PART 4
93. 律法が下される以前は,イスラエルの子孫が自ら禁じていたものの外,一切の食物はイスラエルの子孫に合法であった。(かれらに)言ってやるがいい。「もしあなたがたが真実なら,律法をもってきてそれを読誦しなさい。」
94. その後においてもアッラーに関し虚偽を述べる者は,不義を行う者である。
95. 言ってやるがいい。「アッラーは真実を語られる。だから純正なイブラーヒームの教えに従いなさい。かれは,多神教徒の仲間ではなかった。」
96. 本当に人々のために最初に建立された家は,バッカのそれで,それは生けるもの凡てへの祝福であり導きである。
97. その中には,明白な印があり,イブラーヒームが礼拝に立った場所がある。また誰でもその中に入る者は,平安が与えられる。この家への巡礼は,そこに赴ける人びとに課せられたアッラーヘの義務である。背信者があっても,まことにアッラーは万有に(超越され)完全に自足されておられる方である。
98. 言ってやるがいい。「啓典の民よ,あなたがたはアッラーの印を拒否するのか。アッラーはあなたがたの行う凡てのことを見ておられるのだ。」
99. 言ってやるがいい。「啓典の民よ,あなたがたは何故アッラーの道から信仰する者たちを拒否し,曲げさせようとするのか。あなたがたは(アッラーの御導きを)立証した者ではないか。アッラーはあなたがたの行うことを見逃されない。」
100. 信仰する者よ,あなたがたがもし啓典の民であるからといって一分派に従うならば,かれらは信仰に入ったあなたがたを不信心者に引き戻すであろう。
101. どうしてあなたがたは,信仰を拒否することが出来ようか,アッラーの啓示があなたがたに読誦され,またかれの使徒は,あなたがたの間にいるではないか。アッラーにしっかりと縋っている者は,必ず正しい道に導かれるのである。
102. あなたがた信仰する者よ,十分な畏敬の念でアッラ―を畏れなさい。あなたがたはムスリムにならずに死んではならない。
103. あなたがたはアッラーの絆に皆でしっかりと縋り,分裂してはならない。そしてあなたがたに対するアッラーの恩恵を心に銘じなさい。初めあなたがたが(栗いに)敵であった時かれはあなたがたの心を(愛情で)結び付け,その御恵・によりあなたがたは兄弟となったのである。あなたがたが火獄の穴の辺りにいたのを,かれがそこから救い出されたのである。このようにアッラーは,あなたがたのために印を明示される。きっとあなたがたは正しく導かれるであろう。
104. また,あなたがたは一団となり,(人びとを)善いことに招き,公正なことを命じ,邪悪なことを禁じるようにしなさい。これらは成功する者である。
105. 明証がかれらに来た後分裂し,また論争する者のようであってはならない。これらの者は,厳しい懲罰を受けるであろう。
106. その日ある顔は白くなり,またある顔は黒くなる。顔が黒くなった者には(言われよう)。「あなたがたは一度信仰した後,不信心に返った。あなたがたは不信仰であったために,懲罰を味わうのである。」
107. だがその顔が白くなった者は,アッラーの慈愛をこうむり,永遠にその中に住む。
108. これらはアッラーの印である。われは真理によってこれをあなたに読・聞かせる。アッラーは凡てのものに,不公正を望まれない。
109. 天にあり地にある凡てのものは,アッラーの有である。(一切の)事物は,アッラーに帰される。
110. あなたがたは,人類に遺された最良の共同体である。あなたがたは正しいことを命じ,邪悪なことを禁じ,アッラーを信奉する。啓典の民も信仰するならば,かれらのためにどんなによかったか。だがかれらのある者は信仰するが,大部分の者はアッラーの掟に背くものたちである。
111. かれらは只少しの邪魔をするだけで,あなたがたに害を与えられない。仮令敵対しかけてきてもあなたがたに背を向けてしまい,誰からの助けも得られないであろう。
112. かれらはどこに行っても,屈辱を受けるであろう。アッラーから(保護)の聖約を授かるか,人びとと(攻守)の盟約をしない限りは。かれらはアッラーの怒りを被むり,貧困に付きまとわれよう。これはかれらが,アッラーの印を信じずに,正義を無視して預言者たちを殺害したためである。これはかれらが反抗して法を越えていたためである。
113. かれら(全部)が同様なのではない。啓典の民の中にも正しい一団があって,夜の間アッラーの啓示を読誦し,また(主の御前に)サジダする。
114. かれらはアッラーと最後の日とを信じ,正しいことを命じ,邪悪なことを禁じ,栗いに善事に競う。かれらは正しい者の類である。
115. かれらの行う善事は,一つとして(報奨を)拒否されることはないであろう。アッラーは主を畏れる者を御存知であられる。
116. 本当に信仰しない者の財宝もその子女も,アッラーに対しては少しも役立たないであろう。かれらは業火の住人である。永遠にその中に住む。
117. かれらが,この世の生活で費すものを例えれば,(霜を運ぶ)寒風が邪悪の者たちの田畑を襲い,その作物を減ばすようなもの。アッラーはかれらを損われない。だがかれらは自ら自分を損っている。
118. 信仰する者よ,あなたがたの仲間以外の者と,親密にしてはならない。かれらはあなたがたの堕落を厭わない。あなたがたの苦難を望んでいる。憎悪の情は,もうかれらのロからほとばしっている。だがその胸の中に隠すところは,更に甚しい。われは既に種々の印を,あなたがたに鮮明にした。只あなたがたの理解する力が問題なだけである。
119. それ,あなたがた(ムスリム)はかれらを愛しているが,かれらはあなたがたを愛してはいない。あなたがたはどの啓典も信じる。だがかれらはあなたがたと会うと,「わたしたちは信じる。」と言う。しかしかれらだけの時は,あなたがたに憤激して指先を(噛?)む。言ってやるがいい。「憤死しなさい。アッラーはあなたがたが胸の中に抱くことを知っておられる。」
120. あなたがたに幸運が訪れると,かれらは憂い,もし災難があなたがたを襲えば,かれらは喜ぶ。だがあなたがたが忍耐して,主だけを畏れているならば,かれらの陰謀は少しもあなたがたを害しないであろう。誠にアッラーはかれらの行うこと全てを知っておられる。
121. あなたが早朝に家を出て,信者たちを戦間の配置につかせた時を思え。アッラーは全聴にして全知であられる。
122. あなたがたの中の2団が,臆病で怯んだ時を思え。だがアッラーはかれらを援護された。だから,信者は(不断に)アッラーを信頼すべきである。
123. アッラーは,あなたがたがバドルで微弱であったとき,確かに助けられた。だからアッラーを畏れなさい。きっとあなたがたに感謝の念が起きるであろう。
124. あなたが信者たちに言ったことを思い起せ。「主が,3千の天使を御下しになってあなたがたを助けられても,まだ充分ではないのか。
125. いやそれどころか,あなたがたが耐え忍んで,主を畏れるならばもし敵軍が急襲して来ても,主は,5千の天使であなたがたを援助されるであろう。」
126. アッラーは,只あなたがたの心の安らぎのために,吉報を伝えられた。偉力ならびなく英明であられるアッラーの御許からの外には,助けはないのである。
127. これはかれが,一部の不信者を切り崩し,かれらを卑しめ,失望させ退かせるためである。
128. (アッラーが)かれらに哀れ・をかけられたのか,それとも懲罰なされるかは,あなたに関わることではない。かれらは本当に不義を行う者である。
129. 天にあり地にある凡てのものは,アッラーの有である。かれは御望・の者を赦し,また御望・の者を罰される。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
130. あなたがた信仰する者よ,倍にしまたも倍にして,利子を貪ってはならない。アッラーを畏れなさい。そうすればあなたがたは成功するであろう。
131. そして信仰を拒否する者のために準備されている業火を恐れなさい。
132. アッラーと使徒に従いなさい。そうすればあなたがたは,慈悲を受けられるであろう。
133. あなたがたの主の御赦しを得るため,競いなさい。天と地程の広い楽園に(入るために)。それは主を畏れる者のために,準備されている。
134. 順境においてもまた逆境にあっても,(主の贈物を施しに)使う者,怒りを押えて人びとを寛容する者,本当にアッラーは,善い行いをなす者を愛でられる。
135. また醜悪な行いをしたり,過失を犯した時,アッラーを念してその罪過の御赦しを請い,「アッラーの外に,誰が罪を赦すことが出来ましょう。」(と祈る者),またその犯したことを,故意に繰り返さない者。
136. これらの者への報奨は,主からの寛大な御赦しと,川が下を流れる楽園であり,かれらはその中に永遠に住むであろう。奮闘努力する者への恩恵は何とよいことであろう。
137. あなたがた以前にも多くの摂理の例があった,あなたがたは地上を旅して,真理を嘘という者の最後がどうであったかを見なさい。
138. これは人びとに対する説き明かしであり,また主を畏れる者への導きであり,訓戒である。
139. それで気力を失ったり,また絶望してはならない。あなたがたが信者ならば,必ず勝利を得るのである。
140. あなたがたがもし損傷を被っても,相手方もまた同様の打撃を受けている。われは人間の間に(種々の運命の)こんな日を交栗に授ける。アッラーはこれによって(本当の)信者を知り,あなたがたの中から(真理のための殉教の)実証者をあげられる。アッラーは不義の徒を愛されない。
141. アッラーは,このようにして信仰する者たちを清め,信仰を拒否する者を没落させられる。
142. アッラーが,あなたがたの中奮闘努力する者と,よく耐え忍ぶ者が,誰であるかを知られない間に,あなたがたは楽園に入れると考えるのか。
143. 本当にあなたがたは,死に当面する前は,それを望んでいたではないか。今,まさにあなたがたはそれを目の前に見たであろう。
144. ムハンマドは,一人の使徒に過ぎない。使徒たちはかれの前に逝った。もしかれが死ぬか,または殺されたら,あなたがたは踵を返すのか。誰が踵を返そうとも,少しもアッラーを損うことは出来ない。だがアッラーは,感謝(してかれに仕える)者に報われる。
145. アッラーの御許しがなくては,誰も死ぬことは出来ない。その定められた時期は,登録されている。誰でも現世の報奨を求める者には,われはこれを与え,また来世の報奨を求める者にも,われはそれを与える。われは感謝(して仕える)者には,直ちに報いるであろう。
146. どれ程の預言者が,信心深い多くの敬神な衆と共ヤこ戦ったか。かれらはアッラーの道において,遭遇したことに気力を落さないで,また弱気にもならず屈しなかった。誠にアッラーは耐え忍ぶものを愛でられる。
147. (どんな時でも)かれらがロにするのは,唯こういう言葉であった。「主よ,わたしたちの様々な罪や行き過ぎた行いを赦して下さい。わたしたちの足場を固め,不信心な者たちに対して力を与え助けて下さい。」
148. こうしてアッラーは,かれらに現世の報奨と,来世の善美の報奨を授ける。アッラーは善い行いをなす者を愛でられる。
149. 信仰する者よ,あなたがたがもし不信心者に従うならば,かれらはあなたがたの踵を返させ,失敗者に後戻りさせるであろう。
150. いや,アッラーこそは,あなたがたを愛護し,また最も優れた援助を与えられる方であられる。
151. やがてわれは,不信心な者の胸の中に,恐怖を投げ込もう。それはかれらが,何の権威も授けられていないものを,アッラーと同位に崇めたためである。かれらの住・家は業火である。不義を行う者の住まいこそ哀れである。
152. 本当にあなたがたが,アッラーの許しの下に,敵を撃破した時,かれはあなたがたへの約束を果たされた。だがかれが,あなたがたの好むもの(戦利品)を見せられた後,しりご・するようになり,事に当って争いはじめ,ついに命令に背くようになった。あなたがたの中には,現世を欲する者もあり,また来世を欲する者もある。そこでかれは試・のために,あなたがたを敵から退却させられた。だがかれは,もうあなたがたを許された。アッラーは信者たちには,慈悲深くあられる。
153. その時使徒は,後から呼び戻したのだが,あなたがたは(逃げ道を)駆け登り,他を顧・なかった。それでかれは苦難につぐ苦難で,あなたがたに報われる。これはあなたがたが失ったものに就いて悲しまず,また遭遇したことを悲しまないように(という配慮からなされたこと)。アッラーはあなたがたの行うことを知り尽くされる。
154. それからかれは,苦難の後の安らぎをあなたがたに下される。あなたがたは僅かな眠りに陥ったが,一部のものは自分のこと(だけ)を苦慮して,アッラーに対し間違った(多神,無神論者の)考え方をして愚かな臆測をし,(心の中で)言った。わたしたちはこのことで,一体何を得るのであろうか。」言ってやるがいい。「本当にこのことは,凡てアッラーに属するのである。」かれらはあなたに言えないことを,自分で隠している。そしてまた(心の中で)言った。「もしわたしたちがこのことで何か得るのならば,わたしたちはここで殺されないであろう。」言ってやるがいい。「仮令あなたがたが家の中にいたとしても,死が宣告された者は,必ずその死ぬ場所に出て行くのである。」これはアッラーが,あなたがたの胸に抱いていることを試・,あなたがたの胸の中に抱くものを,払い清められるためである。本当にアッラーはあなたがたが胸に抱くことを熟知なされる。
155. 両軍が相対した日,あなたがたの中に敗退した者があったのは,かれらが稼いだ或ること(罪)のために,悪魔が躓かせたためである。だがアッラーはかれら(の誤ち)を許された。アッラーは寛容にして大度量であられる。
156. あなたがた信仰する者よ,不信者のようであってはならない。かれらの兄弟(同胞)が地上を旅し,または戦争に出征している時,(不信者のように)「かれらがもしわたしたちと一緒にいたならば死なずに済・,また殺されなかったであろうに。」と言うのは,アッラーがそのことでかれらの心に悲嘆を引き起こされたためである。アッラーは御心のままに生を授け,また死を与えられる。アッラーはあなたがたの行うことを御存知であられる。
157. 仮令あなたがたが,アッラーの道のために,殺害されまたは死んでも,アッラーの寛容と慈悲とは,かれらの蓄えた凡てのものより優れている。
158. 仮令あなたがたが死んでもまたは殺害されても,あなたがたは必ずアッラーの御許に召し集められるのである。
159. あなたがかれらを優しくしたのは,アッラーの御恵・であった。あなたがもしも薄情で心が荒々しかったならば,かれらはあなたの周囲から離れ去ったであろう。だからかれら(の過失)を許し,かれらのために(アッラーの)御赦しを請いなさい。そして諸事にわたり,かれらと相談しなさい。いったん決ったならば,アッラーを信頼しなさい。本当にアッラーは信頼する者を愛でられる。
160. アッラーがもしあなたがたを助けられれば,何ものもあなたがたに打ち勝つ者はない。もしかれがあなたがたを御捨てになったらば,かれの外に誰があなたがたを助けることが出来ようか。だから信者たちはアッラーを信頼しなさい。
161. 凡そ預言者に,不誠実なことはあり得ない。不誠実な者は審判の日に,その着服したものを持ち出すであろう。その時各人は,その行いに対し完全な報いを受け,不当に扱われない。
162. アッラーの喜ばれるところに従う者は,アッラーから怒りを被る者のようであってなるものか。かれの住まいは地獄である。何と哀れな行く末であろうか。
163. アッラーの御許(の賞罰)においては,かれらの間にも差別があろう。アッラーは,かれらの行うことを御存知であられる。
164. 本当にアッラーは,信者たちに対して豊かに恵・を授けられ,かれらの中から,一人の使徒をあげて,啓示をかれらに読誦させ,かれらを清め,また啓典と英知を教えられた。これまでかれらは明らかに迷い誤の中にいたのである。
165. ところが,一度あなたがたに艱難が下ると,且つてこれに2倍する程の打撃を(敵に)与えたのに,あなたがたは言う。「これは一体どうしたことか。」言ってやるがいい。「それはあなたがた自身から来たものである。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。」
166. 両軍が相会した日に,あなたがたの被ったことはアッラーの御許しによったもので,それはかれが(それによって)信者を知っておられ,
167. 偽信者をも知っておられるためであった。「アッラーの道のために出征しなさい。それとも(自分の町を)守備しなさい。」と言われると,「かれらはわたしたちに戦うこと(の価値)が分れば,あなたがたに従おう」と言った。その日かれらは,信仰よりも背信に近かった。かれらのロは心にもないことを言う。だがアッラーは,かれらの隠すことを凡て知っておられる。
168. かれらの同胞(の戦死)に就いて,「かれらがわたしたち(の言)に従って,座視していたら,殺されなかったものを。」と言う者がある。言ってやるがいい。「もしあなたがたの言葉が真実ならば,あなたがたは,先ず自分で死から免れて・なさい。」
169. アッラーの道のために殺害された者を,死んだと思ってはならない。いや,かれらは主の御許で扶養されて,生きている。
170. かれらはアッラーの恩恵により,授かったものに満悦し,かれらのあとに続く(生き残った)人たちのために喜んでいる。その(生き残った)人たちは恐れもなく憂いもないと。
171. アッラーの御恵・と恩恵を喜び,またアッラーが信者への報奨を,決してむだにされないことを喜んでいる。
172. 負傷した後でもアッラーと使徒の呼びかけに応えた者,正義を行い,また主を畏れる者には,偉大な報奨がある。
173. 人びとが,かれらに向かって言った。「見なさい,あなたがたに対して大軍が集結している。かれらを恐れるべきである。」だがこのことが却ってかれらの信仰を深めた。そして「わたしたちには,アッラーがいれば万全である。かれは最も優れた管理者であられる。」と言った。
174. だからこそかれらは,アッラーの御恵・と恩恵に浴して帰って来た。艱難にも遭遇しないで,かれらはアッラーの喜ばれるところに従うことが出来た。本当にアッラーは偉大な恩恵の主であられる。
175. かの悪魔は,かれの追従者たちを,恐れさせるだけである。だからあなたがたが真の信者ならば,かれらを畏れずわれを畏れなさい。
176. 不信心に向かって急ぐ者のために,あなたの心を痛ませてはならない。かれらは,少しもアッラーを損えない。アッラーは来世において,かれらに福分を与えることを望まれない。かれらは重い懲罰を受けるだけである。
177. 信仰の代りに不信心を購なった者は,少しもアッラーを損えない。かれらは手痛い懲罰を受けるであろう。
178. 信じない者にわれが与える猶予を,かれら自身にとり有利だと思わせてはならない。われは只,かれらの不義を増長させるために,それを与えているのである。かれらは恥ずべき懲罰を受けるであろう。
179. アッラーは,信者たちの善い者の中から悪い者を区別されるまでは,決してかれらを今の状態で放置されないであろう。またアッラーは幽玄界のことを,あなたがたに現わされない。だがアッラーは御心に適う者を使徒に選ばれる。だがあなたがたは,アッラーとかれの使徒を信じなさい。あなたがたが主を信じて畏れるなら,偉大な報奨を受けるであろう。
180. アッラーの恩恵によって与えられたものを出すのを嫌う者に,自分のためにそれが有利だと思わせてはならない。いや,それはかれらのために有害である。かれらの出すのを嫌ったそのものが,復活の日には,かれらの首にまつわるであろう。天と地の遺産は,アッラーに属する。アッラーはあなたがたの行うことを熟知される。
181. 「本当にアッラーは貧乏であられるが,わたしたちは富んでいる。」とロにした者の言葉を,アッラーは確かに御聞になられた。われはかれらの言ったこと,またかれらが,妄りに預言者を殺害したことを記録して置く。われは言う。「あなたがたは炎熱の刑を味わえ。
182. これはあなたがたの自業自得である。アッラーはそのしもべたちに,決して不正を行われない。」
183. かれらは「アッラーはわたしたちに約束なされた。(だから)どんな使徒も,(天からの)火で食い尽くされる供物を強すまでは,決して信じない。」と言う。言ってやるがいい。「わたし以前にも,使徒たちが明証とあなたがたの求めるものを携えて来た。もしあなたがたの言葉が真実なら,何故かれら(使徒たち)を殺害したのか。」
184. かれらがあなた(ムハンマド)を,嘘付きであるとしても,同じように,あなた以前に来た使徒たちも,嘘付きであるとされている。かれらが,明証や書巻や輝かしい啓典を携えて来たにも拘らず。
185. 誰でも皆死を味わうのである。だが復活の日には,あなたがたは十分に報いられよう。(またこの日)業火から遠ざけられた者は,楽園に入れられ,確実に本望を成就する。この世の生活は,偽りの快楽に過ぎない。
186. あなたがたは,財産や生活などに就いて必ず試・にあう。そしてあなたがた以前に啓典を下された者からも,多神教徒からも,多くの悪ロを聞かされるであろう。だがあなたがたが耐え忍んで主を畏れるならば,本当にそれは,物事を決断し成し遂げることになる。
187. アッラーが,且つて啓典の民と約束された時のことを思い起せ。「あなたがたはこれを人びとに説明して,隠してはならない。」だがかれらはこれを背後に捨て,僅かな代償でこれを売った。かれらの取引は何と災いであることよ。
188. 自分の行ったことを誇る者,また行わないのに,称讃されるのを好む者のことなど考えてはならない。これらの者が,懲罰を免れると考えてはならない。かれらは厳しい懲罰を受けるであろう。
189. 天と地の大権は,アッラーの有である。アッラーは凡てのことに全能であられる。
190. 本当に天と地の創造,また夜と昼の交替の中には,思慮ある者への印がある。
191. または立ち,または座り,または横たわって(不断に)アッラーを唱念し,天と地の創造に就いて考える者は言う。「主よ,あなたは徒らに,これを御創りになったのではないのです。あなたの栄光を讃えます。火の懲罰からわたしたちを救って下さい。
192. 主よ,本当にあなたは業火に投げ込まれた者を,必ず屈辱でおおわれる。不義の者には援助者はないであろう。
193. 主よ,本当にわたしたちは『あなたがたの主を信仰しなさい。』と信仰に呼ぶ者の呼び声を開いて,信仰に入りました。主よ,わたしたちの罪を赦されて,凡ての罪業をわたしたちから抹消して,信仰の達成者たちと一緒にあなたに召してください。
194. 主よ,あなたの使徒たちによって,わたしたちに約束されたものを授け,また審判の日には屈辱から救って下さい。本当にあなたは,決して約束を無になさいません。」
195. 主はかれら(の祈り)を聞き入れられ,(仰せられた)。「本当にわれは,あなたがたの誰の働いた働きもむだにしないであろう。男でも女でも,あなたがたは栗いに同士である。それで移住した者,故郷から追放された者,わが道のために迫害され,また奮戦して殺害された者こは,われはきっとかれらから凡ての罪業を消滅して,川が下を流れる楽園に入らせよう。」これはアッラーの御許からの報奨である。アッラーの御許にこそ,最も優れた報奨がある。
196. あなたは,不信者が地上をあちこち歩き回わっているのに感わされてはならない。
197. これは片時の歓楽である,やがて地獄がかれらの住まいとなろう。それは悪い臥床である。
198. だが主を畏れる者には,川が下を流れる楽園があり,かれらは永遠にその中に住むであろう。これはアッラーの御許からの歓待である。正しき者のため,アッラーの御許に(準備して)あるものは最も優れている。
199. 啓典の民の中にも,アッラーを信仰し,あなたがたに下されたものとかれらに下されたものを信じて,アッラーに謙虚に仕え,僅かな代価でアッラーの啓示を売ったりしない者がいる。これらの者には,アッラーの御許で報奨があろう。本当にアッラーは清算に迅速であられる。
200. あなたがた信仰する者よ,耐え忍びなさい。忍耐に極めて強く,栗いに堅固でありなさい。そしてアッラーを畏れなさい。そうすればあなたがたは成功するであろう。
4 - 婦人章〔アン・ニサーア〕
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
1. 人びとよ,あなたがたの主を畏れなさい。かれはひとつの魂からあなたがたを創り,またその魂から配偶者を創り,両人から,無数の男と女を増やし広められた方であられる。あなたがたはアッラーを畏れなさい。かれの御名においてお栗いに頼・ごとをする御方であられる。また近親の絆を(尊重しなさい)。本当にアッラーはあなたがたを絶えず見守られる。
2. 孤児たちの財産を返還しなさい。(自分の)悪いものを,(かれらの)良いものと替えてはならない。またかれらの財産をわがものにしてはならない。誠にそれは大罪である。
3. あなたがたがもし孤児に対し,公正にしてやれそうにもないならば,あなたがたがよいと思う2人,3人または4人の女を嬰れ。だが公平にしてやれそうにもないならば,只1人だけ(嬰るか),またはあなたがたの右手が所有する者(奴隷の女)で我授しておきなさい。このことは不公正を避けるため,もっとも公正である。
4. そして(結婚にさいしては)女にマハルを贈り物として与えなさい。だがかの女らが自らその一部を戻すことを願うならば,喜んでこれを納めなさい。
5. アッラーから保管を委託された財産を,精神薄弱者に渡してはならない。そして,かれらに衣食を与え,懇切に言葉優しく話しかけなさい。
6. 結婚年齢に達するまでは,孤児を試しなさい。もし,立派な分別があると認められたならば,その財産をかれらに渡しなさい。かれら(孤児)が成年になるまで,浪費したり,急いで消費してはならない。(後見者が)金持ならば抑制してこれに手を触れてはならない。また貧乏ならば,(後見のために)適切に使もいなさい。孤児に返還するさいは,かれらのために証人を立てなさい。アッラーは清算者として万全であられる。
7. 男は両親および近親の遺産の一部を得,女もまた両親及び近親の遺産の一部を得る。そのさい遺産の多少を問わず定められたように配分しなさい。
8. 遺産の分配にさいし,もし遠い親族や孤児や貧者が,その場に居合わせた時は,それ(遺産)からかれらにも与え,懇切に言葉優しく話しかけなさい。
9. 自分のあとにひ弱い子女を残し,それらの身を案じる者はよく心配して置け。だからアッラーを畏れ,誠意ある言葉で語りなさい。
10. 不当に孤児の財産を食い減らす者は,本当に腹の中に火を食らう者。かれらはやがて烈火に焼かれるであろう。
11. アッラーはあなたがたの子女に就いてこう命じられる。男児には,女児の2人分と同額。もし女児の・2人以上のときは遺産の3分の2を受ける。もし女児一人の時は,2分の1を受ける。またその両親は,かれに遺児のある場合,それぞれ遺産の6分の1を受ける。もし遺児がなく,両親がその相続者である場合は,母親はその3分の1を受ける。またもしかれに兄弟がある場合は,母親は6分の1を受ける。(いずれの場合も)その遺言したものと,債務を清算した残り(の分配)である。あなたがたは自分の父母と自分の子女との,どちらがあなたがたにとって,より益があるかを知らない。(これは)アッラーの掟である。本当にアッラーは全知にして英明であられる。
12. 妻が遺したものは,かの女らに子がない場合,半分をあなたがたが受ける。もし子がある場合は,かの女らの遺言と債務を果たした後,あなたはかの女の残したものの,4分の1を受ける。またあなたがたが遺すものは,あなたがたに子がない場合は妻はあなたの遺産の4分の1を受ける。もしあなたがたに子がある場合は,遺言と債務を果たした後,かの女たちはあなたが残したものの8分の1を受ける。もし遺産を遺す男または女に,父母も子女もなく,兄弟または姉妹一人だけある場合は,その者が遺産の6分の1を受ける。兄弟姉妹が多い場合,かれらは全員で3分の1の分け前を得る。これは,遺言と債務を果たした後のことで,(誰にも)損害を及ぼすことはない。(これは)アッラーからの定めである。アッラーは全知にして大度量であられる。
13. これらは,アッラーの定められた決まりである。アッラーとその使徒に服従する者は,川が下を流れる楽園に入り,永遠にその中に住むであろう。それは至上の幸福の成就である。
14. だがアッラーとその使徒に従あず,かれの定めに背く者は,業火に入り,永遠にその中に住む。かれは恥ずべき懲罰を受けるであろう。
15. あなたがたの女たちの中,不貞を働いた者には,あなたがたの中から,かの女らに対し4名の証人を立てなさい。かれらがもしこれを証言したならば,かの女らを家の中に監禁しなさい。死がかの女らを連れ去るか,アッラーがかの女らのため,(別の)道を決められるまで。
16. あなたがたの中2人で罪を犯した者は(2人とも)処罰しなさい。だが,その罪を悔いて身を修めるならば,そのままに放って置け。本当にアッラーは,度々御赦しなされる方,慈悲深い方であられる。
17. アッラーが悔悟を御赦しなされるのは,知らずに悪事を犯したが,直ぐ後で,悔い改める者だけである。アッラーは,これらの者を御赦しになられる。アッラーは全知にして英明な御方であられる。
18. だが,死に臨むまで悪行を続け,その時になって「今悔い改めます。」と言う者,また不信心のまま死ぬ者の梅悟は御赦しになられない。かれらのために,われは痛苦の懲罰を準備してある。
19. あなたがた信仰する者よ,当人の意志に反して,女を相続してはならない。あなたがたが,かの女らに与えたマハルの一部を取り戻すために,かの女らを手荒に扱ってはならない。明らかに不貞の事実があれば別である。出来るだけ仲良く,かの女らと暮しなさい。あなたがたが,かの女らを嫌っても(忍耐しなさい)。そのうち(嫌っている点)にアッラーからよいことを授かるであろう。
20. あなたがたが一人の妻の代りに,他と替えようとする時は,仮令かの女に(如何に)巨額を与えていても,その中から何も取り戻してはならない。あなたがたは,ありもしない中傷という明白な罪を犯して,これを取り戻そうとするのか。
21. あなたがたは,どうしてそれを取り戻すことが出来ようか。既に栗いに深い関係もあり,かの女らは堅い誓約をあなたがたから得ているのである。
22. あなたがたの父が結婚したことのある女と,結婚してはならない。過ぎ去った昔のことは問わないが。それは,恥ずべき憎むべきこと。忌まわしい道である。
23. あなたがたに禁じられている(結婚)は,あなたがたの母,女児,姉妹,父方のおば,母方のおば,兄弟の女児,姉妹の女児,授乳した乳母,同乳の姉妹,妻の母,あなたがたが関係している妻の生んだ養育中の養女,あなたがたがその妻と,未だ関係していないならばその連れ子を妻にしても罪はない。およびあなたがたの生んだ息子の妻,また同時に二人の姉妹を娶ること(も禁じられる)。過ぎ去った昔のことは問わないが。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。