の中にはイブラーヒームがいた。 

 

     84. かれが純正な心をもってかれの主の許にやって来た折に, 

 

     85. 自分の父やその一族に向かって言った。「あなたがたの崇拝するものは何ですか。 

 

     86. アッラーを差し置いて瞞しの神々を御望・なのですか。 

 

     87. いったい,万有の主に就いて,あなたがたはどのように考えておいでなのですか。」 

 

     88. その時かれは諸星を一目見て, 

 

     89. 言った。「わたしは,本当に(心が)痛む。」 

 

     90. 人々はかれに背を向けて去った。 

 

     91. その時かれ(イブラーヒーム)は,かれらの神々に向かって言った。「あなたがたは食べないのですか。 

 

     92. あなたがたは,どうしてものを言わないのですか。」 

 

     93. そこでかれは,かれら(偶像)を右手で打った。 

 

     94. その時人びとは,慌ててかれの処へやって来た。 

 

     95. するとかれは言った。「あなたがたは,(自分で)刻んだものを崇拝するのですか。 

 

     96. 本当にアッラーは,あなたがたを創り,またあなたがたが,造るものをも(創られる)。」 

 

     97. 人びとは言った。「かれ(イブラーヒーム)のために炉を築き,燃え盛る火の中に投げ込・なさい。」 

 

     98. このようにかれに策謀を巡らせようとしたが,われはかれらを散々な目に会わせた。 

 

     99. かれは言った。「わたしは主の御許に行こう。必ずわたしを導かれるであろう。 

 

     100. 主よ,正しい人物になるような(息子)を,わたしに御授け下さい。」 

 

     101. それでわれは,優しい思いやりのある男児を(授けるという)昔報を伝えた。 

 

     102. (この子が)かれと共に働く年頃になった時,かれは言った。「息子よ,わたしはあなたを犠牲に捧げる夢を見ました。さあ,あなたはどう考えるのですか。」かれは(答えて)言った。「父よ,あなたが命じられたようにして下さい。もしアッラーが御望・ならば,わたしが耐え忍ぶことが御分りでしょう。」 

 

     103. そこでかれら両人は(命令に)服して,かれ(子供)が額を(地に付け)うつ伏せになった時, 

 

     104. われは告げた。「イブラーヒームよ。 

 

     105. あなたは確かにあの夢を実践した。本当にわれは,このように正しい行いをする者に報いる。 

 

     106. これは明らかに試・であった。」 

 

     107. われは大きな犠牲でかれを贖い, 

 

     108. 末永くかれのために(この祝福を)留めた。 

 

     109. 「イブラーヒームに平安あれ。」(と言って)。 

 

     110. このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。 

 

     111. 本当にかれは,わが信心深いしもべであった。 

 

     112. またわれは正しい人物,預言者イスハークの(誕生の)吉報をかれに伝えた。 

 

     113. そしてわれは,かれとイスハークを祝福した。だがかれらの子孫の中には正しい行いをする者もあり,また明らかに自らを損なう者もあった。 

 

     114. われは,ムーサーとハールーンに恩恵を施した。 

 

     115. またかれら両人,そしてその民を大きな災難から救い出し, 

 

     116. われが助けたためにかれらは(その困難を)克服することが出来た。 

 

     117. なおわれは,両人に(事理を)明瞭にさせる啓典を授け, 

 

     118. かれらを正しい道に導いた。 

 

     119. われは後の幾世代に渡り,かれらのために(この祝福を)留めた。 

 

     120. 「ムーサーとハールーンに平安あれ。」(と言って)。 

 

     121. このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。 

 

     122. 本当にかれら両人は信心深いわがしもべであった。 

 

     123. 本当にイルヤースも,使徒であった。 

 

     124. かれがその民にこう言った時を思え。「あなたがたは主を畏れないのですか。  

 

     125. あなたがたはバアルに祈って,最高の創造主(アッラー)を見捨てるのですか。 

 

     126. アッラーこそあなたがたの主,昔の父祖たちの主ではないのですか。」 

 

     127. だがかれらはかれ(イルヤース)を嘘付きであるとした。だから必ず(処罰に)臨むであろう。 

 

     128. (かれらの中)敬虔な,アッラーのしもべは別である。 

 

     129. われは後の幾世代に渡り,かれのために(この祝福を)留めた。 

 

     130. 「イルヤースに平安あれ。」(と言って)。 

 

     131. このようにわれは,正しい行いをする者に報いる。 

 

     132. 本当にかれは信心深いわがしもべであった。 

 

     133. ルートも(われが)遣わした者であった。 

 

     134. 見よ,われはかれとその家族の凡てを救った。 

 

     135. 後に残る者の中にいた,老婆の外は。 

 

     136. そうしてわれは,外の者を滅ぼしてしまった。 

 

     137. あなたがたはかれらの(遺跡の)傍らを,昼 

 

     138. 夜通っている。あなたがたはそれでも悟らないのか。 

 

     139. 本当にユーヌスも,使徒であった。 

 

     140. かれが(荷を)満載した舟に(乗って)逃れた時, 

 

     141. かれは籤を引いて,負けてしまった。 

 

     142. (そして海に投げ込まれると)大魚に丸呑・にされ,かれは自責の念にかられた。 

 

     143. かれが(梅悟して主を)讃えなかったならば, 

 

     144. かれら(人びと)が(復活して)起こされる日まで,必ずかれは魚の腹の中に留まったであろう 

 

     145. だがわれは,荒れ果てた(蟹辺)にかれを打ち上げた。かれは病んでいた。 

 

     146. われはかれの上に,1本のヒサゴ木を繁らせ(影を作った)。 

 

     147. そして10万人,またはそれ以上(の民)にかれを遣わした。 

 

     148. かれらが信仰に入ったので,われはしばし現世の享楽を許した。 

 

     149. さてかれらに問え。「あなたがたの主は娘を持ち,かれら(マッカの多神教徒)は息子を持つというのか。 

 

     150. それともかれらは,われが天使たちを女に創ったと証言するのか。」 

 

     151. 見よ,かれらの言うことは作りごとである。 

 

     152. アッラーが子を生まれるとは,かれらも嘘付きの徒である。 

 

     153. かれは息子よりも,娘を選ばれるとするのか。 

 

     154. どうしたのか。あなたがたはどう判断するのか。 

 

     155. あなたがたはなお訓戒を受け入れないのか。  

 

     156. それともあなたがたに明瞭な権能があるのか。 

 

     157. あなたがたのいうことが真実ならば,あなたがたの啓典を出して・なさい。 

 

     158. かれらは,かれとジンは親類であるといっている。だがジンは自分たちが(懲罰に)臨むことをよく知っている。 

 

     159. アッラーに讃えあれ。(かれは)かれらが配するものから(超絶なされる)。 

 

     160. だが謙虚に奉仕するアッラーのしもべたちは,別である。 

 

     161. だがあなたがたにしても,あなたがたが崇拝するものでも, 

 

     162. かれに反抗して(信者たちを)誘惑することが出来ようか。 

 

     163. 燃え盛る火で,焼かれる者は別にして。 

 

     164. (整列している者たちが言う。)「わたしたちは各々定めの部署を持っています。 

 

     165. わたしたちは(奉仕のため)整列して, 

 

     166. 慎んで(アッラーを)讃え唱念します。」 

 

     167. また,かれらはいつも言っていた。 

 

     168. 「もしわたしたちが,昔から訓戒を持っていたなら, 

 

     169. わたしたちも,確かにアッラーの謙虚なしもべであったでしょう。」 

 

     170. ところが(実際にクルアーンが与えられれば)それを拒否する。だが間もなくかれらは知るであろう。 

 

     171. 確かにわれの言葉は,わが遣わしたしもべたちに既に下されている。 

 

     172. かれらは,必ず助けられよう。 

 

     173. 本当にわれの軍勢は,必ず勝利を得るのである。 

 

     174. あなた(ムハンマド)はかれらから暫くの間遠ざかって, 

 

     175. かれらを監視しなさい。やがて,かれらは目覚めるであろう。 

 

     176. だがかれらは,わが懲罰を急ぎ求めている。 

 

     177. だがそれが実際にかれらに下ると,それまで警告を受けているだけに寝覚めの悪い朝となろう。 

 

     178. それであなたはかれらから暫くの間遠ざかって, 

 

     179. かれらを監視しなさい。やがて,かれらも目覚めるであろう。  

 

     180. あなたの主,威徳の主,かれらが配するものから(超絶なされる)主に讃えあれ。 

 

     181. 使徒たちに平安あれ。 

 

     182. 万有の主,アッラーに讃えあれ。

 

38 - サード章

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. サード。訓戒に満ちたクルアーンにかけて。 

 

     2. いや,信仰のない者たちは,高慢で反抗的である。 

 

     3. われはかれら以前に,どんなに多くの世代を滅ぼしたことであろう。かれらは,もはや逃れ得ない時となって(慈悲を)請う。 

 

     4. またかれらは,自分たちの中から警告者が出たことに驚き,不信心者は言う。「これは魔術師です。嘘付きです。 

 

     5. かれは多くの神々を,一つの神にしてしまうのですか。これは全く,驚きいったことです。」 

 

     6. そして,かれらの長老たちは立ち去りながら(その場にいた仲間に言う。)「行きなさい。そしてあなたがたの神々を守り通しなさい。これは(一神教の教え)全くの企ら・です。 

 

     7. わたしたちはこれまでの教えで,こんなことを聞いたことがありません。これは作り話に過ぎません。 

 

     8. わたしたちの間で,あんな男にだけ御告げが下ったと言うのですか。」いや,かれらはわれの訓戒に,疑いを抱いている。いや,かれらはまだわれの懲罰を味わったことがない。 

 

     9. それともかれらは,偉力ならびなく,恵・多いあなたの主の,慈悲の宝物を持っているのか。 

 

     10. かれらは天地,そしてその間の万有の,大権をもっているのか。それならかれらに手だてをさせて,(天の玉座まで)登らせなさい。 

 

     11. しかしあれは,鳥合の衆で只敗走するばかり。 

 

     12. かれら以前にも,ヌーフの民,アード(の民)および権勢を張り廻らしたフィルアウンも, 

 

     13. またサムード(の民)やルートの民,および森の民も使徒たちを徒党を組んで嘘付き呼ばわりした。 

 

     14. (これらは)皆使徒たちを嘘付き呼ばわりし,それでわれからの懲罰が確実に下った。 

 

     15. これらの者も,かの一声を待つだけである。それには一刻の猶予もない。 

 

     16. かれらは,「主よ,わたしたちの授かる分を清算の日以前に,急いで下さい。」と言う。 

 

     17. あなたはかれらの言葉を耐え忍べ。そしてわがしもべである堅固の人ダーウードを思え。本当にかれは,(主の)命令に服して讃美しつつ常に(主の御許に)帰った。 

 

     18. われは山々を従わせ,かれと共に朝夕に讃美させ, 

 

     19. また鳥類も,集って,凡てのものが主の命令に服して讃美しつつ常に(主の御許に)帰った。 

 

     20. そこでわれはかれの王権を強化し,英知と断固たる決断力をかれに授けた。 

 

     21. あなたは論争者の物語を聞いたのか,人びとが私室の壁を乗り越えて, 

 

     22. ダーウードのところに入って来たのでかれは驚いた。かれらは言った。「恐れることはありません。これが訴訟の当事者の双方です。一方が他方に不正を働きました。真理によってわたしたちの間を裁いて下さい。不公平がないように,わたしたちを公正な道に御導き下さい。」 

 

     23. 「これは,わたしの兄です。かれは99頭も雌羊を持っており,わたしは(只)1頭しか持っていませんでした。ところがかれは,それをも自分に任せなさいと言ったのです。そして言葉巧・にわたしを言い負かせてしまったのです。」 

 

     24. かれ(ダーウード)は,「かれがあなたの羊を,取り込もうとしたのは,確かに不当です。本当に共同で仕事をする者の多くは,栗いに侵しあう。信仰して善行に勤しむ者は別だが,それは稀です。」と言った。(その時)ダーウードは,われがかれを試・たことを喩り,主の御赦しを請い,礼拝にひれ伏し,悔悟して主の御許に帰った。〔サジダ〕 

 

     25. それでわれは,かれ(の過ち)を赦した。かれは(今)本当にわれに近づき,多幸な(悟り切った)帰り所にいる。 

 

     26. 「ダーウードよ,われはあなたを地上の代理者にした。だから人びとを,真理によって裁き,私欲に従って,アッラーの道を踏・はずしてはならない。アッラーの道から迷う者は清算の日を忘れた者で,必ず厳しい懲罰にあう。」 

 

     27. われは天と地,そしてその間にあるものを,戯らに創らなかった。それは信仰のない者の億測である。だが(いずれ地獄の)火を味わう信仰のない者こそ哀れである。 

 

     28. われが信仰して善行に動しむ者と,地上で悪を行う者と同じに扱うことがあろうか。われが(悪魔に対し)身を守る者と,邪悪の者とを同じに扱うであろうか。 

 

     29. われがあなたに下した啓典は,祝福に満ち,その印を沈思黙考するためのものであり,また思慮ある者たちへの訓戒である。 

 

     30. われはダーウードにスライマーンを授けた。何と優れたしもべではないか。かれは梅悟して常に(われに)帰った。 

 

     31. (ある日の)黄昏時,駿馬が,かれに献上された時のことを思い起しなさい。 

 

     32. かれは言った。「本当にわたしは,(この世の)素晴しい物をめでて,夜の帳が降りるまで,主を念ずることを忘れてしまったのです。 

 

     33. さあ,その馬を連れて参れ。そしてかれは,馬の足と首を切り落としてしまった。 

 

     34. またわれはスライマーンを試・,(病を与え)重態のかれを椅子に据えた。その後かれは回復し, 

 

     35. 言った。「主よ,わたしを御赦し下さい。そして後世の誰も持ち得ない程の王国をわたしに御与え下さい。本当にあなたは豊かに与えられる方です。」 

 

     36. そこでわれは,風をかれに従わせた。それはかれの思うままに,その命令によって望む所に静かに吹く。 

 

     37. またわれはシャイターンたちを,(かれに服従させた。その中には)大工があり潜水夫もあり, 

 

     38. またその外に,スライマーンの命令に服さず鎖に繋がれた者もいた。 

 

     39. (主は仰せられた。)「これがわれの賜物である。あなたが与えようと,控えようと,問題はない。」 

 

     40. かれは(今)われの近くにいて,幸せな(悟りきった)帰り所にいる。 

 

     41. わがしもべ,アイユーブを思い起しなさい。かれが主に向かって,「シャイターンがわたしを悩ませ,苦し・抜いているのです。」と叫んだ時を思い起しなさい。 

 

     42. (すると命令が下った。)「あなたの足で(大地を)踏・なさい。そこには清涼な沫浴と飲料のための(水)があろう。」 

 

     43. われは慈悲として,かれに(再び)家族を2倍にして授け,思慮ある者への教訓とした。 

 

     44. (そして言った。)「一握りの草を手に取って,それで(妻を)打て。あなたの誓いを破ってはならない。」われは,かれが良く耐え忍ぶことを知った。何と優れたしもべではないか。かれは(主の命令に服して)常に(われの許に)帰った。 

 

     45. またわがしもべの,イブラーヒームとイスハークとヤアコーブを思い起しなさい。かれらは偉力を持ち,洞察力があった。 

 

     46. われは,かれらが(来世の)住まいを念じているという純粋な(資質)によって(免じて)かれらを清めてやった。 

 

     47. 本当にかれらは,わが目にも選ばれ優れた者であった。 

 

     48. またイスマーイールとアル・ヤサアとズ・ル・キフルを思い起せ。かれらは皆優れた者であった。 

 

     49. これは一つの教訓である。本当に主を長れる者のためには,幸せな帰り所がある。 

 

     50. (それは)永遠の楽園であり,その凡ての門はかれらのために開かれる。 

 

     51. その中でかれらは(安楽に寝床に)寄りかかり,沢山の果実や飲・物が,望・放題である。 

 

     52. また傍には,伏し目がちの同じ年頃の(乙女)が侍る。 

 

     53. これらは清算の日のために,あなたがたに約束されるものである。 

 

     54. 本当にこれは,尽きることのない(あなたがたへの)賜物である。 

 

     55. (主を畏れる者は)このようである。だが反逆の徒には,悪い帰り所があろう。 

 

     56. それは地獄である。かれらはそこで焼かれよう。何と悪い臥所であろうか。 

 

     57. (実に)これは,こういうことだがかれらは煮え立つ湯と膿を味わされ, 

 

     58. その外,これに類する(懲罰)をとり合わせて受けることになる。 

 

     59. これはあなたがたと一緒に,むや・に突き進む一群である。かれらには歓迎の言葉もない。火獄で焼かれるだけである。 

 

     60. かれらは(火獄の仲間はかれらの指導者たちに)言う。「いや,歓迎されないのは,あなたがたです。わたしたちのために,こう仕向けたのはあなたがたです。何と悪い住まいに来たものでしょう。」 

 

     61. するとかれらは言う。「主よ,わたしたちをここに連れて来た者には,火獄で倍の懲罰を御加え下さい。」 

 

     62. かれら(火獄の仲間)は言う。「わたしたちが悪人の中に数えていた人びとが見えないのです。どうしたのでしょう。 

 

     63. わたしたちが嘲笑していた者(が見えない)。かれらは,(わたしたちの)目をくらませたのではないでしょうか。」 

 

     64. 本当にこれは真相で,火獄の仲間の論争である。 

 

     65. 言ってやるがいい。「わたしは警告者に過ぎない。唯一の方,抵抗出来ない方,アッラーの外には神はないのである。 

 

     66. 天と地,そしてその間の万有の主,偉力ならびなく寛容であられる。」 

 

     67. 言ってやるがいい。「これは至高の知らせである。 

 

     68. あなたがたは,それから背き去るが。 

 

     69. 且つて(天使の)高い位階の者たちの論議については,わたしは何の知識もなかった。 

 

     70. これがわたしに啓示されたのは,只わたしが公明に警告するためである。」 

 

     71. あなたの主が,天使たちに,「われは泥から人間を創ろうとしている。」と仰せられた時を思え。 

 

     72. 「それでわれが,かれ(人間)を形作り,それに霊を吹き込んだならば,あなたがたは伏してかれにサジダしなさい。」 

 

     73. そこで天使たちは,皆一斉にサジダしたが, 

 

     74. イブリースだけはそうしなかった。かれは高慢で,信仰を拒む者となった。 

 

     75. かれは仰せられた。「イブリースよ,われの手ずから創ったものにサジダするのに,何があなたを妨げたのか。あなたは高慢なのか,それとも高い(偉力ある)者なのか。」 

 

     76. かれは申し上げた。「わたしはかれ(人間)よりも優れています,あなたは火でわたしを御創りになりましたが,かれは泥で創られただけです。」 

 

     77. かれは仰せられた。「それならあなたは,ここから出て行きなさい,本当に忌まわしいから。 

 

     78. そしてわれからの見限りは,審判の日まで必ずあなたの上にあろう。」 

 

     79. かれは申しあげた。「主よ,かれらが呼び起こされる日まで,猶予を願います。」 

 

     80. かれは仰せられた。「あなたを猶予しよう。 

 

     81. 定められた日時まで。」 

 

     82. かれは申し上げた。「それでは,あなたの御威光にかけて誓います。わたしはかれら(人間)凡ての者を誘惑します。 

 

     83. かれらの中の,あなたの謙虚なしもべを除いては。」 

 

     84. かれは仰せられた。「それは真実である。われからも真実を言う。 

 

     85. われは,あなたとあなたに従う凡ての者で,地獄を満たすであろう。」 

 

     86. 言え,「わたしはこの(クルアーン) に対し何の報酬もあなたがたに求めない。またわたしは偽善者ではない。 

 

     87. これは諸民族に対する訓戒に外ならない。 

 

     88. 時が来たら,あなたがたはそれが其実であることを必ず知るであろう。」

 

39 - 集団章〔アッ・ズマル〕

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. この啓典の啓示は,偉力ならびなく英明であられるアッラーから(下されたもの)である。 

 

     2. 本当にわれは真理によって,あなたにこの啓典を下した。それでアッラーに仕え,信心の誠を尽せ。 

 

     3. 信心の誠を尽して仕えるのは,アッラーに対し当然ではないか。だがかれを差し置いて(他に)保護者を求める者は,「わたしたちがかれら(神々)に仕えるのは只わたしたちがアッラーの御側に近づくためである。」(という)。本当にアッラーはかれらの異なる点について,必ずその間を裁決なされる。アッラーは,虚偽で恩を忘れる者を御導きになられない。 

 

     4. アッラーが子を持とうと御望・なら,御自分の創られるものの中から,望・の者を選ばれる。かれに讃えあれ。かれはアッラー,唯一にして(万有の)征服者である。 

 

     5. かれは真理をもって天地を創造なされ,夜をもって昼を覆いまた昼をもって夜を覆わせ,太陽と月を服従させてそれぞれ定められた周期に運行させる。本当にかれは,偉力ならびなくよく赦される方である。 

 

     6. かれはあなたがたを一つの魂から創り,それからその配偶者を創り,またかれは8頭の家畜を雌雄であなたがたに遣わされた。かれはあなたがたを母の胎内に創られ,3つの暗黒の中において,創造につぐ創造をなされた。このように,あなたがたの主アッラーに大権は属する。かれの外に神はないのである。なのにあなたがたはどうして背き去るのか。 

 

     7. もしあなたがたが信じなくても,アッラーはあなたがたを必要とされない。だがかれは,しもべたちの不信心を喜ばれはしない。しかし感謝するならば,かれは喜ばれる。重荷を負う者は,外の者の重荷を負うことは出来ない。やがてあなたがたは,自分の主の御許に帰るのである。その時かれは,あなたがたの(現世における)行いの凡てを御告げになる。本当にかれは,(人びとの)胸に抱くことを熟知なされる。 

 

     8. 人間は災厄に会えば主に祈り,梅悟してかれに返る。だが,恩恵がかれの御許から授けられると,先に祈ったことを忘れて,アッラーに同位者を配し,かれの道から(人びとを)迷わせる。言ってやるがいい。「あなたは,束の間の不信心(の生活)を享楽するがよい。本当にあなたは,火獄の仲間である。」 

 

     9. 夜に眠らず目を覚ましている時に,サジダしあるいは立って礼拝にうちこんで,来世に備え,また主の御慈悲を請い願う者(がそうではない者と同じであろうか)。言ってやるがいい。「知っている者と,知らない者と同じであろうか。」(しかし)訓戒を受け入れるのは,思慮ある者だけである。 

 

     10. 言ってやるがいい。「信仰するわれのしもべたちよ,主を畏れなさい。現世において善行をなす者には,善い(報酬)がある。アッラーの大地は広いのである。よく耐え忍ぶ者は本当に限りない報酬を受ける。」 

 

     11. 言ってやるがいい。「わたしはアッラーに,信心の誠を尽して仕えるよう命じられ, 

 

     12. またわたしはムスリムの先達であるよう命じられている。」 

 

     13. 言ってやるがいい。「わたしがもし,主に背くようなことがあれば,偉大な日の懲罰が恐ろしい。」 

 

     14. 言ってやるがいい。「わたしはアッラーに誠を尽して仕えます。 

 

     15. あなたがたは,かれを差し置いて,欲するものに仕えるがいい。」言ってやるがいい。「本当に失敗者とは,審判の日に,自らの魂とその家族を失う者である。本当にそれは明らかな失敗である。」 

 

     16. かれらの上は火の覆い,かれらの下も(火の)床であろう。このようにアッラーはしもべに警告なされる。「しもべたちよ,だからわれを畏れよ。」 

 

     17. 邪神〔ターグート〕を避けて,尊信せず悔悟して,アッラーの許に帰る者には吉報があろう。だからわがしもべたちに吉報を伝えなさい。 

 

     18. 御言葉を聞いて,その中の最も良いところに従う者たちに。これらはアッラーが導かれた者であり,これらこそ思慮ある者たちである。 

 

     19. だがかれに対し審判があって,懲罰の御言葉が下った者を(誰が助けられよう)。あなたは火獄の中にいる者を,救えるとでも言うのか。 

 

     20. だが主を畏れる者に対しては,館の上に館の高楼があり,その下には川が流れる。アッラーの御約束である。アッラーは決して約束を破られない。 

 

     21. 見ないのか,アッラーが天から雨を降らせられ,それを地中に入らせて泉となされ,それから色とりどりの,植物を生えさせ,やがてそれらが枯れて黄色になるのを。それから,それを乾かして,ぼろぼろの屑になされる。本当にこの中には,思慮ある者への教訓がある。 

 

     22. アッラーが,胸を開きイスラームとし,主からの御光を受けた者が同じであろうか。災いなるかな,アッラーの啓示を頑なに拒む者こそ,明らかに心迷える者である。 

 

     23. アッラーはこの上ない素晴しい言葉を,栗いに似た(語句をもって)繰り返し啓典で啓示なされた。主を畏れる者は,それによって肌は戦き震える。その時アッラーを讃え唱念すれば肌も心も和ぐ。これがアッラーの御導きである。かれは御心に適う者を導かれる。だがアッラーが迷うに任せた者には,導き手はない。 

 

     24. それで審判の日の痛苦を顔に受ける者はどうであろう。不義者に対しては言われよう。「あなたがたが行って得たこと(の罰)を味わえ。」 

 

     25. かれら以前の者も(また啓示を)拒否した。それで思いもかけない方面から,懲罰がかれらに下った。 

 

     26. アッラーは現世の生活においても,かれらに屈辱を味わわせられる。だが来世における懲罰は更に大きい。ああ,かれらがそれを知っていたならば。 

 

     27. またわれは各種の比喩を入びとのために,このクルアーンの中で提示した。かれらが訓戒を受け入れればよいと思って。 

 

     28. 少しも曲ったところのない,アラビア語のクルアーンで必ずかれらはわれを畏れること(を知る)であろう。 

 

     29. アッラーは一つの比喩を提示なされる。多くの主人がいて栗いに争う者と,只一人の主人に忠実に仕えている者とこの2人は比べて・て同じであろうか。アッラーに讃えあれ。だが,かれらの多くは分らないのである。 

 

     30. 本当にあなたは(何時かは)死ぬ。かれらもまた死ぬのである。 

 

     31. それから審判の日に,あなたがたは主の御前で,論争す(ることになり裁きを受け)る。