Part 8
[6.111] 仮令われが,かれらの天使たちを遣し,また死者がかれらに語りかけ,また凡てのものを,かれらの前に集めても,もしアッラーが御好みにならない限り,かれらはきつと信じないであろう。全くかれらの多くは,無知なのである。
[6.112] こうしてわれは,どの預言者にも一つの敵を作った。それは,人間とジンの中の悪魔であって,そのある者が他を感激させ,はなやかな言葉で,唆し騙している。主の御心でないならば,かれらはそうしなかったであろう。だからかれらのその虚偽を放って置きなさい。
[6.113] 来世を信じない者の心をそれに傾かせてかれらをそれで喜ばせ,その行っていることに満足させるためである。
[6.114] (言ってやるがいい。)「どうしてわたしがアッラー以外に裁きを求めようか。かれこそは,詳細に説明された啓典を,あなたがたに下された方ではないか。」われが啓典を授けた程の者ならば,それがあなたの主から,真理によって下されたことを知っている。だからあなたは疑う者の仲間になってはならない。
[6.115] あなたの主の言葉は,真実公正に完成された。誰もかれの言葉を変えることは出来ない。かれは全聴にして全知であられる。
[6.116] あなたがもし地上の多くの者に従うならば,かれらはアッラーの道からあなたを迷わすであろう。かれらは只臆測に任せて,虚言をこととするに過ぎない。
[6.117] 本当にあなたの主は,かれの道から迷い去った者を最もよく知っておられる。また正しく導かれた者を最もよく知っておられる。
[6.118] だからあなたがたが,もしアッラーの啓示を信じるならば,かれの御名が唱えられたものを食べなさい。
[6.119] あなたがたは,アッラーの御名が唱えられたものを,どうして食べないのか。かれは,あなたがたに禁じられるものを,明示されたではないか。だが,止むを得ない場合は別である。本当に多くの者は,知識もなく気まぐれから(人びとを)迷わす。あなたの主は,反逆者を最もよく知っておられる。
[6.120] 公然の罪も内密の罪も避けなさい。本当に罪を犯した者は,その行ったことに対し報いを受けるであろう。
[6.121] またアッラーの御名が唱えられなかったものを食べてはならない。それは実に不義な行いである。しかし悪魔は,自分の友を唆し,あなたがたと議論させようとする。あなたがたがもしかれらに従うならば,あなたがたは正に多神教徒である。
[6.122] 死んでいたものに,われは生命を授け,また光明を与える。これによって人びとの間を往来する者と,暗黒の中にあってそれから出られないような者と同じであろうか。このように不信者には,その行っていたことを立派だと思わせるのである。
[6.123] このようにわれは,それぞれの町の有力者を罪深い者にして,そこで策謀させる。しかしかれらは自分自身に対して策謀するだけで,それに自ら気付かない。
[6.124] (主から)一つの印がかれらにやって来れば,「アッラーの使徒たちに与えられたようなものが,わたしたちに下るまでは信じないであろう。」と言う。アッラーは何処で(また如何に)かれの使命を果たすべきかを,最もよく知っておられる。やがて罪深い者は,その(しでかした)凡ての策謀に対して,アッラーの御許で屈辱と痛烈な刑を受けるであろう。
[6.125] 凡そアッラーが導こうと御望みになった者は,イスラームのためにその胸を開く。だが迷うに任せようと御考えになった者には,その胸をまるで天に登ろうとするかのようにしめせばめる(もがき苦しめる)。このようにアッラーは,信仰を拒否する者に恥辱を加えられた。
[6.126] これがあなたの主の道,正しい道である。われは訓戒を受け入れようとする民のために,印を詳細に示す。
[6.127] かれらは,主の御許に平安な住まいを得る。かれは,かれらの行った(正しい行いの)ためにかれらの保護者となられる。
[6.128] かれが一斉にかれらを召集される日,(主は)「ジンの方々よ,あなたがたは人びとの多くを惑わせたのである。」(と仰せられよう。)人びとの中,かれら(ジン)の友がいて言う。「主よ,あたしたちは互いに利用し合いましたが,あなたがわたしたちに定められた期限が到来しました。」かれは仰せられよう。「業火があなたがたの住まいである。」アッラーの御好みになる限り,永遠にその中に住むであろう。本当にあなたの主は英明にして全知であられる。
[6.129] このようにわれは,かれらが行ったことのために,不義の徒は不義の徒同志で近寄らせる。
[6.130] 「ジンと人間の方々よ,あなたがたの間から挙られた使徒たちが,あなたがたの許に来て,わが印をあなたがたのもとに復唱し,あなたがたのこの日の会見に就いて,警告しなかったのか。」かれらは申し上げるであろう。「わたしたちは,自分の意に反し証言いたします。」本当に現世の生活がかられを感わせ,自分が不信者であったことを,自分の意に反して証言する。
[6.131] これはあなたの主がその民の(犯した不義を自ら)意識しない中に,乱りに町を滅ぼされないためである。
[6.132] 各人にはその行ったことに応じて,種々の等級があろう。あなたの主は,かれらの行ったことを見逃しになさらない。
[6.133] あなたの主は満ち足られる御方,慈悲深き主であられる。もしかれが御好みになられるならば,あなたがたを追放することも出采,御心に適う者にあなたがたを継がせられる。丁度外の民の子孫から,あなたがたを興されたように。
[6.134] 本当にあなたがたに約束されたことは必ず到来する。あなたがたは(それを)逃がれることは出来ない。
[6.135] 言ってやるがいい。「わたしの人びとよ,あなたがたの仕方で行いなさい。わたしもまた(わたしの務めを)行う。あなたがたはこの終局の住まいが,誰のものかをやがて知ろう。不義を行う者は,決して成功しないであろう。」
[6.136] かれらは,アッラーが創られた穀物と家畜の一部分を勝手な空想によって(供えて),「これはアッラーに,そしてこれはわたしたちの神々に。」と言う。だが神々に供えたものはアッラーには達しない。そしてアッラーに供えたものが,かれらの神々に達する。かれらの判断こそ災いである。
[6.137] こうしてかれらの神々は,多くの多神教徒を魅了してかれらの子女を殺すようにしむけた。これはかれらを滅ぼし,また人々の宗教を混乱させるためである。もしアッラーの御心があれば,かれらはそうしなかったであろう。だからかれらとその捏造したものを放って置け。
[6.138] またかれらは「これこれの家畜と穀物は禁じられる。わたしたちが許す者の外に,誰も食べることは出来ない。」などとかれらの勝手な決断により,背中が禁忌になっている家蓄,また(屠殺にさいし)それに,アッラーの御名を唱えない家畜などと(捏造して)言う。(これらは凡て)かれに対する捏造である。かれはこの捏造に照らし,やがて報われるであろう。
[6.139] またかれらは言う。「この家畜の胎内にあるものは,わたしたち男の専用であり,わたしたちの女には禁じられる。だが死産の場合は,誰でも皆それにあずかれる。」かれは,かれらの虚構に対しやがて報われる。本当にかれは英明にして全知であられる。
[6.140] 無知のため愚かにもその女児を殺し,アッラーがかれらに与えられたものを禁じ,またアッラーに対し捏造する者たちは,正に失敗者である。かれらは確かに迷った者で,正しく導かれない。
[6.141] かれこそは棚を備えた果樹園,また棚のない果樹園を創られる御方であり,またナツメヤシや様々な味の異なった農作物,とオリーブ,ザクロその外同類異種のものをも(創られた御方である)。実が熟したならば食べなさい。収穫の日には,定めの喜捨を供出し,浪費してはならない。本当にかれは,浪費の徒を御愛でになられない。
[6.142] また,家畜のあるものは荷を負い,あるものは食用である。アッラーがあなたがたに与えるものを食べ,悪魔の歩みに従ってはならない。かれはあなたがたにとって,公然の敵である。
[6.143] 羊2対とヤギ2対からなる8頭の雌雄。言ってやるがいい。「かれは,2雄または2雌,と2雌の胎内にあるものの,どれを禁じられたのか。あなたがたが誠実ならは,知っているところをわたしに告げなさい。」
[6.144] また,ラクダ2対と牛2対。言ってやるがいい。「かれは,2雄または2雌,と2雌の胎内にあるもののどれを,禁じられたのか。アッラーがこれをあなたがたに命じられる時,あなたがたはその場にいたのか。知識もなく人を迷わせるために,アッラーに就いて虚偽を捏造するより,甚たしい不義があろうか。誠にアッラーは,不義を行う民を導かれない。」
[6.145] 言ってやるがいい。「わたしに啓示されたものには,食べ度いのに食べることを禁じられたものはない。只死肉,流れ出る血,豚肉――それは不浄である――とアッラー以外の名が唱えられたものは除かれる。だが止むを得ず,また違犯の意思なく法を越えないものは,本当にあなたの主は,寛容にして慈悲深くあられる。」
[6.146] ユダヤの(法に従う)者には,われは凡ての爪のある動物を禁じ,また牛と羊は,その脂を禁じた。只背と内臓に付着し,または骨に連なった脂は,別である。これは,かれらの不正行為に対する応報で,われは本当に真実である。
[6.147] それでもかれらがあなたを虚言者であるとするなら,言ってやるがいい。「あなたがたの主は慈悲深い主で,凡てを包容なされる方である。だが不義の民は,かれの懲罰は免れられない。」
[6.148] (アッラー以外に神々を) 崇拝する者は言うであろう。「アッラーが御好みになられるならば,わたしたちも祖先も(他の神々を)崇めず,また何も禁じなかったであろうに。」このようにかれら以前の者も,われの懲罰を味わうまでは(真理)を信しなかった。言ってやるがいい。「あなたがたは,果たして知識があるのか。それならわたしたちに現わせ。あなたがたは,只臆測に従うだけ。本当にあなたがたは,真実ではないことを言うに過ぎない。」
[6.149] 言ってやるがいい。「最後の論証は,アッラーに属する。かれが御好みになられるならば,あなたがたを一勢に導かれたであろう。」
[6.150] 言ってやろがいい。「アッラーはこれを禁じられたと証言出来る,あなたがたの証人を連れて来なさい。」仮令かれらが証言しても,あなたはかれらと一緒に証言してはならない。またわが印を偽りであるとする者の,虚しい要望に従ってはならない。かれらは来世を信じないで,またかれらの主に同位のものを配する者たちである。
[6.151] 言ってやるがいい。「さて,わたしは主があなたがたに対し禁じられたことを,読誦しよう。かれに何ものでも同位者を配してはならない。両親に孝行であれ。困窮するのを恐れて,あなたがたの子女を殺してはならない。われは,あなたがたもかれらをも養うものである。また公けでも隠れていても,醜い事に近付いてはならない。また,アッラーが神聖化された生命を,権利のため以外には殺害してはならない。このようにかれは命じられた。恐らくあなたがたは理解するであろう。
[6.152] 孤児が成人に達するまでは,最善の管理のための外,あなたがたはその財産に近付いてはならない。また十分に計上し正しく量れ。われは誰にもその能力以上のことを負わせない。またあなたがたが発言する時は,仮令近親(の間柄)でも公正であれ。そしてアッラーとの約束を果しなさい。このようにかれは命じられた。恐らくあなたがたは留意するであろう。
[6.153] 本当にこれはわれの正しい道である,それに従いなさい。(外の)道に従ってはならない。それらはかれの道からあなたがたを離れ去らせよう。このようにかれは命じられる。恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。」
[6.154] 以前,われはムーサーに啓典を授けた。これは善行をする者に対する完全,無欠の啓典であり,凡てのことを詳細に解明し,導きであり, 慈悲である。恐らくかれらは,主との会見を信じるであろう。
[6.155] だがこれ(クルアーン)は,われが下した祝福された啓典である。だからこれに従って,あなたがたの義務を尽くしなさい。恐らくあなたは,慈悲に浴するであろう。
[6.156] (これは,)あなたがたに,「啓典はわたしたち以前に,唯二つの宗派にだけ下された。わたしたちはかれらの読むものに,不案内であった」と言わせないためである。
[6.157] またあなたがたに「もしわたしたちに啓典が下されたならば,きっとかれらよりもよく導きに従ったであろうに。」と言わせないためである。今あなたがたの主からの明証,と導きと慈悲とが正に(湾?)されている。それでもアッラーの印を偽りであるとして,それから背き去る以上に甚しい不義の徒があろうか。わが印から背き去った者を,われはやがて背き去ったことのために,厳しい懲罰で報いるであろう。
[6.158] かれらは,只天使たちがやって来るのを待つのか,または主が隠まれるか,または(審判の日の接近を知る)主の印の一部がやって来るのを待つばかりである。主の何らかの印がやって来る日,前もって信仰して善行に励んでいない限り,かれらの信仰が魂に役だつことはないであろう。言ってやるがいい。「あなたがたは待て。わたしも待つものである。」
[6.159] かれらの教えから離れて分派した者に就いては,あなたは少しも関わりはない。かれらのことは,アッラーの御手に委ねよ。かれはその行ったことを,間もなくかれらに告げ知らせられる。
[6.160] 善いことを行う者は,それと同じようなものを10倍にして頂ける。だが悪いことを行う者には,それと等しい応報だけで,かれらは不当に扱われることはないであろう。
[6.161] 言ってやるがいい。「本当に主は,わたしを正しい道,真実の教え,純正なイブラーヒームの信仰に導かれる。かれは多神教徒の仲間ではなかった。」
[6.162] (祈って) 言ってやるがいい。「わたしの礼拝と奉仕,わたしの生と死は,万有の主,アッラーのためである。
[6.163] かれに同位者はありません。このように命じられたわたしは,ムスリムの先き駆けである。」
[6.164] 言ってやるがいい。「アッラーは凡てのものの主であられる。あたしがかれ以外に主を求めようか。」各人はその行いに対する以外に,報酬はないのである。重荷を負う者は,外の者の重荷を負わない。やがてあなたがたは,主の御許に帰るのである,その時かれはあなたがたの争ったことに就いて,告げ知らせられる。
[6.165] かれこそはあなたがたを地上の(かれの)代理者となされ,またある者を外よりも,位階を高められる御方である。それは与えたものによって,あなたがたを試みられるためである。あなたの主は懲罰する際は極めて速い。しかし,本当にかれは寛容にして慈悲深くあられる。
AL A'RAAF
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
[7.1] アリフ・ラーム・ミーム・サード。
[7.2] (これは)あなたに下した啓典である。あなたはそれで,もう意気そそうしてはならない。あなたが信者たちに訓戒し,警告するため(に下されたもの)である。
[7.3] (人びとよ)主からあなたがたに下されたものに従い,かれ以外の保護者に従ってはならない。だがあなたがたの(中),教訓に留意する者は少ない。
[7.4] われは如何に多くの町を滅したことであろうか,わが力は夜の間に,またかれらの昼の休みに(突然)襲いかかる。
[7.5] わが懲罰がかれらに下った時,かれらは只「わたしたちは,本当に不義を行っていた。」と言うだけであった。
[7.6] それからわれは,使徒が遣された者たちを尋問し,また使徒たちをも尋問する。
[7.7] それからわれは,(確かな)知識に基づいてかれらに告げるであろう。「われは決して不在(の時および所)はないのである。」
[7.8] 量はその日,真正である。(善行の)目方の重い者は,成功する者である。
[7.9] また目方の軽い者は,わが印を軽んじたため自分を損う者である。
[7.10] われは地上において,あなたがた(人間)に力をもたせ,またあなたがたのため,そこに生計の道を授けた。だがあなたがたの(中),感謝する者は僅かである。
[7.11] われはあなたがたを創り,形を授け,それからわれは,天使たちに向かって,「アーダムにサジダしなさい。」と告げた。それで外のものは皆サジダしたが,悪魔〔イブリース〕はサジダした者の中に加わらなかった。
[7.12] かれは仰せられた。「われがあなたに命じた時,どうしてサジダしなかったのか。」悪魔は答えた。「わたしはかれよりも優れております。あなたはわたしを火から御創りになりましたが,かれを泥で創られました。」
[7.13] かれは仰せられた。「ここから落ちてしまえ。あなたはここで高慢であるべきではない。立ち去れ。あなたは本当に卑しむべき者である。」
[7.14] 悪魔は答えた。「かれらが甦らされる日まで,わたしを猶予して下さい。」
[7.15] かれは,「あなたは猶予されよう。」と仰せられた。
[7.16] 悪魔は答えた。「あなたがわたしを惑わされたので,わたしはあなたの正しい道の上で,人々を待ち伏せるであろう。
[7.17] そしてわたしは,かれらを前から,後ろから,右てからも左てからも襲いましょう。あなたはかれらの多くの者が,(御慈悲に対し)感謝しないことが御分かりになるでしょう。」
[7.18] かれは仰せられた。「恥辱を受けて追われて,ここから出て行け。凡そかれらの中あなたに従う者があれば,われはあなたがたの人々で地獄を満たすであろう。」
[7.19] (それからアーダムに仰せられた。) 「アーダムよ,あなたとあなたの妻は楽園に住み,随所であなたがた(の好むものを)食べなさい。只この樹に近付いて不義を犯してはならない。」
[7.20] その後悪魔〔シャイターン〕はかれらに(嘱?)き,今まで見えなかった恥かしいところを,あらわに示そうとして言った。「あなたがたの主が,この樹に近付くことを禁じられたのは,あなたがたが天使になり,または永遠に生きる(のを恐れられた)からである。」
[7.21] そしてかれは,かれら両人に誓っ(て言っ)た。「わたしはあなたがたの心からの忠告者である。」
[7.22] こうしてかれは両人を欺いて堕落させた。かれらがこの木を味わうと,その恥ずかしい処があらわになり,2人は園の木の葉でその身を覆い始めた。その時主は,かれらに呼びかけて仰せられた。「われはこの木をあなたがたに禁じたではないか。また悪魔〔シャイターン〕は,あなたがたの公然の敵であると告げたではないか。」
[7.23] かれら両人は言った。「主よ,わたしたちは誤ちを犯しました。もしあなたの御赦しと慈悲を御受け出来ないならば,わたしたちは必ず失敗者の仲間になってしまいます。」
[7.24] かれは仰せられた。「あなたがたは落ちて行け,あなたがたは互いに敵となるであろう。あなたがたには地上に住まいと,一定の期間の恵みがあろう。」
[7.25] かれは仰せられた。「そこであなたがたは生活し,死に,またそこから(復活の時に)引き出されるであろう。」
[7.26] アーダムの子孫よ,われは,恥ずかしいところを覆い,また飾るために衣装をあなたがたに授けた。だが篤信という衣装こそ最も優れたものである。これはアッラーの印である。恐らくかれらは諭されるであろう。
[7.27] アーダムの子孫よ,あなたがたは悪魔に惑わされてはならない。かれが昔,あなたがたの祖先に,その恥ずかしいところを見せるため,かれら2人の衣を奪い,楽園から追われたように。かれ(悪魔)とかれの一味は,あなたがたの見えない所からあなたがたを見ている。本当にわれは悪魔を不信心な者たちの友とした。
[7.28] かれらは淫らなことをする時,「わたしたちは祖先が行うのを見た。またアッラーがこれをわたしたちに命じられた。」と言う。言ってやるがいい。「アッラーは決して淫らなことを命じられない。あなたがたはアッラーに就いて,知りもしないことをロにするのか。」
[7.29] 言ってやるがいい。「わたしの主は,正義を命じられる。それであなたがたは全霊をうち込み,何処のマスジドでも,かれに信心の誠を尽くして祈りなさい。最初あなたがたを創られたように,あなたがたは(かれに)帰るのである。
[7.30] かれはある一団の者を導かれ,またある一団の者には迷いを正当となされる。かれらはアッラーを差し置いて悪魔を保護者となし,正しい導きにあずかれると考えている。」
[7.31] アーダムの子孫よ,何処のマスジドでも清潔な衣服を体につけなさい。そして食べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない。本当にかれは浪費する者を御好みにならない。
[7.32] 言ってやるがいい。「アッラーがしもぺたちに与えられた,かれからの(賜物)や,食料として(与えられた)清浄なものを,誰が禁じたのか。」言ってやるがいい。「これらのものは,現世の信仰する者たちのためのものであり,特に審判の日には完全に信者の専有するものとなる。」われはこのように印を,理解ある人々に解明する。
[7.33] 言ってやるがいい。「本当にわたしの主が禁じられたことは,あからさまな,また隠れた淫らな行いや罪,真理や道義に外れた迫害,またアッラーが何の権威をも授けられないものを崇拝すること。またアッラーに就いて,あなたがたが知らないことを語ることである。」
[7.34] それぞれの民には,一定の期限がある。だからその期限がやって来れば,一刻も遅らすことも出来ず,早めることも出来ない。
[7.35] アーダムの子孫よ,あなたがたの間から使徒がやって来て,わが印をあなたがたに語る時,主を畏れて身を修める者には,恐れもなく憂いもないであろう。
[7.36] しかしわが印を偽りであるとする高慢な者は,業火の住人として,その中に永遠に住むであろう。
[7.37] 凡そアッラーに就いて偽りを捏造し,またその印を拒否することより甚しい不義があろうか。それらの者には(主の)啓典に,(定められている)かれらの分け前が,到来するであろう。わが使徒(天使)がかれらを訪れて魂をとり上げる時,かれら(天使)は言う。「アッラーを差し置いて,あなたがたが祈っていたものは何処にいるのか。」かれらは言うであろう。「かれらは,わたしたちから逸れました。」かれらは自分で,本当に不信心であったことを立証する。
[7.38] かれは仰せられた。「あなたがたは以前に行った,ジンと人間の一団と共に火獄に入れ。」そして一団が火獄に入る度に,必ず(先に行った)仲間の一団を呪う。全部の者が,次々にその中に入ると,後の一団は最初の一団をさして言う。「主よ,わたしたちを迷わせたのは,これらの者です。だから2倍の火獄の刑罰を与えて下さい。」かれは仰せられよう。「誰もみな2倍(の刑罰が)与えられよう。だがあなたがたはそれを知らない。」
[7.39] また前の一団は,後の一団に向かって言うであろう。「あなたがたは,何もわたしたちに優るところはないのです。それであなたがたが行ったことに対し,懲罰を味わいなさい。」
[7.40] わが印を偽りであるとし,それに対し高慢であった者たちには,天の間は決して開かれないであろう。またラクダが針の穴を通るまで,かれらは楽園に入れないであろう。このようにわれは罪ある者に報いる。
[7.41] かれらには,臥床として地獄があり,その上は(層また層で)覆われよう。われはこのように不義なる者に報いる。
[7.42] だが信仰して善い行いに励む者は,われは誰にも,能力以上のものを負わせない。かれらは楽園の住人である。その中に永遠に住むのである。
[7.43] われはかれらの心の中の怨恨を除き,かれらの足元に川を流す。かれらは言うであろう。「わたしたちをこの(幸福)に御導き下された,アッラーを讃える。もしアッラーの御導きがなかったならば,わたしたちは決して(正しく)導かれなかったでありましょう。主の使徒たちは,確かに真理を伝えました。」(声があり)かれらは呼びかけられる。「これが楽園である。あなたがたは(正しい)行いのために,ここの居住者となれたのである。」
[7.44] 楽園の仲間は火獄の仲間に向かって叫ぶであろう。「わたしたちは主の約束が真実であることが分った。あなたがたも主の約束が真実であることが分ったか。」かれらは「はい」と答えるであろう。その時1人の告知人が,両者の間で叫ぶであろう。「アッラーの御怒りは,不義の徒の上に下るのだ。
[7.45] これらの者はアッラーの道から(人びとを)背かせ,また歪めようとした者であり来世を信じない者たちであった。」
[7.46] 両者の間には仕切りの壁があり,高い壁の上には印によって,凡ての者を見分ける人びとがいて,かれらは楽園に行く人を呼んで(言う)。「あなたがたに平安あれ。」かれらは望んでいるのだが,そこに入ることは出来ない。
[7.47] 次に目を火獄の住人の方に向けるとかれらは,「主よ,わたしたちを不義の人びとと一緒にしないで下さい。」と言うであろう。
[7.48] 高い壁の上にいる人びとは,その印によって見分けた人びとに向かって呼びかけて,言う。「あなたがたは(財を)積み,大いに自慢していたが何の役にも立たなかった。
[7.49] これらの人々は,アッラーがかれらには慈悲を施さないであろうと,あなたがたが断言した人びとではないか。(これらの人々に就いては)さあ楽園に入りなさい。あなたがたには,恐れもなく憂いもないであろう。」(と言われるであろう)。
[7.50] 火獄の仲間は楽園の仲間を呼んで(言う)。「わたしたちに水を注いでくれ。またはアッラーが,あなたがたに与えられたものを恵んでくれ。」かれらは(答えて)言う。「アッラーは,そのどちらをも,不信者には禁じられる。」
[7.51] かれらは自分の宗教を遊びや戯れと心得,またこの世の生活に欺かれた者たちである。それでかれらがこの日の会見を忘れ,またわが印を拒否していたように,今日われはかれらを忘れるであろう。
[7.52] われはまさに啓典をかれらに下し,知識によって詳しく述べた。これは信じる人びとへの導きであり,慈悲である。
[7.53] かれら(マッカの人びと)は,その解明を待つ以外にはない。その解明が行われる日になって,先にこれを軽視していた者は言うであろう。「主の使徒たちは,確かに真理を伝えたのだ。昔かれらがわたしたちのために執り成したように,執り成す者はないのか。それともわたしたちは(地上の生活に)返されて,わたしたちがしなかった行いをすることが出来ないのか。」実際に,かれらは自分の魂を滅ぼし,勝手に造りあげていたものたちはかれらから姿を消してしまった。
[7.54] 本当にあなたがたの主はアッラーであられる。かれは6日で天と地を創り,それから玉座に座しておられる。かれは昼の上に夜を覆わせ,夜に昼を慌ただしく相継がしめなされ,また太陽,月,群星を,命に服させられる。ああ,かれこそは創造し統御される御方ではないか。万有の主アッラーに祝福あれ。
[7.55] 謙虚にまた目立たない隠れたところで,あなたがたの主に祈れ。かれは教えに背く者を御好みになられない。
[7.56] 秩序が定められた後,地上で悪を行ってはならない。恐れと熱情をもってかれに祈れ。本当にアッラーの慈悲は,(常に)善行をなす者の近くにある。
[7.57] かれこそは,慈悲に先んじて吉報を(打?)す風を送られる御方である。それが(雨を)含んだ重い雲を運ベば,われはそれを死んでいる地に送って雨を降らせ,これによって各種の果実を生産させる。われはこのように死者を甦らせる。恐らくあなたがたは悟るであろう。
[7.58] 良い上には,主の御許しによって,草木が茂る。悪い上には,貧弱なものの外生長しない。われはこのように感謝する者のために,繰り返し各種の印を解明している。
[7.59] 先にわれはヌーフをその民に遺わした。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。かれの外に神はないのである。本当にわたしは,偉大な日の懲罰をあなたがたのために恐れる。」
[7.60] かれの民の長老たちは言った。「本当にわたしたちは,あなたが明らかに間違っていると思う。」
[7.61] かれは(答えて)言った。「人びとよ,わたしは間違うことはない。それどころか,わたしは万有の主の使徒である。
[7.62] わたしはあなたがたに,主の神託を宣べ伝え,また助言を呈する。わたしはあなたがたが知らないことを,アッラーから知るものである。
[7.63] あなたがたの中の1人を通じ,主の訓戒があなたがたにやって来たことを驚くのか。そしてあなたがたに警告し,主を畏れるようにし,あなたがたを慈悲に浴させるであろう。」
[7.64] だがかれらはヌーフを拒否した。それでわれは,かれと方舟の中で一緒であったものたちを救い,わが印を偽りであるとした者たちを溺れさせた。本当にかれらは盲目の民であった。
[7.65] (われは)またアードの民に,その同胞のフードを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれ(アッラー)の外に神はないのである。あなたがたは主を畏れないのか。」
[7.66] かれの民の中不信心な長老たちは言った。「わたしたちは,実際あなたを愚かな者だと思う。またあなたは,本当の嘘つきだと考える。」
[7.67] かれは言った。「人びとよ,わたしは愚か者ではない。それどころか,わたしは万有の主からの使徒である。
[7.68] わたしは,あなたがたに主の神託を宣べ伝え,また誠実な信頼出来るあなたがたへの助言者である。
[7.69] あなたがたの中の1人を通じて警告するために,主の訓戒があなたがたにやって来たことを驚くのか。主はあなたがたにヌーフの民の後継ぎをさせ,またあなたがたの体が強大にされたことを思いなさい。だからアッラーの恩恵を念じなさい。きっとあなたがたは成功するであろう。」
[7.70] かれらは言った。「あなたは,わたしたちがアッラーだけに仕え,わたしたちの祖先が仕えていたものを捨てさせるために来たのか。もしあなたが真実ならば,あなたが脅すものをわたしたちに(育?)せ。」
[7.71] かれは言った。「あなたがたの主の懲罰と御怒りは,既にあなたがたに下っている。あなたがたと,あなたがたの祖先が命名した(偶像の)名に就いて,アッラーが何の権威をも授けられないものに就いて,あなたがたはわたしと論争するのか。それなら待て。本当にわたしも,あなたがたと共に待っている者である。」
[7.72] それだからわれは慈悲をもって,かれと一緒にいる者たちを救い,わが印を拒否した者と信仰しなかった者たちを根絶してしまった。
[7.73] (われは)また,サムードの民にその同胞サーリフを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。今主から証があなたがたに下った。このアッラーの雌ラクダが,あなたがたへの印である。それでこれをアッラーの大地に放牧して食べさせなさい。そしてあなたがたが痛ましい懲罰に遭わないよう,それに害を加えてはならない。
[7.74] またかれは,アードの民の後をあなたがたに継がせ,その地に安住させられた時のことを思いなさい。あなたがたは平地に官殿を設け,また(岩)山に家を彫りこんだ。だからアッラーの御恵みを心に銘じて,悪を慎み,地上を乱してはならない。」
[7.75] その民の中の高慢な長老たちは,力がないと思われていた信仰する者たちに言った。「あなたがたはサーリフが,主から遺わされたことを知っているのか。」かれらは(答えて)言った。「わたしたちは,かれが遺わされた者であることを本当に信します。」
[7.76] 高慢な者たちは言った。「わたしたちは,あなたがたが信じるものを認めない。」
[7.77] そこでかれらは,かの雌ラクダの膝の健を切って不具にし,(屠殺し)かれらの主の命令を倣慢無礼にも無視して,かれらは言った。「サーリフよ,もしあなたが(本当に)使徒であるならば,ふりかかってくると言っているものを,わたしたちに(宙?)せ。」
[7.78] そこで大地震がかれらを襲い,翌朝かれらはその家の中に平伏していた。
[7.79] それで(サーリフは)かれらから去って言った。「わたしの人びとよ,確かにわたしは主の御告げを宣ぺ伝え,またあなたがたに助言をした。だがあなたがたは誠実な助言者を喜ばない。」
[7.80] また(われは)ルートを(遺わした),かれはその民に言った。「あなたがたは,あなたがた以前のどの世でも,誰も行わなかった淫らなことをするのか。
[7.81] あなたがたは,情欲のため女でなくて男に赴く。いやあなたがたは,途方もない人びとである。」
[7.82] かれの民は,只(互いに)こう言うだけであった。「かれらを,あなたがたの村から追い出せ。かれらは本当に清純ぶった人たちである。」
[7.83] こうしてわれは,かれ(ルート)の妻を除き,かれとその家族を救った。かの女は後の方になった遅れた者の仲間であった。
[7.84] われはかれらの上に,(瓦(際?)の)雨を降らせた。見なさい。罪に耽る者の最後がどんなものであったかを。
[7.85] (われは)また,マドヤンの民に,その同胞のシュアイブを(遺わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたにはかれの外に神はないのである。今主からの証が,あなたがたに下ったのだ。だからきちんと寸法をとり,目方を量り,人を誤魔化してはならない。また秩序が定められた後,地上で悪を行ってはならない。もしあなたがたが信者であるならば,これはあなたがたのために最も良いことである。
[7.86] あなたがたは,(旅人を脅かすために)どの路上でも待伏せしてはならない。また信じる者をアッラーの道から妨げたり,曲げ(ようとし)てはならない。またあなたがたは少数であったが,かれが(如何に)数多くなされたかを思いなさい。また悪を行ったものの最後がどうであったかを見なさい。
[7.87] それからもしあなたがたの中に,わたしの遣わされた使命を信じる一団と,それを信じない一団とがある時は,アッラーがわたしたちの間を裁かれるまで待ちなさい。本当にかれは裁決に最も優れた御方であられる。」